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召喚士、異世界に転移する

作者: pan

初めての異世界モノです。お手柔らかに……

 異世界転移。それは文字通り、過ごしている世界とは異なる世界に移るということ。


 いつ、誰がこのようなことをし始めたのか。僕らは、今いる世界を救う者、いわゆる勇者を召喚するために行っていると聞いているが、本当のことは知る由もない。あまりに一方的な理由だから少々疑っている。


 それも、僕はこの目で幾度となく転移してきた者を見てきた。


 声を荒らげる者。静かに涙を流す者。無関心の者。転移してくる大半の者は否定的な感情がこぼれていた。


 とはいえ、たまに、それとは正反対の者が現れる。テンションが高いと言うべきか、初めての出来事に心躍る子どもと言うべきか。ただ、そういう者に限ってすぐに諦めてしまう。


 転移してきたのに魔法が使えないだの、筋トレしても剣がまともに扱えないだの。悪態ばかりをついて、終には城を出てしまうらしい。


 その度に転移魔法を扱う召喚士に苦情が入ってくる。ただ、国王の命令に従って召喚しているだけなのに。


 何を隠そう、僕、キュリオ・グラッドは召喚士なのだ。昔から魔法は得意で、気になった魔法は本で調べたり練習したりしてきた。この転移魔法は難しい方ではあるが、正直僕にかかれば楽勝だ。


 普通は三人協力して転移させるのがやっとなところを、僕は一人で、しかも一日に三回は発動できる。生まれつきの魔力量なのか、勉強の成果なのか、今まで魔法には困ったことがない。


 現に召喚士になれたのもそのおかげ。実は一度だけ、国を脅かすほどの魔法を放ちそうになったことがあって、それを聞きつけた国王が僕に召喚士の称号を与えてくれた。


 なんでも、この処遇は異例なのだと言う。確かに、普通ならば国を滅ぼしかけるほどの魔力を持ち合わせている人間を見逃すわけはない。おそらく、そうしなければならないほど、国王は焦っているのだろう。


 とはいえ、国王には感謝しなければ。こんな仕事(まなび)、他にない。

 僕はいつの間にか、異世界転移してくる者に興味を抱いていた。もっというと、異世界とはどんな世界なのか、知りたくてうずうずしているのだ。



 ◇◆◇



「おい! 早く元の世界に戻せよ!」


「そう仰られても、国王様の許可を得ないことには……」


「くそ! あぁ……俺の、愛しのアリスたん……もう少しで俺はキミと一緒になれたのに……」


 どうやら今日も不作のようだ。というか、毎日こんなものだ。一日に召喚されてくるのはせいぜい三人、多くて五人ほどか。


 今日はこれで三人目。一人目と二人目はすでに国王と謁見済みなようで、この世界で生きていくことを決めたらしい。


 らしい、というのは、僕ら召喚士は召喚された者の行く末を知らないのだ。ただ召喚して、王国直属の兵士に引き渡す。


 なんとも奴隷のような扱いだが、兵士曰く、勇者候補というのは力を持っていて危険らしい。その力が目的で召喚しているのだから当然と言えばそうなのだが。


 ただ、ただただ悔しい。なぜ、その異世界人と話すことも許されないのか。

 じっくりと話し合いたいのに、召喚された者がこの世界を受け入れたら兵士が国王の下に連れて行く。


 もちろん、自分から異世界人に話しかけたことはある。しかし、すぐに兵士が間に入ってきて強制終了。それ以来、話しかけるなんて無謀なことはしなくなった。


 ということで、今度は盗み聞きや行動パターンを入念に意識するようにした。今もこの世界を受け入れられない異世界人の言い分を盗み聞きしている。


「あの、そろそろ国王様へ謁見を……」


「うるさい! 早く元の世界に戻せってんだ! こっちはいいところだったんだぞ!!」


 さてさて、「いいところだった」とはどういうことなのか。さっきはアリスたんなどと言っていたが、もしかしてあの男が手に持っている女の子を小さく模造した物のことを言っているのか……?


