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6、触手(P世界線の姿)

「隊長、結論から言うと、祠の屋根については何とかアリス達が治せそうです」


「ふふん。非公認ファンクラブ、『狂愛大隊』の工学部こと通称『ヤンデレ四天王』に任せなさい!」


 そう言ってドヤ顔しているアリス。というか、自身の非公式ファンクラブが、そんなおどろおどろしい名前な事を初めて知ったスカイである。


「ねぇエリザベス。僕、アリス達に借り作るの怖いんだけど……なんかヤンデレ四天王とか言ってて怖いんだけど」


「良いんじゃないですか? 隊長なら顔とカリスマで彼女達くらい手のひらで転がせますよ」


「そんな、人を性悪ホストみたいに……」


 実際、顔面偏差値に自信はあるが。下手したら刺されそうで怖いだけで。


「大丈夫大丈夫。私ら、話の分かるヤンデレ。怖くない怖くない」


「自分で自分の事を怖くない、とか言うやつの事なんて信用出来ないんだよなぁ」


「ま、それについてはともかく、問題はこれだね……」


 アリスが目を向けたのは、木っ端微塵になった蛙のご神体。……見事に粉々である。ミンチよりひでぇや……。


「しかもさあ、あの意味深なお札! 見ろよ! 絶対この後ホラー展開になるって! それも邪神とか出てくる系の! やだよ、学園生活がクトゥルフ色になるの!」


「隊長、落ち着いてください……」


 エリザベスに言われて、スカイは深呼吸を1つ。いけないいけない。ここで『隊長』がパニックになったら皆まで混乱してしまう。


「……とりあえず、祠はアリス達に直してもらおう。アリス、予算見積もり計算しておいて」


「アイサー! 出来るだけ面白く仕上げてみせるであります! とりあえず屋根にドリルをつけるであります! サー!」


「サー! 絶対にやめろよ! サー!」


 アリスに指示を出しつつ、スカイは砕けた神像を眺めた。


「アリス……これって、接着剤とかでくっつくかな?」


「うーん……石像っぽいからなぁ……それにここまで木っ端みじんになったらなぁ……」


 ご神体ならその辺で買ってくるわけにもいくまい。さて、どうしたものか……。


 スカイは何気なく、砕けた蛙像のかけらに触った。


「……えっ?」


 彼は思わず息をのんだ。




 出ている。触手が。




 蛙像のかけらから。




 なぜか出ている。




 気づけば、蛙の舌を思わせる気持ち悪い触手がスカイの手に絡みついていた。


「うわ、なんだこれ!きっっっっっしょ!!」


 オードリーがそう叫んだ。どうやら、見えているのはスカイだけじゃないらしい。他の皆も驚愕した様な顔をしている。そこまでしてようやく、彼も理解が追いついた。


 蛙像の欠片から生えた触手が、彼の手に巻き付いている。ありえない光景を見せつけられると、思考が一瞬停止するらしい。


「うおぉぉぉ?!」


 ここにきてようやく来る驚愕。大慌てで触手を払おうとするが、粘膜をまとったそれはしつこく絡みついてくる。


 そして、さらに唐突に響く声。それは耳ではなく脳に直接響いてくる様な感触だった。


 ――まぁ~なんて可愛らしい『女の子』!! 生贄にしても良いけど、私の依り代にもぴったり!!


 そう、10台前半位の女の子の声が響いたかと思うと、スカイの体は、像の破片から一斉に伸びて来た触手に包み込まれた。

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