17/70
第17話 静かな夜
「行ってしまったな」
しばらくしてミナが口を開いた。
「そうだな」
ハクは動かなくなった化け物の身体から飛び降りた。
「死んだのか?」
「ふむ、そういうことになるんだろう」
ミナはハクに刀を抜くように指示し、しばらく様子を見た。
化け物は力をなくしたように目から光も消えている。動き出すことはないだろう。
それを促すように化け物の身体が崩れ出し、やがて灰になった。
残されたのは肩にあった装飾品のみ。
彼女はそれを拾い上げた。
「今回の収穫はあったんだな」
刀を鞘に納めながらハクは言った。
「いや────」
ミナがかぶりを振り、綺麗な装飾品は粉々に砕けた。
「まじか……」
彼女は一瞬彼の言葉に吹き出しそうになった。
それはそうだ、こんなに苦労して、ここまで来て収穫無し。おまけに依頼人は幽霊だから報酬も無しと来た。
ミナは口元を抑えた。
「事件はどうなるんだろうな?」
「ふっ、どうせSSPの連中が適当にやってくれるだろうさ」
彼女は辺りを見渡した。壁と天井に穴が空き、地下に通じる巨大な穴も空いている。床は破片だらけ。
しかしこの静けさ、さっきまで激しい戦いがあったとは思えない。
それを正明するのは辺りの破損とハクの傷ついた身体だけだろう。
「帰るか」
ミナはため息をつくハクの手を引き、出口を目指し、古い建物を後にした。