 なんとも不思議な男だ。髪は荒れに荒れていて、腹も少し出ているようだ。上下に黒地で伸びきった布をまとっていて、なんとも貧相に見えてしまう。そこまで近くにいるわけでもないのに臭ってくるし。


 まあ、言動や身なりから察するに、しょうもないことをしていたのだろう。

 同じく、異世界人の対応をしていた召喚士の一人、シーグルさんも察したようだ。


「はあ……わかりました。もし、国王様と謁見されましたら、そのアリスたんとやらを増やして差し上げましょう」


「ふん。そんな冗談に付き合ってられるか」


 ならば、とシーグルさんは異世界人の目の前で詠唱し始め、瞬く間に異世界人の手に持っている女の子と瓜二つの物体が現れた。


 異世界人は呆気にとられ、ただただ魔法によって作られた女の子を見つめている。


「素材は異なるかもしれませんが、これで信じていただけましたか?」


「お、おう。これって、俺もできるようになるのか……?」


「あなた様は勇者として召喚なされました。この創造魔法の類など、すぐに会得できることでしょう」


「ほ、本当か!?」


 先ほどまでの悪態はどこへやら。その後、異世界人は喜々として国王との謁見を受け入れ、目の前からいなくなってしまった。


 何をそこまで彼を駆り立てるのか。まったく見当がつかないが、やはりしょうもないことのような気がする。考えるだけ無駄かな。


「はあ……」


「お疲れさまです、シーグルさん。今日も大変でしたね」


「ああ、キュリオか。お疲れさま。大変と言ってもこれが日常だからな、もう慣れっこだよ」


 そう言いつつも疲れているのかため息の回数が多い。シーグルさんはこの場にいる召喚士では歴が一番長いという。そんな彼が心労してしまうのだから、この仕事は大変重たいものでもあるのだ。


「それにしてもキュリオはすごいな。嫌な顔どころか嫌味も言わないなんて」

「あ、あはは」


 異世界人の観察をしているなんて言えるわけがない。ただの変態だし、国王からしたら侮辱罪に当たりそうだ。


「はあ、わしもそろそろ潮時かな」


「え?」


「なに、もう歳なのだよ。さっきの創造魔法で精一杯、魔力も底に付きそうなのよ」


「そんな……」


 もし、シーグルさんがいなくなったとしたら、この仕事はだいぶ落ち込んでしまう。歴が長いからこそ異世界人のことを知っているのであって、対応をしやすい。そんな人がいなくなるのは大変な損害だ。


 なにより、僕の観察の時間が、なんて言っている場合でもないか。


「シーグルさん……」


 僕とシーグルさんの話が聞こえていたのか、一緒に仕事をしている召喚士も悲しんでいるようだ。無論、心の支えがいなくなってしまうということなのだろうが。


 とはいえ、このままいなくなってしまっては困る。せめて異世界人との対話のためにも残っていただきたい。


「まあまあ、みなさん。そんな顔をしないでおくれ」


 シーグルさんはなだめるように落ち着いた声色で答えた。


 満ちかけている日は、まさしく現状を表している。今まで重鎮として支えてきたジトが引退宣言をしようとしているのだ。これを最後の言葉と受け取らなくてどうする。


「これから大変かと思うが、みんな。頑張ってくれ」


「はい!」


「頑張ります!」


「よーし、今日は送別会だ!」


 これこれとシーグルさんは場を落ち着かせようとしたが、その火は燃え尽きることはなかった。

 ええい、乗るしかない。このチャンスを逃すわけにはいかない。


「シーグルさん!」


「お、どうした。キュリオ」


「あ、あの……異世界人について聞きたいです、シーグルさんの跡を継ぎたいです!」


 シーグルさんは目をぱちくりしている。無理もない話だ。異世界人の話を聞きたいという人は僕以外にいないだろう。まわりにいる人たちも僕の声に気づいたのか、いつの間にか静かになっていた。


