第30話 配置
「おい、どう思う?この依頼」
S級60位の武器捌きの白鳥は側にいるS級108位の柔術家、鎌田に話しかけた。
「何って?」
とぼけたような声を出すゴツい男。
「今回は誰が獲得するかって話さ」
白鳥は自身の頭を指で叩いた。無傷のヘルメットがコツコツと音を出す。
ガードマンの多くはランキング争いが絶えず、自身のことしか考えていない者が他者を蹴落とす、なんてのはしばしばある事だった。
「さあな、まあまあ人数はいるがSSクラスはいないし、わしらが報酬獲得するのはあり得るな」
ただ────と付け加える鎌田。ある所を顎で示す。
そこには壁にもたれている男がいた。短髪の赤い髪が特徴で両手にグローブ、腰に短剣を差している。皮のジャケットに半ズボンと、若年な格好をしている。
S級21位の焔だ。
武器捌きの白鳥は頷いた。
「最近ぐんぐん順位上がってるよな」
「今回はあいつはマークだな」
誰でも功績は欲しいもの。功績を上げればランクも上がり、自然と金が入ってくる。彼らはこっそりとタッグを組み、協力関係を結んだ。
一方で、S級21位の焔は他S級同様に戦闘グループが出来るのを感じていた。
彼は近頃急速にランキングを上げてきた1人だった。ただひたすらに依頼に応えてきた結果である。
────苦手だな……
大手の多人数同時雇用の際は高ランクのガードマンが司令塔となり指示を出すよう皆訓練されてはいるが、急激に伸びてきた彼の指示を聞くとは彼自身思ってはいなかった。
もちろん効率的に防衛するための訓練であり、法律などで決まっているわけではないからだ。
かと言って他のS級ガードマンも特に指示を仰いだり、自らが出したりという考えが無さそうで、焔はため息をついた。
いざとなれば自身が突っ込まなければと。
「なあ……」
とあるA級ガードマンが、大広間の暗がりの隅にいる男に話しかけた。その男は長い髪を後ろで束ねており、服は淡い青色の繋ぎ服を着ている。
「おい」
A級ガードマンは聞こえていなかったかと再度声を掛けた。
「……ん?」
長髪の男は横目で声の主の方を見た。
「そんなところにいたら活躍出来ないんじゃないか?あ、えと俺は肩固丸太」
丸太は体格が比較的大柄で185cmあり、目の前の男より掌ほど背が高い。
「あら、ロードローラーまた会ったわね」
スーツ姿の短髪の女性が割り込んでくる。靴は動きやすいよう底が低い靴を履いている。
「その呼び方止めろ桂子さん」
うんざりしたような表情で答える丸太。
「あんまり誰かしらに声かけるのやめたら?誰も協力する感じないし」
「そんなのわからないじゃないか」
「今回もあんまり活躍出来そうもないのに?」
桂子と呼ばれたガードマンが周りを見渡した。そこここにグループが出来、身を固めている。
「まあ司令塔も無さそうだし尚更なぁ」
丸太が同意した。司令塔が居れば下級、中級ガードマンも活躍する場を与えられる。あくまで采配が上手い者によるが。
「急ピッチでの集合なんてこんなものでしょ。あなた順位どのくらい?」
桂子は長髪の男に向き直った。
「あー……まあ100位以内」
ぼそりと男が口を開くと、察してか2人して肩を叩いた。
「まあ、頑張ろう」
彼ら2人組は、長髪の男よりランクは高いのだと勝手に解釈した。
「今回は金を稼ぐの難しいのか?」
長髪の男は不意に聞いた。
「んーさっきも言ったが、司令塔が居ないからな。俺らじゃあ難しいと思うぞ」
「良い位置はもう他のグループに取られてしまったしね」
丸太は首をぐるりと回し指差して場所を示した。
「社長の周りはS級が固めてるし、出入り口は他のガードマンが張ってる。唯一中央で待機しようも他にもグループいるしな」
「丸太、こっそり何人か潰してくる?」
「いや、無茶言うな」
彼らはしばらくあーでもないこーでもないと言い合った。他のグループも自分たちの陣地取りが終わり、コソコソと話をしているようだった。
「あれ、さっきの人は?」
ふと丸太が先程繋ぎ服の男がいた暗がりに視線をやるが、そこには誰も居ない。
ガードマンのランク
SSS
SS
S 上級
A 中級
AA 中級
AAA 下級




