第19話 桜の依頼
「は?」
「だから、個人的に依頼という形で頼んでいるのです」
「……いやいや、何で俺が」
早朝。ハクが朝の仕事の為に繋ぎ服に着替え、管理室の整理をしていると、血相を変えてミナの侍女兼護衛の桜が管理室の窓をけたたましく叩いてきたのだ。
「なに?霊?だったか?そんないるかも分からないものの捜索をしないといけないのか……。霊媒師でも何でもないんだが」
ハクは長い髪を後ろにまとめて束ね、ゴムで縛った。管理人の仕事をしないと家主に何を言われるか分からない。
「確かにいたんですよ!キッチンに!このままじゃろくに使えないです!」
「猫かなんかじゃないのか?」
「違います!あれは、あれは人の顔でした」
────人の顔……か
彼はわなわなと肩を震わせる桜を見てため息をついた。
SSガードマンである彼女が何故怯えるのか理解は出来なかったが、ハクはたまに料理を恵んでもらっており、このままキッチンが使えないと自身も困る事になるだろう。
どこのお嬢様かは知らないが、侍女というだけあって料理が上手い。
「報酬は?」
「5万+今日のあなたの仕事引き受けます」
「……まじか」
「解決したらもう5万出しましょう」
────暴君発動するかと思ったが
いつか"負けた方が舎弟になる"という勝負で負けて以来ハクが舎弟となっており、事あるごとにそれを利用されてきたが、今、報酬まで出して頼んで来ているのだ。彼には断ることは出来なかった。
「……わかった。取り敢えず、霊?がいるかいないかをハッキリさせればいいんだな?」
「はい。よろしくお願いします……あ」
立ち去ろうとした桜が再び小窓に顔を覗かせた。
「くれぐれもお嬢様には内密に。……その、心配掛けたくないので」
「ああ、了解した」