 これを逃したらもう二度と話すこともないかもしれない。だったら、ありったけの異世界人の話を聞くしかないじゃないか。


「そうかそうか。でもな、異世界人の話はできないよ、国王様に話すなと言われているからね」


「で、でもそれは召喚士以外のお話しで……」


「それでも、わしは話さんよ。それに君はまだ十五の子どもだろう?」


 まだ知るには早すぎると言わんばかりに頭に手を置かれた。シーグルさんが自分に厳しいことは良く知っている。一か八かの賭けだったが、あえなく失敗。


 がっかりしつつも、最後まで自分を貫くシーグルさんはみんなのあこがれだな。


「ああ、でも」


 和やかな雰囲気を破るようにシーグルさんは口を開いた。


「わしからは教えられないけど、キュリオが異世界に行けば知ることができるかもしれないな」


 冗談交じりに感じる物言いにどっと笑いが溢れた。彼らしからぬ言動に周囲は大はしゃぎだ。

 そんな状況で僕は一人、下を向いて目を輝かせていた。



 ◇◆◇



 翌朝。僕は一番乗りで仕事場にやってきた。


 いつもならシーグルさんがいるはずなのだが、今日はいない。


 昨日、仕事が終わった後にここに残っていたみんなで送別会を盛大に行った。そのおかげと言ってはなんだが、僕以外はベロベロに酔っぱらってしまっていたようだ。僕にとっては絶好のチャンスと呼べる。絶対に逃してたまるものか。


 とにもかくにも試してみたい。この僕が異世界に行けるのか。


 冗談交じりに言われたことは盲点でしかなかった。しかし、僕は異世界から召喚することはできるけど、さすがに自分自身を転移させることなんて試したことがないし、そもそも本当に転移できるかどうかも怪しい。


 それも、僕らが異世界から人を転移させるにはこの召喚台の力なしには不可能。


 異世界から召喚される者はこの召喚台が決める。どういった魔法なのか不明だが、選ばれた者を召喚しようとすると召喚台から青白い光が発せられる。そうなれば我ら召喚士の出番。転移魔法を詠唱して勇者候補を召喚する。


 転移さえるための一連の流れはこうなのだが、やはり一番の問題はどうやって召喚台を光らせるかだ。基準も分からないし、どのタイミングで選ばれるかも分からない。


 ま、とりあえず召喚台の上に立ってみるか。


 シーグルさんたちから召喚台には立つなと言われていたけど、それはこの世界から異世界に転移が出来るからなのかもしれない。


「うーん」


 とにもかくにも、どうしたら召喚台が応えてくれるのか。


 まずは、今まで見てきた異世界人のことを思い出してみるか。


 だいたいは悲しんでいたような気がする。そりゃ親族や友人から無理やり縁を切られたようなものだからな。そうなるのも無理はない。


 たまに無関心というか、感情が欠落したような者もいるがあれはどういうことなのか。なにも望みがないような目をしている者もいたな……。


 もしかして、悲しんでいるのはこっちの世界に来たからではないのか?


 考えてみれば、今まで異世界のことを話している者を見たことがない。昨日の男のように自分のことばかりを考えている者の方が多いな。


 さらに気になってきた。もしかすると異世界は僕が思っているよりも楽しいところではないのかもしれない。


 まあ、この仕事を任されるまで退屈していたからそれほどではないと思うけど。


 正直、この世界に退屈している。僕から見れば平和だし、だけど国王は外に出してくれないし。


 生まれた時から独りだった僕は魔法に関する本を読み漁って過ごしてきただけ。この仕事もその時からの知的好奇心から引き受けたもの。


 言ってしまえば、もうこの世界に知りたいことなど、ほとんど残っていない。


「ん。って、うわ!?」


 そう思ったとき、突如乗っていた召喚台が光り始めた。大声を上げてしまったが、幸いまわりに人はいない。すぐさま転移魔法の詠唱を行う。


 瞬く間に青白い光が包み込み、眩しさで咄嗟に目をつむった。本当に異世界に行けるのか、楽しみだ。



 ◇◆◇



「なんだ、ここは……」


 目を開けると、まず夜空が広がっていた。僕のいた世界とは時間が反対になっているようだ。


 そして何より、目の前には見知らぬ建造物があった。屋根が平らで、正面はガラス張り。ガラス越しに見えるのは薄い本のようなもので、その向こう側には見たことがない雑貨がちらほら。異世界人もいるようだ。


 しかし、驚くにはまだ早い。その正面には人が出入りする扉があるのだが、それが人の手が触れずとも勝手に開くのだ。探知魔法を使用しいていても、その扉に魔法がかけられていない、それどころかその周囲から魔力が感じられない。


 そして、ついでに気づいたのだが、この世界では魔力を持った者が少ない。建造物にしろ、その中に並ぶ物体にしろ、一切感じられない。この世界では一般的に魔法が使われないのか?


