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暗い夜に踊る  作者: ビシン
クラーマル事件
32/70

第32話 奇襲②


敵は全身を黒い包帯のような物で覆っており、ハッキリと素顔は見えない。両腕が長く、それを生かすように長い爪の刃物を装備していた。


「な、何をしている!早く捕らえろぉお!」


沈黙を破るかのようにクラーマル社長の声が響く。しかし前に出る者がいない。


「うるせー豚だな」


そう言って敵が刃先をクラーマル社長へと向ける。


その瞬間背後に迫っていた柔術家の鎌田が取り押さえようと飛びかかった。


「遅いなぁ」


予期していたかのようにスルリと躱して爪で斬りつけた。しかし不意に絡め取られるように刃先が行き先を曲げられ、跳ね除けられる。


「た、助かった白鳥」


武器捌きの白鳥が爪を捌いて退けたのだ。鎌田は横に並んだ。


「気をつけろよ」


他のガードマンが動けない中、2人のS級ガードマンがじりじりと相手の間合いに近付く。


「んん、少しはやるのかな?」


敵はニヤリと笑い、姿勢を低くして素早く腕を振った。咄嗟に白鳥は飛び退いたが鎌田は避けられずに両大腿に刃が斬りつけられた。鎌田は呻くもののその腕を脇で挟み込み、敵の胸倉を掴んだ。


投げようと宙に浮かせたが、敵が回転し柔術家は斬り刻まれた。


鎌田が床に倒れ伏す。


「2人目」


白鳥は舌打ちし、突進した。敵が腕を振って迎え撃つ。それを2度3度と左右に受け流し、空いた上体に膝蹴りを繰り出す。


しかし敵は飛び退いたと思ったら不意に姿を消した。


慌てて姿を探すが、次の瞬間には敵の爪が腹部から突き出ていた。


「3人目」


敵は腕を引き抜くと相手の身体を蹴り飛ばした。


白鳥は転がりながら床に倒れた。呻く声が聞こえるが、すでに戦える状態ではないだろう。それは他の者からみても明らかだった。


包帯男は一瞥すると次の標的を探した。


「う、動くな!」


いつのまにか数人のガードマンが取り囲み、銃を構えていた。


じりじりと近付くが、包帯男は肩をすくめた。


「おいおい、それはよくないぜ?味方に銃が当たっちまうだろ?」


「当たるのはお前だけだ!」


ガードマンたちは引き金を引いた。しかしそれを予期したかのように異常に姿勢を低くした包帯男は、銃弾が頭を掠めるのを気にも留めず、取り囲むガードマンたちに突進し脚に刃を当てていく。


悲鳴を上げながら倒れていくガードマンたち。


それをみて何人かが恐怖に出口に向かって逃げ出した。


「逃がすわけねぇ!」


包帯男が近くにいるガードマンたちを斬りつけながら背を向ける者たちに手を伸ばす。


まさに手が届く直前、金属音とともに真紅の短剣が行く手を阻んだ。


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