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暗い夜に踊る  作者: ビシン
ボディーガード協会
49/70

第49話 黒い女

クライアント室────

緊急集会等で専属ガードマンが離れなければならない時、一時的に厳重な警備室にてクライアントに過ごしてもらう所。


「ん?なに────」


「what?どうしたんだい?」


ハクが聞こうとすると横から先程の外国人が声を張り上げた。声の大きさに思わず女性とハクは耳を塞いだ。


「ohすまない。それでどうしたんだい?」


それを見て声のトーンを落とすダニエル。


「は、はい、お互いのクライアント様が揉めてまして……」


────クライアント?誰だ?


ハクは覚えのない依頼者に首を傾げて記憶を探るが分からず、人違いではないかと言おうとた。


「それは大変だ。私のクライアントはちょっと問題があるから、ほらyouも行くぞ」


「は?俺は────」


ハクは人違いだと言おうと口を開いたが、前のめりになりながら事務員に手を引かれ連れられて行った。





クライアント室


中は広く、丸テーブルが規則正しく並んでいる。それぞれの席に老若男女の依頼者が過ごしている。また依頼者が暇をしないよう本やゲーム機、茶菓子、飲料等が揃えられていた。


「私を誰だと思ってんの!?草薙青葉を知らないなんておかしいわ!!」


「知らないわけじゃない。ただ小さな子供とは知らなかったのだ」


「それを知らないって言うのよ!!それにどう見たらクソガキに見えるわけ?」


「クソガキとは言ってないが……まあこんな事で騒ぐ時点でガキ────」


「はあ?ぶつかって来たのはあんたでしょ?!土下座して謝んなさいよ!!」


ハクたちが中へ入った途端に聞こえて来た口論。


2人の女性が言い争っているようで、オロオロと止めようとするものや野次馬が周囲を取り巻いている。


「what?アオバさんどうしたというのですか?」


人混みをかき分け、ダニエルが自身のクライアントの側へ行く。彼のクライアントは高級そうな衣服に身を包みいかにも富豪の娘という感じである。


「あ、ダニー!聞いてよこいつ自分からぶつかって来ておいて謝りもしないのよ!」


そう言いながら相手を指差す。口論相手の女性は黒いドレスを着、黒いベールで顔を隠してる。


「む、すまないと謝ったが」


「土下座して謝らないと認めないわ」


高圧的な態度でアオバという女性は見下ろすように言った。といってもあまり身長は変わらない。


ハクは野次馬に混じるようにその様子を眺めていたが、やれやれと困った風にため息をつく黒ドレスの女性と目が合った。口元がニヤリと笑い、手招きされる。


その行為に嫌な予感がするが、仕方なく側まで行った。


側に行くなや否や袖を引っ張られ吐息がかかるほど近くに寄せられる。


「ハクよ、ちょっと面倒な事になった」


────やっぱりか……


口調や外見で何となくわかってはいたが、彼女は予想通りミナだった。


ただ今回のガードマンの収集に辺り、彼女は桜の方に付いて行ってるはずだった。何故こんなところに居るのか。


「あっちは、堅物ばかりでつまらんからな。相手するのも面倒なのだ」


聞くと淡々とそう返事が返って来た。


「いやまさに今その状況なんだが?」


ハクがそう突っ込むとミナはふふっと笑った。


────いや笑い事じゃないぞこれ


目の前の敵意剥き出しの富豪の娘はギリギリと歯を噛んでいる。


「ohアオバさん、謝ったのならその辺にしておきましょう。そもそもそのjapaneseの謝り方は────」


「うるさいわね!私はどうしてもこいつが気に入らないの!!」


ダニエルがなだめようとするが、頭に血が上っているのか聞く耳を持たない。


それを見たミナは口元を袖で隠し、いかにも盾にするようにハクの後ろに張り付いた。


するとアオバが口端を上げた。


「へぇ、そいつがあんたのボディーガード?汚らしい男だこと。いいわ、このままじゃラチが明かないから勝負しましょ。ガードマン同士で」


ハクはいつものアパートで仕事をする作業着を着て来ていた。彼女の物言いに片眉を上げたが、確かに見た目では所々落ちない汚れが付着しており、言われても仕方ないかと頭をかいた。


「そんな……こちらはA級下層、そちらはS級上層ではないか……勝ち目なんてない」


ミナが妙にしおらしい喋り方で言った。何かを企んでいるそんな感じである。


「関係ないわ!私のガードマンが勝ったら土下座して謝ってもらうわ。それと召使いにでもなってもらおうかしら!」


ミナの反応を見てか、勝ち誇ったように畳み掛ける富豪の娘。何か疑ったりそんなことはないようだ。


「でもA級とS級で戦うんだろう?ハンデでもない限りやっても無駄────」


「ふん、ハンデがあればやるのね?いいわ1つだけ上げるわ、さあさっさとトレーニングルームへ行きましょう!」


アオバは笑いながら出口へ向かった。


「も、もし万が一私たちが勝ったら?」


ミナがハクの体の陰から顔を覗かせて言った。


「その時は何でもいうこと聞いたげるわ、ありえないけど!」


そう言って高笑いしながらアオバは出口を出た。


ハクは相手のガードマンを眉間にしわを寄せ見つめたが、ダニエルはただ肩をすくませクライアントの後を追った。


ハクたちも仕方なくその場を後にする。ただ彼の後ろを歩くミナは終始ニヤついていた。

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