 もう気になって仕方ない。まずはあの扉からだな。まわりの目など気にせず、恐る恐る扉に近づいた。


「うお」


 やはり勝手に開いた。


 そして今気がついたのだが、よく見てみれば横に開いている。勝手に開くことに意識を持っていかれていたが、これもまた不思議だ。もしかして、横に開くことで無駄な面積を生まないようにしているのか……?


 異世界の文明は進んでいるように思える。魔法ない代わりに知恵を振り絞っているのだろう。ますます興味が湧いてきた。


「あ、あの。入れないんですけど」


「あ、ごめんなさい!」


 扉に惹かれるあまり後ろにいた男に気づかなかった。すぐさま横に避けると、その男はそのまま軽く会釈して中に入っていった。


 なんと礼儀正しい人なんだ。この世界には様々な人がいるようだな。


「……さむ」


 気づけば僕は見知らぬ建造物の中に入っていた。密閉された空間であるにもかかわらず、不思議なことに中は外よりも涼しい。そして、天井からは無数の光が降り注いでいた。


 外から見た時は分からなかったが、どうやらこの世界には勝手に光っている物体もあるらしい。無論、それは魔法を感じられないから分かったことだ。


 見上げていた顔を下ろすと、所せましと商品とおぼしきものが詰まった棚が三列ほど並んでいた。ただ、この世界の文字は読めない。言葉は仕事で聞いているからなんとなくわかるものの、これまた困ったものだ。知りたいことが増えてしまう。


 そういえば商人の姿が見えない。だいたいこういった店に一人はいるはずなのだが。もしかして、商人がいなくても買うことができるのか?


「あの、そこのお菓子取りたいんですけど……」


「あ、ごめんなさい!」


 先ほどの彼だ。僕がいたところは菓子の類が並べられたところらしい。すべてが袋のようなものに包まれていて食べ物には全く見えないけど。


 声をかけてきた彼は颯爽と菓子袋を取ると、見たことのない物体があるところに行った。その物体には異世界の言葉と絵のようなものが並べられている。張り紙のようなものなのかもしれない。


 しばらくして、奥から商人とおぼしき人が姿を現した。ふむ、「いらっしゃいませ」とはどの世界でも共通なのか。


 って、なんだあれは。客の商品に向かって何やらかざし始めたぞ。ピッピッと音が鳴るたびに張り紙と思っていた物が更新されていく。


 どういうことだ……。魔力など一切感じられない。もしかしてあれが機械というものなのか?右側には数字、左側には商品名なのか文字列が並んでいる。勝手に計算しているというのか、異世界の文明は発展しすぎてはいないか。


 も、もしかしてあの商人、とんでもない力の持ち主では。なんてことはなく、その商人からは魔力を感じない。


 となると、やはりあの機械がすべて制御しているのか。なんとも興味深い。


「482円になります」


「っと、ではこれで」


 彼の財布のようなものから紙切れが出てきた。恐らく支払いを済ませようとしているのだが、そんな紙切れで金品のやり取りをしているのか。しかし、硬貨以外の貨幣は初めて見た。とはいえ、紙切れは硬貨よりも劣るのだろう。


「はい、では518円のお釣りになります」


 な、お釣りで大量の硬貨が渡されたぞ!?


 しかも金銀銅、様々な大きさをしている。こ、この世界では紙切れの方が価値あるものというのか、なんとも恐ろしい。思わず口を押えて見入ってしまっていた。


「ありがとうございました~」


  気づけば一連のやり取りを終えたようで、彼は手に商品の入った袋をぶらさげていた。そして、彼は扉を開けて行ってしまった。


 き、気になる。僕はなりふり構わず彼の後を追った。


「あの」


「うわあ!?」


 扉を抜けたところで急に彼が振り返った。


「さっきからなんですか」


 さっきの温厚な姿とは裏腹に、その言葉にはトゲがあった。

 当然のことだ。僕だって急に見続けられたり、忙しない言動をしていたりしたら不快に思う。


「あ、いや。その……」


 思わず口ごもってしまう。どう言えばいいのか、あっちからしたら僕が異世界からきた者だと思うだろうし、そもそも異世界があると信じてくれるのか。


「……もしかして、観光客?」


「カンコウ、客? あ、そうです! 他所(よそ)の国から来たんです!」


「そうだったのか」


 本当は世界ごと違うのだけど、そんな細かいことはどうでもいい。なんとかこの場は乗り切れそうだ。

 とはいえ、このままだと怪しさ満点。観光客ということにしておいて、さっさと帰ろう。


「……あ」


「ん?」


「ああああああ!!」


 どうやって異世界に帰ればいいんだ!?


