第12話 断片
「う、嘘だ、嘘だ嘘だ!!」
────わたしがもう死んでるなんて‥‥
頭にずきりと痛みが走った。
断片的映像が見えてきた。
『どうしたの?なんか顔色悪いよ』
『いいから、ほっと、いて』
────わたしと、優子?……すごく苦しそう
場所は優子の家だ。優子はすでに両親が亡くなっていて一人暮らしをしていた。
真美子がちょくちょく優子の家に遊びに行っていたそんなある日────
優子は突然苦しみ出したのだ。あの手この手でなだめようとしたがうまくいかなかったのを覚えている。
『もう、いいから‥‥じっとしてれば大丈夫だから!どっか行って!』
『い、いやでもほっとけないよ‥‥』
真美子は食い下がってその日一緒にいることに決めた。
────そうだ、わたしが死んだのはその日‥‥
映像が切り替わり、例の化け物が目の前にいた。
『真美子、‥に、げ』
鋭い鉤爪が目の前に振り下ろされた。
真美子は短く、ヒッと悲鳴を上げると目を閉じてしゃがみ込んだ。
肩を震わせて鼻をすする。
────わたしは‥‥死んだ
事実を認めたくなく、涙が溢れてきた。
彼女は唯一の親友に何故殺されたかが理解できなった。ボディーガードは空腹だったから人を殺したという。
だが本当にそうだったのだろうか。
「真美子‥‥」
金髪の女性探偵がすすり泣く真美子に声をかけた。
────わかってる
探偵の声はなだめようとする声ではなく、警告の声だった。
先ほどから例の洞窟の破壊音や呻き声が大きくなっているのだ。
「わかってます」
今度は声に出して言った。
探偵はそれを聞くと微笑を浮かべ、彼女に背を向ける。そして自分たちが来た方向を向き、曲がり角を見つめた。




