藍色の海の上
大地に留まることから諦めた時から航海は始まった
夜の航海の光はわずかに藍色の海を照らす
夜の闇に包まれた辺りをあてにすることはなく
ただひたすら地図と羅針盤を頼りに船を進ませる
それでも私はこの色には慣れているから
恐れや不安を抱いてもこれとうまく付き合うことができる
船の設計は旅をよく知っている自分がそれに合わせて行う
地図は信頼できる人に書かせ
羅針盤は自分の長年培った感覚でできている
羅針盤はいつも遠くかなたの同じ星を指す
予想できない未来に誰が運命を委ねられるというのか
しかし誰かが一度は描いた軌跡を同じように辿ることに意味があるというのなら
私はこの道を行き
運命を暗闇の中に委ねなくてはならない
誰かの人生に追随したことのない私にとっては初めての感覚だ
目的地はどんな場所か分からない
自分の意志に従うことは許されない
だから灯台の明かりが進行方向と同じ方向に光っているのを見て
運命を背負っているのは一人ではないんだと
ほっと安心する自分がいた