第26話 7人
管理人として掃除は仕事の日課である。
曲線の続く廊下で集めたゴミを塵取りでとっていると、ハクの目の前にタバコの吸い殻が落ちてきた。
「あ、ごっめーん。僕としたことがタバコ落としちゃった☆───────────きちんと拾えよ?」
「……お前印象最悪だぞ?」
ハクは目の前に立って見下ろす新居者のネコを睨んだ。
「はん!ずっと無愛想な顔つきのやつに言われたくないね!」
鼻で笑い飛ばすネコ。
彼は結局このアパートに住むことになり、荷物も少量であるが運んできて早数日が経った。まだ慣れてはいないようだが、相変わらずの猫被りぶりは変わらず。
あまり相手をしていても時間の無駄なので、管理人はゴミを集め終わると道具を片付け始めた。
「……ところでよ」
「なんだ?メイドなら今いないぞ」
「あ、そうなの?……じゃねーよ!他の住人たちはいねーのかよ!」
見越したようなハクの言葉に猫が叫んだ。
「ぱっと見てきたが人の気配がなくないか?他の住人たちはいるのか」
「まあ、えーと……ここに住んでるのはお前と俺たち入れて……7人か?」
その数を聞いてネコの顔が驚きに変わる。
「少な!よく生活もつな!」
────金に困ってるわけじゃないからな、ここは
ミナたちの生い立ちなどはまだ聞いていないが、お金持ちなのは丸分かりだった。ただハク自身にはそこまで収入があるわけではないからボディーガードや管理人をしているのだ。
それだって足りない日も時たまある。
彼は凝った肩を揉みほぐしながら立ち上がった。
「ていうかなんだ?聞いてどうする?」
「あん?そりゃお前、タカる……じゃない、挨拶に決まってんだろ?」
ネコのマスクがグニャリと腹黒く笑う。
「……」
「いいから案内しろよ!」
場所教えるから行けよと思ったが、彼は口には出さず、道具を持つと黙って歩き始めた。
慌ててネコが付いてくる。
「ちょっ、聞いてんのか?」
ハクは立ち止まって振り返った。
「お前そういうのマメなんだな」