 と、とにかく落ち着こう。帰ったところでいつもの仕事が待っているだけだ。むしろ、この世界で暮らせることを、ってお金もないのにどうやって暮らせば……。


 あらゆる可能性を考えてもすべて無に返る。やっぱり現実を受け入れるしかないのか、今まで見てきた異世界人もこんな気持ちだったのかな。


「ちょ、大丈夫、ですか?」


「え、あ、はい……。じゃ、これで……」


 大丈夫なわけがない。思ったよりも声が出ていないし、なにより力が入らない。とりあえず、この場を離れて座れる所に行こう。


「ちょ、ちょっと!」


 僕がのそりと彼を横切ろうとしたとき、急に腕を掴まれた。あれ、これもしかしてもっとやばい状況だったりするのかな。この世界にだって警備の人だっているだろうし。まあ、傍から見れば変出者だもんな。


 途方に暮れていた時、彼は落ち着いた口調でこう言った。


「もしかして、迷子?」



 ◇◆◇



 僕はいつもこうだ。好奇心に身を任せて後のことを考えない。それで何度か失敗してきているはずなのに学ばないなんて、シーグルさんの言う通り僕はまだ子どもだな。


 ざりざりと足を引きづるように歩みを進める。


「あの、本当にいいんですか?」


「いいですよ、男に二言はありません」


 彼はあの後、僕のことを本当の迷子だと悟ったのか家まで来ないかと言ってきたのだ。涙目になりながら僕はすぐに頷き、今に至る。


 本当に行っていいのかと確認しながら後ろをついていく。正直、まわりの景色が気になるけど、今は気分でない。なにより彼に申し訳が立たない。


 これが異世界人の本当の優しさなのだとしみじみ感じる。最も、仕事柄ひどい性格の人たちばかり見てきたからな。


「着きましたよ」


 顔を見上げると、そこにはこの世界で言う家屋があった。部屋に続くであろう扉がいくつもある。しかし、彼は着いたと言っていたが、外階段を上っていった。そこが彼の寝室なのだろう。


「狭くて申し訳ないです。さ、上がっていってください」


「はい、おじゃまします」


 異世界人の暮らしが見れる期待で心躍っていたが、すぐに気持ちは落ち着いた。

 扉から入ってすぐにキッチンがあり、迎えには浴室とトイレ。進んだ先には寝室と思われる部屋が一つだけ。


 まるで、宿屋に来たみたいだ。


「うわ」


 彼の手元からパチンという音が鳴り、寝室が一気に明るくなった。思わず情けない声を出してしまったけど気にしない。魔法でも使ったのか気になるばかりだ。


「あ、ごめんなさい。急に明るくなったからびっくりしましたよね」


「あなたは、魔法が使えるのですか?」


「魔法……? これは電気を点けただけですよ。ここのスイッチで」


 そう言いながら彼は壁から手を離すと、言った通りスイッチが現れた。そのスイッチをいじれば電気が勝手に点くと言うのか……。


 で、そのスイッチにはどういった魔法がかけられているのか。

 なんて、聞いたところで困らせてしまうだけだろう。


 さっき魔法と言っただけで少し顔が引きつったように見えた。やはり、この世界では魔法は使われていない。自動で開く扉も、目の前に人が現れた時にセンサーが引っ掛かれば開く仕組みなのだろう。なんとも古典的というか。


 けれど、明るくなった部屋を見渡してみると見知らぬ機械がちらほら。ベッドとは反対のところにある薄くて四角いもの、そして先ほど彼がテーブルの上に置いていった小さくて四角いもの。テーブルの上に置いてあるものに関しては勝手に光ったりもしている。


