第4話 仕掛け
「あれ、真美子?」
最初に異変に気付いたのは優子だった。
建物が正方形に作られているのは窓から外を見るとわかった。外は中庭になっており、それを囲うように壁があったからだ。
それを真美子に伝えようとしたが、すでに彼女の姿はなかった。
「ねぇ、真美子がいないんだけど‥‥」
その言葉にミナも辺りをペンライトで照らし回すが、確かに見当たらなかった。
二人は廊下にも出てみたが、姿が見当たらない。
「やばくない?そういやさっきなんか見たとか言ってたけど‥‥」
「まずいな、とりあえず入口へ‥‥」
と、何か転がって来た。
────破片?
ミナは部屋の入口の正面の突き当たりの壁に転がった、木製の破片を拾おうと手を伸ばした。
「地下か‥‥」
破片を拾うときに気付いた。
薄っすらと壁から廊下へ長方形の線が見える。
試しにそこを手の甲で叩くと、音が下に広がった。
「地下‥‥?」
不安げに優子がしゃがんでその線を指でなぞった。
「ふむ、どうやら地下があるらしいな。真美子はそこに落ちたのだ」
ふと気になりミナは上を照らした。他のとこと違い、はるかに天井が高い。
────ここが例の時計塔か‥‥
少し焦点を下げると窓があった。
真美子が何かを見たのはこの窓だろう。しかし、どこにも登るところはない。
彼女は首を傾げしばらくそのままでいると納得したように頷き、再び地下の入口に目を向けた。
「どうやって開けるの?」
「のけ」
ミナは手でも示し、優子が離れると跳ねるようにその床を片足で蹴った。
するとグルンと床と壁が回転し、深い穴が空いた。
「階段はないみたいだな」
ペンライトで中を照らすが、階段は無く、ざっと3mくらい下に地面があるようだ。
しかし一瞬優子を見ると、なんの躊躇もなく彼女は飛び降りた。
そして残された優子は闇を見つめ、にこりと笑顔を浮かべた。




