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魔王の村長さん  作者: 神楽 弓楽
三章 
84/114

82 「村の紳士のショー」



 5日目。

 その日の朝は湧き水が出る水場に氷が薄く張るくらいの底冷えする寒さだった。吐く息が白い。

 恐らく標高が高いせいだと思う。


「うー、寒っ」


「今日は一段と冷えるなぁ……」


「くぅ~! 甲冑が冷てぇ」


 日も出ないうちに起き出した騎士たちは、寒そうに身を縮こまらせながら甲冑の上に厚手のコートを何枚も着ていた。こんな寒さの中、金属鎧を着るなんて辛そうに思うのだが、寒さに負けて脱いでしまえばモンスターの襲撃を受けた際に命取りになりかねないから我慢するしかないそうだ。


 一応、騎士たちの金属鎧は過度に熱が高くなったり低くなったりしないよう魔法によって温度調節がされてる魔法武具らしい。ただ、金属鎧に保温性など期待できるはずもないので寒いのは変わらなかった。


 この程度の寒さは俺や天狐たちには平気なのだが、同行しているレナ達にはきついかもしれない。


 まぁ、うちの天幕は断熱性に優れていてふかふかの厚手の絨毯が敷いてあるのでその中は極楽だったに違いない。それに行商人のアサルディさんの助言に従って子供達の冬用の毛皮のコートを用意してあるので寒さに震えることはないと思う。



「ま、まままマスター。そんな格好で寒くないんですか? 」


 訂正。やっぱりいた。

 子供達と同じ毛皮のコートに包まって寒さに震えているのはラビリンスだった。引き籠りが長かったせいか、はたまた種族的に寒いのか温かい筈のコートを着てさえもラビリンスは寒そうに震えていた。


「うん。元々、環境の変化には強いからね。これくらいは寒いうちに入らないよ」


 寒いと言えば寒いのだが、それで体が強張ったり震えたりするほどのものではなかった。この寒さの中、半袖でも体はポカポカと温まっていた。ゲームの時でも灼熱のマグマの海や極寒の氷の世界といった特殊環境下ではバッドステータスが付与されるので、それを軽減するスキルや呪文(スペル)は存在していた。

 だから、そんなところにも足を運んでいた俺や天狐たちは元々寒さや暑さといった環境には高い耐性があった。

 とは言っても、それは俺個人の話なので、目の前で震えているラビリンスはそうはいかないのだろう。スキルを確認して見てもラビリンスは、一つもその手のスキルの熟練度が上がっていなかったしな。


「【火の恩恵(ヒートエレメント)】」


 凍えているラビリンスにスキルを伸ばす機会だとコートすら剥いて過ごさせるのはいくら何でも酷なので、俺はラビリンスに寒冷耐性を向上させる【付与術(エンチャント)】を施した。


 俺の手から発する温かな橙色の光が、ラビリンスの全身を覆って消える。


 その効果はすぐに現れた。


「ふわぁ……! 体がポカポカして暖かくなりました」 


 白を通り越して青白くなっていたラビリンスの肌に朱が差して、ラビリンスの強張っていた体が弛緩した。きっとラビリンスは今、体のうちから温められて下がっていた体温が元の体温まで戻っているはずだ。


「はふぅ……」


 寒さが消えてラビリンスは、安堵したような息を吐いた。


「また寒くなった時に頼めば掛け直すよ。天狐やミカエル、頑冶、エレナも出来るだろうからそっちに頼んでもしてもらえると思うよ」


「はい! わかりましたマスター。感謝します! 」


 ラビリンスは元気よく返事を返すと、不要となった毛皮のコートの前を開いて、しゅたたたーとマントのようにコートを広げながら走り去っていった。

 