 何か文字列が出ているようにも見える。気になって身を乗り出してしまったところで彼が戻ってきた。


「っと、もしかして見えちゃいました?」


「い、いえ!」


 文字が読めないとはいえ悪いことをしたようだ。大袈裟に首と手を横に振りながら返したが、彼の顔は相変わらず柔和であった。


「ところで、どこから来たんですか?」


 どこから、か。正直に言うべきかどうか、困ったものだ。僕的には正直に言っていいとは思っている。だが、これ以上彼を困らせては申し訳ない。


 とはいえ、どのように誤魔化せばよいのか。そう悩んでいる間に彼はまた口を開いた。


「まあ、答えにくいですよね。とりあえず、今日は家で休んでください」


「あ、あの!」


 僕はつい声を荒らげてしまった。だって、彼が少し寂しそうな顔をしたから。

 仕事をしていたとき、異世界人のことで一つ気になっていたことがある。


 ――それは、転移してきた者の口から親族や友人のことを口にしているところを見たことがない、ということ。


 だいたいは自分のことしか考えていない、そう思い込んでいただけなのかもしれない。もしかしたら彼らは、自分のことしか考えられないのではなく、考えることが自分のことだけなのかもしれない。もしかしたら、僕と同じで独りなのではないのか、と。


「……僕は、異世界から来ました」


 立ち上がりかけていた彼の顔をまっすぐ見つめる。呆気にとられているようで、その場に留まっているようだ。無理もない、異世界から来たなんてこの世界の住人からしたらあり得ない話なのだろうから。


 それでも、僕は彼には嘘をつきたくなかった。


「……ぷっ」


「あ、あの……」


「あはははは!」


 笑われた。それも柔和な彼がしなさそうなくしゃくしゃな顔で。


「あー、ごめんなさい。面白いこと言いますね」


「ほ、本当なんですけど……」


「大丈夫ですよ、疑っていません。もしかしてさっき暗い顔してたのって帰れないかもしれないと思っていたからですか?」


「そう、です。お恥ずかしながら……」


 だんだん恥ずかしくなってきた。誤魔化すように頭の後ろに手を当て、目を泳がすことしか出来ない。

 しかも、彼は本当に疑っていないようなのだ。真剣な目で僕を見てくる 


 もうここまで来たら、とことん正直になってやろう。


「あ、あの、一つお願いしたいことがあるのですが」


「ん。叶えられる範囲なら、どうぞ」


「ぼ、僕にこの世界のことを教えてください!」


「いいですよ」


 先ほどまでの動揺とは裏腹に明るい笑顔で、しかも即答だった。むしろ僕の方が呆気にとられてしまうほどに。


 それからの時の流れがあっという間だった。


 彼は(かなめ)タツキという人物で、僕と同い年なのだそうだ。そこで意気投合したのか、会話が途切れることはなかった。


 さっき僕らがいた建造物のこと、そこで見た商品や機械のこと。この国で使われているお金のこと。様々なことが聞けた。


 そのお返しと言っては野暮だが、僕がいた世界のことも少し話をした。そんな時もタツキは僕の話を疑わずに親身になってくれていた。


 ああ、もしかして僕は、こうやって楽しむことを望んでいたのかもしれない。仕事以外の話をすることなんてなかった、なんなら家に帰ってからは本しか読んでいない。ずっと独りぼっちで、寂しかった。


「――っと、もうこんな時間か。ごめん、ちょっと席外すね」


 タツキはすっと立ち上がり、クローゼットの扉の前に移動した。そして、流れるように取っ手を引っ張り、座り込んだ。


 彼の目の前には、親族とおぼしき遺影が置いてあった。この世界の作法であるのだろうが、慣れた手つきで淡々とこなしていく。


「よっと、ごめんね。待たせちゃって」


 申し訳なさそうに戻ってきたけど、こういうときってどんな顔をすればいいのだろうか。


「大丈夫だよ、気にしないで」


 開けられたままのクローゼットをよそに、ぎこちない顔で答えた。こればっかりは軽い気持ちで触れていいものではない。気になっていたとしても聞くべきことではない、はずなのだが。


