第64話 錆⑦
「それは何だ?」
ミナは赤錆が出て行った後、ハクが持つ薄い箱を指摘した。
彼は箱を開けて見えるようにした。中には彼の手のサイズ程の長さの鋭利なナイフがギッシリと詰まっている。
「どこから調達してるのかと思ったら、先程の商人から買ってたんですね」
召使いが箱を覗き込むように見た後に言った。以前から依頼や戦闘があるとよく使用していたが、あまり回収する素振りも見られないため口にはしないがミナたちは疑問には思っていた。
「やつのが一番使いやすいからな」
淡々と答えてそれをポケットにしまうハク。
「ハクよ、赤錆連也とはどんな関係なのだ?」
イマイチ読めないミナは首を傾げた。ただの友人にしては妙な感じがする。
「どういうって……腐れ縁か?」
彼は頭をかいた。
────腐れ縁……。
ミナは正直どうやって出会ったかまで根掘り葉掘り聞きたかったが、これ以上聞くのはやめた。おそらく話たがらないだろう。無理に聞くものではない気がした。
「それより聞きたい情報は十分なのか?」
ハクが話題を変える。
ああ、とミナは頷く。
「とりあえず『手』の組織とやらを探ってみよう。当面の目標が出来たら知らせる」
ハクは頷き、管理人の仕事に戻ると言って出て行った。
彼の出て行った扉をしばらく見つめるミナ。
────腐れ縁か
果たして本当にそれだけなのか甚だ疑問を抱いた。
赤錆連也からは妙なざわつきを感じたのだ。それが雰囲気からかなのか、話し方からなのか、はたまた別のものなのかはわからない。
「お嬢様?」
「ぬ?ああすまない。なんでもない」
召使いが何回か呼んだことを聞き逃してしまっていたようだ。心配そうな顔をしている。
ミナは首を振り、目の前の地図に目を落とした。
「手の組織か…」
さてどうしようと彼女はつぶやいた。