 どこにいくのかと目で追っていると、日課である朝の鍛錬を黒士とアルフとしていたアッシュの元へ行き、何やら毛皮のコートを脱ぎ捨てて自慢げに胸を張っていた。


 何がしたいんだろう。

 「私はコートがなくても寒くないからね! 」とか言っているような様子だ。


 あ、アッシュが脱いだ。


 対抗心が沸いたのか、アッシュは上着を脱いで上半身裸となった。それを何故か黒士が手を叩き、アルフが「わかっているではないか」と言わんばかりに頷いていた。ラビリンスは、きゃーと悲鳴を上げつつも「卑怯だ」や「急に裸になるな馬鹿ぁ! 」などとこちらに聞こえてくる音量で抗議をしていた。


 アッシュとラビリンスがいつの間に、という思いはあるけれど、2人のやり取りは騒がしくも楽しそうだった。


 取り敢えず、アッシュが風邪を引きそうだし、アルフが真似して脱ごうとし始めているので止めにいってくるか。




「がおー! 捕まえたらくってやるにゃー! 」


「きゃー! 」


「きゃははは! 」


「捕まらないもんねー! 」


 ラビリンスには堪えた寒さのようだったけど、この辺りの過酷な冬を経験しているレナ達には問題なかったようだった。毛皮のコートを着込んだリンダやローナは、朝食を終えて馬車が出発するまでの間、広場で楽しそうにオリーやタマ達と元気に遊んでいた。

 雷光騎士団の人達もそんな子供達を邪険にすることなく、出発の準備を進めながら微笑ましそうに見守っていた。



 ルデリックさんの話だと、今日辺りでドラティオ山脈を抜けられるだろうということだった。とはいえ、そこから領都までは更に3日かかるそうなので、旅はやっと半分と行ったところだ。



 出発の準備が済んだ俺たちは、今日も馬車に乗り込んで街を目指して出発した。幼竜は、今日も特等席となった俺の頭の上で蜷局を巻いてぐっすり眠っていた。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「わー! ちゃっちゃーい! 」


「わんちゃんにとりさんだー! 」


「わんわん! くあっくあっ! 」


 今日は、それなりに魔力で人形を操れるようになったのでレナ達が乗る馬車にお邪魔してお披露目会をした。最近では小さい子供たちが馬車の移動に飽きてきているというので、その気分転換も含んでいる。


 操紫に作ってもらっていた手乗りサイズの白い石の狼と黒い石の鴉を動かすと、リンダやローナやケティが食いついた。


「すごい……! 」


「わぁ、まるで生きてるみたいですね」


 レオンとレナも興味深々といった様子で動く石像に意識を向けていた。アッシュは朝練で疲れたのか黒士に膝枕されて寝ている。


 レナ達の反応がいいので狼を円を描くように走らせながら、鴉を翼を羽ばたかせながらピョンピョンと飛び跳ねさせた。まだ石像を飛ばせる技量はないので、ジャンプさせるのが限界だ。もう少し布とか軽いものだったら宙を舞わせるくらいは慣れれば出来そうだ。


「マスター上達するの早いですね。大分魔力を操作するのにも慣れてきたんじゃないですか? 」


「そうですね。魔力糸の操作は、様になってきてますよ」


「ありがとう操紫。でも、どうだろ。前よりは確実に慣れてきているんだろうけど、出来るようになったら前は見えなかったことが見えてくるからな」


 ゴーレムを動かす魔力糸にしたって操紫はもっと流暢に無数の魔力糸を操れるのだから、10本の指の数だけの魔力糸しか操れない俺の先はまだ長い。



「カケルさん、カケルさんこれってポチやコガラスさんをモデルにしているんですか? 」


「そうだよ。操紫が用意してくれたんだ」


 横からかけられたレナの質問を俺は肯定する。四足歩行の動物と翼を持つ鳥となると、身近なポチや小鴉が一番イメージしやすかったのだ。魔力糸でその石像を動かすにあたってイメージというのは重要だ。でなければ、ぎこちない動きになってしまう。


「やっぱりそうなんですね! そっくりです」


「恐縮です」


 レナの惜しみない讃辞に操紫は微笑を浮かべて、シルクハットを取って会釈する。

 

