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第四話

朝、バタバタして結局昼から学校に行った俺は、この生活になってから初の部活動を楽しみにしていた。


「高井、だよね。俺|結城<ゆうき>|翠<みどり>!部活行くなら一緒に行こーぜ」


なぜならそうこの結城とまた交流を持てるかもしれなかったからだ。結城とは今っていうか、おっさんの時も交流があり親友と呼べる存在だった。


「結城ね、よろしく。俺は|高井<たかい>|明偉<あきひで>。ポジションは一応|SG<シューティングガード>。結城は|PG<ポイントガード>だよね?」


いつも翠って呼んでるから違和感しかない。けど、いきなり翠って呼ぶのも変な気がするし、困ったもんだ。


「そそ。2年になったら俺らペアになるかもしれないからよろしくー」


前のとき、と称すがそのときもこの結城とは高校生時代にいいペアで、都大会も出場できた記憶がある。


「よろしく」


「なんか硬くね?てか苗字呼びってなんか距離感感じるからアキって呼んでいい?同じクラスなんだし」


そうだ、この軽いノリが翠の通常だ。なんか懐かしくなってしまい、笑ってしまった。


「何笑ってんだよ」


「いや、良いやつだなって思って。じゃあ俺も翠って呼ぶね」


自然な流れでいつもの呼び方をできるようになったと思う。


「おー。じゃあ部活行こーぜ。早く行かないと顧問と部長に怒られるし」


「そうだな」


急いで部室に向かい、着替え体育館へと向かう。


「おはようございます!!!」


アップをしていた部長に挨拶を再度して、アップをして自主練をする。俺のポジションであるSGは、主にスリーポイントシュートを打つのがメインだからシュート練を軽くする。


(あーこの感じ懐かしいなぁ…)


20年ぶりに触ったバスケットボールの感触も懐かしい。体感的には久しぶりにバスケをしたが、体はしっかりと感覚を覚えているようでボールはシュッとネットを通り抜けて行った。この感覚はいつになっても気持ちがいいものだ。軽く練習をしていたら部活の始まる時間になっていたようで、部活が始まる。


準備体操をして、体力作りのための基礎練が始まる。基礎練なんてほとんど走るだけだ。おっさんになった今、体にガタが来始めてきて膝が痛くなることもしばしば。そんな中、全力で走っても息が切れるだけで膝も痛くない、腰も痛くない。なんなら走ることが楽しい。そんな感覚に襲われて1人だけ全力で走り込みをしていた。


俺が高校生の頃はもっと適当にやっていた気がするので、周りからは奇怪な目で見られた。きっと1年生の頃はもっと適当にやっていたんだと思う。


「っはぁ、5分間休憩!」


そう声かけをする部長の声で、部員の俺らは床に座ったりしてスポドリを飲んで、汗を拭う。スポドリはマネージャーの子が作ってくれて配ってくれるし、タオルもマネージャーの子が配ってくれる。


だからマネージャーの子もずっと走り回っているし、結構大変そうだなって今になると思う。高校生の頃なんて、今日のスポドリなんか薄いなとか思ってありがたみなんて1mmも感じていなかった。


俺のところにタオルとスポドリを配りにきてくれた子、|下園<しもぞの>|雛乃<ひなの>さんにお礼を言って受け取るときょとんとされた。


「高井くん、急にそんなしっかりしたお礼してくれるなんてどうしたの?いつもうっすみたいな感じで受け取るじゃん」


「改めてマネージャーの、人達には感謝しないといけないと思って。いつもスポドリとかタオル洗ってもらうの当たり前だと思ってるけど、これって結構女の子からしたら重労働でしょ。タオルなんて汗拭くから汚いし…だからいつもありがとうね」


間違えてマネージャーの子っていうところだった。同じくらいの年なのに、明らかに年下向けの発言はよろしくない。


「…なんか嬉しくなっちゃうな。これからも頑張るね。ありがと!!」


下園さんが去ってから、なぜかニヤニヤした翠が近づいてきた。


「何急にマネの子にアピールしてんの。もしかして下園さん狙ってんの?」


「違う。そんな下衆い理由じゃなくて、ただ普通の感謝の気持ちを言っただけだ」


翠はやたら俺の恋愛面とかに突っかかってくることが多かったけど、このときからそうだったのか。


「ちぇ、なーんだ。つまんねーの…ま、でもお前みたいなやつにイケメンムーブかまされたら、女の子なんてすぐコロッと好きになりそうだけどな」


「イケメンムーブ?そんなのしてないんだけど」


「嘘つけ。笑顔でいつもありがとうはイケメンムーブだろ」


そういうもんなんだろうか。俺としては礼儀って感じなんだけど。それに俺はおっさんだし、こんな若い子みても恋愛対象ってより保護対象にしか見えないから翠が望むような未来はない気がする。


「休憩おわり!シュート練するから並べー!」


「やべ。後でまた聞くからな!」


「聞いたって変わんないよ」


2人して慌てて体育館のステージの上に飲んでたスポドリとタオルを置いて、部活に戻るのだった。


翌朝、俺は昨日あんなに走り回ったのに筋肉痛ひとつもない若い体に驚き、若さってすごいなと思うのだった。

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