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15、正室の資格

 バンデット作戦後の教会の一室。スカイが寝床にしている部屋。


「八股かけてるなんて、スカイも大概ハーレム主人公様だよね」


「……なんだよ。藪から棒に」


 彼の腕にレベッカが抱きついている。甘えつつも、どこか寂しげな表情だった。


 バンデット作戦成功後、部屋に来てくれたレベッカと致した後の事だった。少しうつらうつらしてた所で、彼女に起こされた。


「アリス、って寝言で言ってたよ……」


「……」


 おもむろにそんな事を言われ、思わず目をそらす。


「スカイってさぁ……私にはめちゃくちゃ依存してくるよね。普通、堂々と浮気の許可取りに来る恋人とか居ないって」


「……それについては……悪かったとは思っている。誠実じゃないって思ったから」


 彼女と恋仲になった数カ月後、大隊の為に何人かを男女の情を用いて籠絡する為、許可を得るためレベッカに頭を下げたのを、彼女は今でも根に持っている様だ。


「なんでも正直に言えば良いってもんじゃないでしょうが」


「…………」


 これについては、何も言えない。彼は、レベッカ以外にも666大隊のメンバー何人かとも『そういう関係』にある。それは事実だ。


「だが、正室の座については他の誰にも渡さない。一番はレベッカだ。それは他の連中にも明言済みだ」


「誠実なんだか、不誠実なんだか………………大隊の為、なんだよね。……本気であの子達を愛してるわけじゃ無いんだよね?」


「ああ。マリーとアレクサンドラは、元々軍と王都から送り込まれた監視役。それを篭絡しないと、俺がここで自由に部隊を指揮できない。なんなら、『生贄吸収』の強要までされていただろう」


「……」


「グレイシーは、元は反政府軍のスパイで二重スパイにするのに、俺の色気を利用した。見事に骨抜きにされて、俺に抱かれる為に、仲間の情報全部売り渡してきたのは滑稽で、哀れですらあった」


「……オウル隊第一小隊の子達……元スパイや情報部門の子達を密偵にしてるんだから、性格悪いよ、本当」


「アリスとエレナとマルタとフローラは………………有能で忠誠心がある。手放したくないし100%の力を発揮出来る様に情を燃料にする。それに、あのヤンデレ連中は一応、話が分かる。あいつらの手綱を引く為にも完全に制御下に置きたかった」


 そこまで言って、あと、アリスに関してはレベッカが否定する俺の暴力性を全肯定してくれる貴重な相手だから……というのは、流石に飲み込んだ。


「全員、恋愛感情とか可愛かったからとかじゃなくて、100%必要だから抱いてるだけなのが、逆に終わってる」


 スカイがポツリと呟いた一言に、呆れた様にレベッカはため息をついた。


「怪しいもんだけどね。口ではそう言っても全員、割と本気な気もする…………特にアリス」


「女の勘ってやつか?」


「3人でする(・・)時もあるくらいだし、そりゃ分かるよ……アリスを抱くときの目が本気」


「……」


 …………そう言われては黙るしかない。


「……まぁ、でも、良いよ。最終的に私の所に帰ってくれるなら……」


「ああ。一番はレベッカだ」


 スカイがそういうと、彼女は俺の唇にキスを一つ。


「……ねえ?誰が一番気持ちよかった? 私だよね?」


「もちろん」


 スカイの答えに満足したのか、レベッカは彼から離れると、ベッドの上で背を向けた。


「あーあ……とんでもない男に惚れちゃったなぁ」


「……別れたいか?」


「…………本当に性格悪いよね。出来ないって分かってて聞いてる」


 静かに、だが、はっきりとレベッカは呟いた。


「それに私がいなくなったらスカイ自身が壊れちゃうでしょ」


「……」


「大隊守る為にもそれは出来ない…………浮気についてはこれ以上は言及しないよ」


 そのまま、レベッカは寝返りをうって、顔をスカイの方に向けた。


「…………謝らないで、かえって惨めになる」


「……」


 彼は気まずくなって、レベッカから顔を背ける事しか出来なかった。


 空の月は雲が覆い隠していた。

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