「他の人がモデルのもあったりするんですか? 」


「リクエストは御座いますか? この場でお創り(・・・)いたしましょう」


 興が乗ったのか、操紫はシルクハットを手に持ったままそう言った。


「リューゲン! わたし、おっきくなったリュウゲンがいい! 」


「私はミカエル! 」


「え、えっと、じゃあ、私はエレナさんで……」


 真っ先に声を上げたのはローナだった。舌足らずな声を張り上げて主張する。次いでリンダがリクエストを言って、レナは視線を一瞬俺の方に向けた後、遠慮がちに希望を言った。


「ふむふむ、なるほど。レオン、君は何が見てみたいんだい? 」


 操紫はうんうんと頷き思案する素振りを見せて、残ったレオンへと声をかけた。


「……僕はエヴァが見てみたい」


 レオンが少し考える素振りを見せた後に出てきた名前に俺は、おや? と思った。エヴァのことをレオンが知っていることに少し驚いた。エヴァって誰? となっている他の子供達の様子を見た所、エヴァのことを知っているのはレオンだけだった。


 そう言えば、エヴァが今回の旅に同行すると急に言いだしたのは、子供たちが参加すると分かった後だったな……。


 いつも寝てばかりいるエヴァが珍しくやる気を見せたとその時は思って旅の参加を認めたけど、きっかけはレオンだったのか……?


「わかりました。では、お創り致しましょう」


 俺がそんな思考に陥っていると、子供たちのリクエストを受けた操紫がショーを始めた。


「龍源は、鱗の色に合わせてブラウンにしましょう」


 操紫がそう言って胸の前で白い手袋を嵌めた手を振る。すると、振った手の人差し指と中指の間にビー玉サイズの透明なブラウンの玉石が現れた。「あっ」とローナが声を上げた。


「ミカエルは、その美しい純白の翼を表現するにはシンプルなのがいいでしょう」


 そう言って再び手を振ると、中指と薬指の間に無色透明な玉石が現れた。操紫の褒め言葉に、子供達と一緒になって見ていたミカエルは気恥ずかしそうに頬を赤くして三対の翼を縮こまられせる。


「風のように大地を駆けるエレナは、エメラルドがいいでしょう」


 そして、手を振った操紫の中指と薬指の間に無色透明の玉石に並んで透明な緑色の玉石が現れる。


「そしてエヴァは、血のように赤いルビーがいいでしょう」


 最後にそう言って手を振ると、薬指と小指の間に鮮やかな赤い透明な玉石が現れる。



 

「色が決まれば、次は形を決めましょう」


 まるで手品のように、どこからともなく色とりどりの透明な玉石を出した操紫は、それらをもう一方の手に持ったシルクハットの中に入れてしまう。


「ドラゴンとなった龍源は、きっと威風堂々とした王者の気配を発しているでしょう。誰にでも救いの手を差し伸べるミカエルには、きっと救いを求める者を優しく包む慈愛に満ちているでしょう。草原を疾走するエレナは、きっと誰にも縛られない自由を持っているでしょう。闇の中で眠りにつくエヴァは、きっとその内に闇をも照らす光を抱いているでしょう」


 操紫は歌を紡ぐように朗々と語る。それに合わせて、シルクハットの中に指向性を持った操紫の魔力が流れていくのが視えた。


 次に操紫がどうするのかが気になった俺は、魔力糸での人形の操作を一度中断して、意識を向けた。アッシュを膝枕するアルフも興味津々と言った様子で身を乗り出す。


「形が決まれば、動かぬ人形に仮初の命を授けましょう」


 操紫がシルクハットの中に息を吹き込んだ。その時、魔力の流れが見えるようになった俺の目には、操紫の息に混ざって濃密な魔力がシルクハットの中に吹きこまれるのを視た。




「さぁ、ここに新たな命が生まれました。皆さま、彼らを拍手で迎えてあげてください」


 操紫がシルクハットを馬車の床にそっと置いて傾けると、その中から転がるようにして中身が出てきた。



 最初に出てきたのは、ケンタウロスのエレナを模したエメラルドの結晶像だった。シルクハットから駆け下りるかのように走って出てきたエレナ人形は、軽やかに跳んで地面に着地するとグルグルと円を描くように空いたスペースの中を走り回る。その動きは、まだまだぎこちない所がある俺とは違って、まるで生きているかのように滑らかで生き生きとしている。


