第31話 奇襲
────なんか……来たけどこの感じじゃあ報酬はあまり期待できないな
「帰るか……」
クラーマル建設社長の緊急招集にA級122位のガードマンであるハクも参加していた。いや、正確には参加させられていた。
というのも本来は各階級上位100名が招集されたのであり、その番数以下のハクには知らせは届いていなかった。
しかしお嬢様ことミナが、ハクが金がないのを察し、桜に来ていた招集を代わりに行かせたのだ。桜自体は参加する気などさらさらなく、どうせならとのこと。
参加した時に免許証を見せるのだがその時に一応、番外である事を伝えたが、特に追い返されたりはしなかった。非常に助かるとは思っていたが、この状況では来た意味はない可能性大だった。
ハクはベラベラと私語をしているガードマンたちの脇をすり抜けて外に出た。
ふと財布を開いてみるが、ほぼ空だ。
頭を抱える貧乏男。
────あの豚社長は活躍した者にって言ってたよなぁ
ミナとの約束で目立つことは出来るだけしないと決めており、さらに頭を抱えた。
「んー……」
ハクはポケットから携帯型のコートを取り出した。綺麗に折りたたまれたそれはわずか2cmの厚さと掌のサイズでしかない。通常の物より強度は劣るが、変装には便利な物だった。
弾くように広げるとロングコートがピシャリと姿を現した。
彼はさらに繋ぎ服より仮面を取り出して顔面に装着した。白いベースに目の下に黒いラインの入った簡素なものだ。
繋ぎ服を脱ぎ、コートを羽織る。そして繋ぎ服は適当な茂みに隠した。後から回収しなければならない。
────見てるだけでも参加費みたいな感じで少しもらえる……か?
彼はそうであって欲しいと思いながら辺りを見渡した。
屋敷外に出ようと思ったのだが、反対方向の庭に出てしまったらしく芝生が広がっている。
ハクは屋敷の外壁を見上げ、攀じ登れそうな窓を探した。
外壁の2階に位置するだろう高さに等間隔に2つずつ細長い窓が並んでいる。
ハクは壁の窪みに足をかけるよう蹴って登った。
上手く窓の桟に体を乗せ、中を確認すると丁度様子が確認できるところだった。
────様子をみるか……
深夜の1時────
ガードマンたちはなかなか現れない敵に気が緩みかけていた。欠伸をする者までいる程に。
だがそれは突然起こる。
上の窓からガラスを砕く音がしたかと思えば、何かが落ちて来た。丁度そこにはガードマンが1人おり、ドスリという音とともに倒れ臥す。
「おいおい……」
倒れているガードマンから両腕を引き抜くと血に濡れた刃が姿を見せた。そのガードマンはピクリとも動かない。
「ひぃふぅみぃ────なかなか居るな」
一瞬にして静まり返る屋敷内。突然の事にランクの低い者たちは動けなかった。




