第29話 犯行予告
深夜0時────
ここクラーマル建設社長宅ではガードマンたちが中と外にひしめいていた。
依頼主はクラーマル建設社長。最近建設業界で頭角を現した有名人だ。そして現在は得た富で豪遊しており、美味いものを食べ、細身であった身体は肥えて動作も緩慢になる始末だった。
そんな彼の元にとある犯行予告があり、急遽ガードマンを募ったのだ。
集まったガードマンはザッと30名。S級3人、A級6人、AA級が21人といった具合。
彼はガードマンが集まった時に言った。
「諸君、急な依頼に応じてくれてありがとう。依頼内容は君たちに送った内容で間違いない。拉致の予告を受けた。どうか理由は聞かず私を護って欲しい。私の目に留まった者、敵を排除・捕縛してくれた者には多額の報酬をはずもう」
ガードマンたちはそれを聞いて我先に配置についた。
────単純なやつらだ。報酬をチラつかせれば言うことを聞く
社長は手元にある小型電子版に目を落とした。
通達──────
○○区及びその周辺上位100名のガードマン。クラーマル建設にて本日中急募。クラーマル社長が拉致予告を受けた、これを防衛せよ。詳しい内容は追って説明、尚報酬は弾む
──────────────ガードマン協会
表示されている依頼内容は、実際は協会からではなく彼が直接載せ、ガードマンの個人連絡版にほぼ同時に一斉送信したものだ。
しかしクラーマル社長の言葉は誤りがあった。
正確には拉致の予告ではない。
すでに奇襲は受けており、死者が出ていた。そう殺人予告なのだ。
殺人犯の姿は暗闇の中よく見えず、警備にあたる者を数人殺し、1人に重傷を負わせて去って行ったらしい。
『こんなのじゃあ俺は止められねえ。次は確実に殺すぜ?』
そんな言葉を残して。命を取り留めた重傷者に聞いた言葉だ。完全に人を殺すことで快感を得ている愉快犯の発言だ。
奇襲を受けた時、丁度別室にいたクラーマル社長は運良く被害を受けなかった。
警備にあたるものは腕利きのはずだったが、それを易々と突破する敵は充分に社長を恐れさせたのだった。
信頼のおける従者に相談し、真実は伝えない方がよりガードマンは集まりやすくなるとのことで、金をチラつかせれば何でも言う事を聞くと言うこと。
────やつの言った通りだったな
クラーマル社長は安心してニヤリと笑った。