 次いで出てきたのは、完全にドラゴンとなった龍源を模した茶色いトパーズの結晶像だった。シルクハットからのそのそと出てきたドラゴン(龍源)は、前足を踏ん張ってまるで咆哮を上げるかのように首をしならせて天に向かって顔を上げた。聞こえる筈のない咆哮が聞こえてきそうな再現度だった。尻尾の先を左右に振りながらドラゴンは皆が見える中央まで歩いていく。エレナ人形は、ドラゴンの登場に慌てふためいたかのようにドラゴンから背を向けてレナの方へと逃げた。ドラゴンは、そんなエレナ人形を無視して中央に辿り着くと、今度は両翼も大きく広げて立ち上がって咆えた。胸の部分がそれに合わせて膨らむという芸の細かさだった。


 その次に出てきたのは、三対の翼を生やしたミカエルを模したダイヤモンドの結晶像だった。多面カットが施されてダイヤモンドの輝きを十二分に活かしているミカエル人形の六枚の翼は、美しいの一言。光が反射してまるで七色に輝いているかのようで、それが広げられた姿でゆっくりと宙を浮いて出てきた。ゆっくりと六枚の翼が動かされているので、まるで飛んでいるかのようだった。中央まで飛んでいったミカエル人形はゆっくりと床に降りた。向かってくるミカエル人形に対して威嚇する仕草を見せていたドラゴンは、ミカエル人形が眼前に降り立つと、少しの間威嚇を続けた後、恭順を示すかのように頭を床にぺたりとつけて伏せた。ミカエル人形は、そのドラゴンの頭に手を置いた。ドラゴンが大人しくなると、エレナ人形はまた戻ってきてぐるぐると周りを回った。



「すごーい! カッコいい! 」


「キラキラ光って綺麗! 」


「ピカピカ! 」


「すごい……。本当に生きているみたい」


「うわっ、すごい! これどうやってるんですかマスター! 」


 目の前の幻想的な光景に子供たちは大興奮だった。ここが移動中の馬車であることを忘れてローナとリンダが立ち上がってはしゃぎ出す。ケティも光を浴びてキラキラと輝く結晶像たちに興味津々のようでミカエルの腕の中から手を伸ばして同じ言葉を連呼していた。レナは生き生きとした結晶像に驚き、ラビリンスも興奮して俺の裾を何度も引っ張ってきた。


 子供たちの中で、冷静なのはレオンだけだった。レオンは、キョロキョロと床を見回した後、首を傾げた。


「あれ……? エヴァは? 」


 その言葉に操紫が気付きましたか、と悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「どうやら彼女はお寝坊さんのようですね。レオン、手を出してもらえますか? 」


「こうですか? 」

 

 レオンは、不思議そうにしながらも操紫に言われた通りに手を差し出した。操紫がその手の上にシルクハットをポンと置いた。


「あっ」


 シルクハットを置かれたレオンが、小さく声を上げた。


「どうやら眠り姫が出てきたようですね」


 操紫がシルクハットを持ち上げると、レオンの掌の上ですやすやと眠る吸血鬼のエヴァを模したルビーの結晶像が現れた。


「女の子? 」


「ちっちゃーい」


「この子、眠ってて可愛い~」


 レオンの手元に子供たちから群がり、覗き込む。子供たちからの視線で目が覚めた……というわけではないのだろうけど、エヴァ人形は身動ぎして目を覚ました。横になったまま大きく伸びをして起き上がり、ぐるりと自分を覗く子供たちを見渡した後にレオンと目が合う。


