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9、夜襲

 レベッカ・シューティングスターは焦っていた。


 彼女の最愛の男の娘系幼馴染、スカイ・キャリアベースはよくモテる。


 有能生徒会長という肩書に加え、困った人を放っておけない善性。そして、その圧倒的なカリスマと美貌。惚れるな、という方が難しい。


 本人は「いやぁ、僕は救える人、救う価値のある人だけを救っているだけさ」と謙遜しているが、鼻にかけない所もまた素晴らしい。


 家がアパートの隣同士で、物心ついた時にはいつも一緒。


 ――こりゃもう今すぐ付き合って、身体を重ねて、将来は結婚して、子供を作るまで確定路線でしょ!


 だというのに、レベッカのアプローチを彼は毎回袖にする。この手のラブコメ主人公にありがちな、鈍感で流しているのでは無く、彼女の好意を分かった上でやんわり拒絶しているのでたちが悪い。


 彼を狙っている女子生徒は多い。彼女の永遠のライバル、生徒会会計にして、ヤンデレ気質のアリス・アリゲーターを始め、地味な優等生ぶってスカイとの距離が近いマリー・ホーネットに、明確に好意については口にしていないものの、「顔はどストライク」らしい生徒会副会長、エリザベス・ラプター。そして、ふらっと生徒会に来て人間観察をしながらスカイと仲良しなOBセラフィーナ・ラグナロック。


 ざっとスカイの周りでも、これだけのライバルがいる。


 これはもう、さっさと決着をつけるしかあるまい。兵は拙速を尊ぶとも言うし。


「………という訳で、夜這いに来たよ!!」


「帰って!」


 ここはスカイの部屋。シングルマザーである彼の母は夜勤だったが、スカイの姉に「彼と話したい事がある」って言ったらあっさり入れてくれた。持つべきは話が分かる幼馴染のお姉さんだ、とレベッカは思う。


 ちなみに、スカイには姉が2人いる。入れてくれたのは2番目の姉。1番目の姉は恋人と遊びに行ってるらしい。きっと今頃、全年齢版では書けない様な事をしているに違いない。


「スカイ〜。本当にモテるねぇ。今度は邪悪なロリ神様なんて〜妬けるね〜」


「レベッカ……目が怖い」 


 机に座って課題をしていた彼は、夜、突然襲撃してきたレベッカに珍しくビビっていた。冷静な彼にしては珍しい。


 ネクロディアはいなかった。


 あの後、場はしばらく騒然としたが、邪神はスカイに半分融合されてしまった関係上、離れる事が出来なくなったそうで、最終的に彼の預り、という方向になった。というか、そうするしか無かったともいう。


 ちなみに、彼女は影法師の出ない所では存在出来ず、彼の心の中に居候してるとの事である。


 ともかく、彼女にとって不味いのは、不味いのは新たに強力なライバルが出来たという事だ。


 ――あの子……結構可愛かった。もし、彼がまかり間違って、彼女と恋仲にでもなってしまったらどうしよう。


 そりゃ、レベッカは彼とは幼馴染だが、常に一緒にいる訳ではない。彼女にだって人間関係ってものがある。あの四六時中一緒にいるであろう神様が急速に距離を縮める可能性を否定できない。


 長年の片思いが失恋に終わるかもしれない。ラブコメにおいて、幼馴染系ヒロインは負けフラグと昔から相場が決まっているし。


 不安は不信を生み、不信は焦りを生んだ。


 だから、彼女は強硬手段に頼る事にした。スカイに近づくと、耳元で甘い声を出す。


「ねぇ、スカイ。私と1つになろ? スカイがしたい事、なんでもしてあげるよ♡」

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