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1、トロッコ問題

 

 ここはP世界線。ほんの少しだけ、そこに生きる人々が賢かったお陰で、W世界線とはまた違った歴史を辿った、血まみれの内戦が起こらなかった世界線。


 放課後のアポカリプス学園の生徒会室。カーテンの隙間から差し込む夕陽が、木製の机にオレンジ色のグラデーションを落としている。そこには5人の男女がいた。


「ねえスカイ。さっき、エリザベスとトロッコ問題の話してたんだ」


「へえ、倫理の課題かなんか?」


 生徒会長席に腰掛けて書類を整理していた生徒会長、スカイ・キャリアベースが、ふと顔を上げる。話しかけてきたのは、彼の妹分にして、幼馴染にして、生徒会書記、レベッカ・シューティングスターだ。


 歳はスカイと同い年。仲は良いが、別に付き合ってはいない、くらいの微妙な距離感の少女だ。


「うん。スカイはどうする? 5人を救うために、1人を犠牲にするスイッチ……押す?」


 有名な思考実験だ。暴走するトロッコがある。線路の先では5人の作業員が作業している。そのままだと確実に5人は轢かれてしまう。だが、目の前にトロッコの進路を切り替えるスイッチがある。それを押せば、作業員1人だけがいる場所に進路を変更する事が出来る。


 その状況でスイッチを押すか、という問題だ。


「押すに決まってるじゃん。5人助けた方がお得でしょ?」


「……え、即答? もうちょっと悩んでよ」


「あれ、だってさ。悩んでる間に5人全員轢かれて死んだら、それこそ損失でしょ?」


 スカイはさらっと言って、また書類に目を戻す。


「柔らかな白髪が陽に透けて神々しい。それに、頭頂部のアホ毛もピョコピョコしてて、いつも通りのチャーミング。……それにしても即答かぁ。流石隊長、ゾクゾクするねぇ」


 そんな声がかけられる。


 声の主はアリス・アリゲーター。生徒会会計。……工学女子にして、割とストレートに彼に好意を示してくる15歳。よくレベッカとバチバチしてる。


 さて、レベッカはペンを持ったまま固まる。そして、じわりと顔をひきつらせた。


「お得ってなによ!? 人命の話してるんですけど!? 怖いよこの幼馴染ぃ!」


「えぇー……でも君もそう思うタイプでしょ? 正論でしょ?」


「そこは否定できないけど……! もうちょっと悩むフリしようよ! 心ってものがあるでしょ!」


 スカイは小さく笑った。


「……悩んだ顔してたら、君が安心するなら、今度からそうするよ」


「それはそれで怖いな!」


「彼、軍人になったら大成するかもねぇ……良くも悪くも」

 

 少し呆れた様に言うのは、窓際で校庭を眺めているセラフィーナ。相変わらず、趣味の人間観察に興じている。


 放課後の生徒会室は、いつもながらのゆるやかな空気に包まれていた。

PとWはIFというより、少しだけ歴史上のボタンを掛け違えた結果、分岐したどちらも正史。東洋の某列強を模倣したと言ってる通りP世界線は日本ポジの国をモデルに近代化した感じ。

P世界線は100年前に市民革命成功で立憲君主制に移行+近代化成功したルート。

W世界線は100年前の市民革命失敗で王権独裁政治継続+歪な形で近代化・軍国化したルート。


作者がジークアク〇にドハマりしてるからね……

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