「……あの方って」


「ああ、俺の両親だよ。今日が命日らしいんだ」


「らしいって?」


「俺が小さい頃に交通事故で亡くなったから、その時のことは覚えていないんだ。命日はじいちゃんから聞いた。まあ、そのじいちゃんももう、いないんだけど」



 遺影を見ながら教えてくれたタツキの瞳に寂しさを感じた。その中には未練や怒りも混ざっていたと思う。


 とはいえ、とんでもないことを聞いてしまった。両親どころか、他の親族も亡くしていたことを聞かされたのだから、さっきまでのように顔向けできない。


「あ、もしかして開いてるの気になる?」


「いや、気にしてない。ご両親も日の目を浴びたいだろうから。それはそうと、変なこと聞いてごめん」


「いやいや、気にしてないよ。キュリオには話してもいいなって、そう思ったから」


 またしても柔和に答えてくる。その優しさの根源は何なのだろうか。両親を亡くし、親族を亡くし、それでもなお心を腐らせずに過ごしている。僕のように何か探求していることがあるのかといっても、話をした中ではそういった情報を得られなかった。


 ――どうしてこれほどまでに、相手に気を遣えるのだろうか。


「……本当に優しいな」


「俺は、優しくなんてないよ」


 タツキはすぐに否定した。ぽつりと独り言のように呟いたつもりだったが、反応速度からして触れてほしくない部分のようにも思える。


 さっきまでの明るかった雰囲気が、ズンと暗くなる。


「ただ自分が人にされて嬉しいことをしているだけにすぎない。当たり前のようにやるのが優しさ。俺のやっていることは、偽善なんだよ。それに、俺はじいちゃんを亡くしてから道を見失ったんだ。もう、この世にいなくてもいいんじゃないかって思うくらいに」


 終始、タツキは俯いていた。声は震え、目頭が熱くなっているのもうかがえる。さっきまでの彼はどこへいったのかと思うほど見違えた。


 まるで、異世界転移してきた者のようだ。


 もしかすると、僕ら召喚士はとんでもないことをしているのかもしれない。この世界でする希望を持てない者を異世界転移と称して無理やり連れてくる。そんなのは拷問と一緒ではないか。勇者が見つからないのも当然だ。


「正直に言うと、俺はこの後――」


「タツキ!」


 僕はタツキの言葉をかき消すように名前を呼んだ。何を言おうとしていたのかだいたい見当はつく。僕の仮設が正しければ、この後、タツキは召喚台に選ばれる。


「それは、偽善じゃない。ありのままのタツキだと思う。今日仲良くなったばかりだけど、嘘じゃない。だって、嬉しかったから」


 こんな僕にできることは、つらい運命をこれ以上背負わせないこと。それにタツキは助けてくれた。見ず知らずの僕なんかに声をかけてくれて、家にまで連れてきてくれて。


 ありのままの気持ちを伝えるなんて恥ずかしくて胸が苦しい。だけど、言わないといけないような気がして。


 タツキは相変わらず俯いたまま。言葉も発さず、ただ沈黙が続く。なんともぎこちない時間が続き、またいてもどんな表情をしていいかわからなくなる。


「だから、もう寂しい顔、しないでほしい。って、ごめん急に……」


「……ううん、ありがと。キュリオ˝」


「そ、そう。って、え!?」


 タツキの目には大粒の涙が幾たびも流れていた。泣かせるようなことを言った覚えなどないが、これは彼の感情を動かしたという認識で合っているのだろうか。


 とはいえ、これでしばらくは召喚台に選ばれることもないだろう。だいぶ熱く語ってしまったような気もして恥ずかしい。


「……ごめん、泣いたのなんて久しぶりで」


「大丈夫、ほらティッシュ」


「ありがと」


 あえほどまでの涙を流したのだから、久しぶりの出来事というのは本当なのだろう。

 心が軽くなるのであれば、泣きたいときに泣くのは当然のこと。そこで正直にならなければ、いずれ壊れてしまう。どの世界の人間も同じなのだな。


「キュリオ」


「ん」


「本当は、やりたいことがいっぱいあるんだ。今まで友だちもいなくて、遊んでこなかった。だから、まずはキュリオと遊びに行きたい!」


「うん。僕も色んなところに行ってみたい!」


 これが一般的な十五歳の会話なのかはわからない。けれど、わからなくたっていいんだ。結局、やりたいことをやって、気になることを探求して、自分の好きなように過ごせばいいんだ。


