14、正論
「バンデット作戦、大成功です。流石は政府軍最精鋭ゲリラ部隊! 殿下、お疲れ様でした!」
廃村へ戻ると、真っ先に出迎えてくれたのはエリザベスだった。眼鏡の奥の桃色の瞳が、興奮気味にキラキラしている。
「アーマード補給車も無事帰還しています。現在、戦利品の検品中ですが──おおよそ二週間は食料に困りません!」
「それはいい。命を懸けた甲斐があったな。……俺も今回は敵を三人も殺った。衛生兵が二人、工兵が一人。ハチの巣にしてやった!」
「さすが殿下! お見事です!」
王都を追われて、もう五日。逃げ続けるばかりだったが、ようやく反撃の一矢を放てた気がする。部隊の空気にも、久しぶりに活気が戻っていた。
「……損害は?」
「負傷者が三名。イーグル隊から一人、ユリシアが。ウッドペッカー隊から二人。ファニーとクリスティン。ただし、メアリーの診断では軽傷。回復魔法の範囲内です。現在治療を受けていますが、いずれもピンピンしています」
「素晴らしい。こちらの被害を最小に抑え、敵には最大の打撃。……ゲリラ戦の教科書に載せたい程の美しい成果だな」
「母君の教えの面目躍如ですね、殿下」
俺がそう言って笑うと、横で聞いていたキャサリンも微笑む。しかし、その隣でレベッカの表情が少しだけ曇っていた。
「……最大の打撃、かあ」
「……レベッカ?」
気になって、つい声をかけた。
「……ううん。なんでもない。ただ……あそこまでする必要、あったのかなって。なんだか……あの時を思い出したんだよ、スカイ。ダラ通りでの……あれを」
……ブラッディ・ダラ。
ハマン市街戦の一幕。狭路に追い込んだ敵第13歩兵旅団の少年兵達を機銃掃射で殲滅した、あの地獄。瓦礫に詰まった血と肉。今夜の集積地での掃討は、あれと酷似していた。
「……気持ちは分かる。だが、生き残りが出れば我々の存在が露見する恐れがある。次に襲われたら、今の我々では持たん。……死人に口なし。証拠は残さないに越したことはない」
レベッカは少し俯き、目を閉じて──息を吐いた。
「……分かってる。……うん、スカイの言ってることは正しい。正しいけど……正しいのが、辛い」
しばらくの沈黙のあと、彼女は顔を上げた。無理にでも笑顔を作って。
「ま……ここまで来たら、最後までついていくよ。地獄まで、ね」
「……ああ」
そしていつものレベッカらしく、ぱっと切り替えた笑顔で話題を変える。
「ところでエリザベス、井戸ってまだ使える? 水浴びくらいしてもバチ当たらないよね? 泥と血まみれでさ、なんかもう体ベトベト」
「ええ。使用可能です。ただ、冷えますから風邪には気をつけてくださいね」
「アイマム。……じゃあ、さっさと洗ってくるよ」
そう言って歩き出す直前、レベッカは耳元にそっと囁いた。
「……体、綺麗にしてくるから。寝床にしてる教会の部屋で待ってて」
「……了解」
手をひらひらと振って、レベッカは井戸の方へ向かった。その後ろ姿を見送りながら、隣のキャサリンがぼそっと囁く。
「隊長、一緒に水浴びしてきたら?」
「……やめとけ。多分、他にも何人か入ってるだろう」
「見られて困るような子、隊内にいませんけどね?」
「俺が困るんだよ」
キャサリンは肩をすくめて、にやりと笑う。
「将来ハーレム作る予定の男が、ずいぶん奥手ですね?」
「おい、それどこ情報だ」
「ウッドペッカー隊の子たち。クリスティーナが隊長の家族になる計画とか話してたって」
「……うん、まあ。クリスティーナにはそんな事言ったけどね、軽く」
「だったら、裸の付き合いから始めてもいいんじゃないですか? きっと本音も聞けますよ? なんなら、私と一緒に入りますか?」
「……いや、無理。乙女の入浴を覗く趣味はない」
「隊長、外見だけ見たら乙女みたいなもんでしょ」
「外見だけだ。俺には生えてるんだよ」
「……しかも童貞じゃない。というか、セックス依存症気味」
「…………」
俺はエリザベスの背中に助けを求める視線を送ったが、あえて気づかないふりをされた。
「キャサリン。君……意外と情報通なんだな」
「皆、ちゃんと見てますよ。特に、好きな人のことはね?」
……冗談なのか、本気なのか。
キャサリンは淡く微笑んだまま、それ以上は何も言わなかった。
困った事に守備隊全滅(全滅判定じゃなくて文字通りの「皆殺し」)&残った施設と死体にブービートラップ山盛り+時間があればクソ塗りパンジーステークやら竹槍入り落とし穴設置済み&敵軍(666)は仕事が済み次第即撤収なんてレベル100のベトコンムーブやられたら追撃しようが無いのである……。
なんなら田舎補給基地にまともな戦力なんて置いてないだろうし最初の30分で殲滅完了。残り時間でブービートラップ創作選手権してたまである。ドアノブ連動頭上ショットガン!(SAWのアレ)ワイヤー踏むと連動してRPGが飛んでくる!ベッドの下に地雷設置、重傷者寝かしたらズドン!