「おはようエヴァ」


 レオンがエヴァ人形にそう声をかけた。



「あら、ありがとうレオン」


「ひゃ!? 」


 返事はレオンの真後ろから返ってきた。比喩ではなくレオンの体が跳ねた。手の上のエヴァ人形が跳ね上がってわたわたとする。


「あっ、お姉ちゃんいつの間に! 」

 

「気付かなかった! すごい! 」


 リンダとローナが、突然レオンの背後に現れたプラチナブロンドの金髪美少女に驚いて声を上げる。俺も不意の登場に少し驚く。ラビリンスも初対面なので、誰この子? と顔に疑問符を浮かべていた。


 レオンの手の上のエヴァ人形と瓜二つの容姿をした少女は、何を隠そうその結晶像のモデルとなったエヴァ、その人であった。

 癖のないプラチナブロンドの金髪を腰まで伸ばした少女は、吸血鬼の特徴とも言える血のように赤い瞳に白磁のような白い肌で、鋭い犬歯を口元から覗かせていた。身長は150㎝と小柄で幼い容姿に反して背中と胸元が大胆に露出した黒のイブニングドレスを着ているが、彼女が醸し出す背徳的とも言える妖艶な色気で彼女には良く似合っていた。




「おはようございます。エヴァさん、ゆっくり眠れましたか? 」


 操紫は驚いた様子もなくエヴァへと声をかけた。


「そうね、よく眠れたわ。村長も久しぶりね」


 エヴァがそう言って俺を見てきたので、それに答えた。


「おはようエヴァ。こうして顔を合わせるのは初日以来だな」


「あら、そうだった? まぁ、いいじゃない。それよりも操紫、あなた随分と面白いことをしているようね」

 

 エヴァは、レオンの手の上に乗る自身を模した人形を一瞥して言う。


「お気に召さなかったですか? 」


「あら、どうして? 私、ルビーは好きよ。だから別に怒ってないわ」


 エヴァは、そう言って口元に手を当てクスリと笑う。


「でも、そうね。どうして私を模した人形が作られたのかは気になるわね」


 それは、操紫というよりは赤面しているレオンに聞いているようだった。悪戯な笑みを浮かべてエヴァは、レオンの背中にしな垂れかかる。


「レオン。どうして私の人形が作られたのかしらね? 」

 

「ふぇ!? え、えと……ええっと……! 」


 エヴァはもうその答えを知っているんだろうなぁ、とレオンの耳元に口を寄せて囁きかけるエヴァを見ながら思う。あれは多分、レオンの影に潜んでこちらの様子を窺っていたに違いない。確信犯だ。


 そして、あのエヴァがレオンとこれ程、親しくなっていたのは驚きだった。いつもどこかで寝ていると思っていたけど、エヴァもちゃんと交流していたんだなぁ……と何だか引きこもりの娘が友達と仲良くしているのを見て安心する親のような気持ちになった。



 


 それからレオンは、弄り疲れたエヴァがレオンの膝元で眠りにつくまで延々とエヴァ人形のことでエヴァに弄られ続けた。



「やっと眠ったようですね。レオン、君は大丈夫でしたか? 」


「は、はい。あ、操紫さん。これ、ありがとうございました」


「いえ、それは君が持っていてください。その方がその子も喜ぶでしょうから」


「えっ」


「エヴァさんはよく眠る方なので、いつもあなたの傍にはいないでしょう? それでは寂しいでしょうからその代わり、というわけではありませんがその子を持っていてあげてください」


「……本当にもらってもいいんですか? 」


「ええ、大切にしてくださいね」


「はい。大事にします」


 ルビーのエヴァ人形を大事そうに握ってレオンは操紫と約束を交わした。


 一方で操紫に結晶像を作ってもらった子供達は、それから何度も操紫にリクエストを出しては目の前で形の変わっていく結晶像に目を奪われて楽しんでいた。いつか操紫みたいなことが俺もできるようになりたいものである。






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