 僕は、この時気づいた。今まで異世界人に興味を持っていると思っていたけど、本当は異世界そのものに興味を持っていた。けれど、それを口にして馬鹿にされるのが怖くて、ずっと隠れていた。


 そしてもう一つ、僕は要タツキという人物にさらなる興味が湧いた。もう、この世界で暮らして、タツキと一緒に好きなことをしよう。


 ――そう思った矢先だった。


「な、なんだ!?」


 突然、タツキのまわりから青白い光が現れた。これは、召喚台の魔法だ。でも、何故だ。きっかけとなるものは何も残っていないはず。


 いや、そんなことを考えている暇などない。


「タツキ!」


 咄嗟に名前を叫び、手を伸ばす。タツキも一瞬冷静さを取り戻し、差し伸べた手を掴んできた。

 この魔法がどんなものかわからないが、解除することはできるはずだ。


 だが、もう遅かった。召喚台の他にも転移魔法の魔法陣が浮き上がっている。さすがに転移魔法は扱えても、その効果を打ち消す方法をしらない。


 やっと出会えた友人、なのに。


 瞬く間に目の前が真っ白になり、意識が遠のいていった。



 ◇◆◇



 目を開けると、まず見知った景色が広がっていた。


「キュ、キュリオ!?」


「どうしてこのようなことが……」


 まわりの人たちが驚くのも無理はない。なにせ、召喚台から召喚士の僕を召喚したのだから。

 そしてもう一つ、これも異例中の異例。タツキも一緒に、すなわち二人同時に召喚されたのだ。


「ここが、異世界……?」


 タツキも驚いているようで、目を丸くしている。


 しかし、そんな勇者候補には目もくれず、視線は僕に集中していた。その視線は冷たく、痛い。

 戸惑っていると、扉の奥から引退したはずのシーグルさんが僕に近づいてきた。


「シーグルさん! 僕、異世界に行って――」


「何をしているのだ!」


 バチンと頬を叩く音が響く。突然のことに状況が理解できない。僕はただ異世界人と話せた、異世界に行けた喜びを伝えたかっただけなのに。


「その異世界人から離れなさい」


「な、なんで」


「いいから離れなさい!」


 再度、頬を叩かれそうになり、咄嗟に身を縮こませた。明らかにいつものシーグルさんじゃない。これほどまでに怒り狂っている姿を見たのは初めてだ。


 あまりにも険悪で、怖すぎる。


 僕はされるがままに召喚台から下ろされた。

 すっかり忘れていた。召喚士になるときにまず話されるのは異世界人の凶悪性。それを信じているからこそ、シーグルさんは危険な目に合わないうちに助けたつもりなのだろう。


「っと、ところであなた様」


「はい?」


「国王様に謁見してほしいのですが、よろしいでしょうか」


 いつもの調子に戻ったシーグルさんは、いつものように業務を淡々とこなしていく。昨日の引退宣言はなんだったのかと聞く人なんてどこにもいない。それほどまでに空気はヒリついていた。


 だが、ただ一人、その空気を裂かんとする者がいた。


「わかりました。しかし、なぜ国王様に会わなければならないのですか?」


「失礼しました。あなた様はこの世界を救うべく召喚された勇者なのです。その挨拶のため、国王様と謁見していただきたく――」


「わかりました、ですが」


 タツキがそう言うと、召喚士たちはざわざわし始めた。まだシーグルさんが訳を話しているというのに、それを断ち切ったのだ。


 しかも、その断ち切った本人が話を続けようとしている。召喚士からしたらまた外れたと思う者もいるだろう。だけど、僕は、僕だけは信じていた。


「――キュリオも一緒に連れて行かせてください」


「な!?」


 予想していなかったのだろう。シーグルさんは呆気にとられ、あんぐりしている。

 突然の出来事に呆気に取られていたのは他のみんなもそうだ。そこには僕も含まれる。さっき叩かれた頬がまだ痛むのか、目頭が熱くなってきた。


「んん、そのような申し出は国王様直々に……」


「こちらの申し出を断ると言うことでよろしいですか? では、謁見はせずにキュリオと共にここから去ります」


「な!?」


 またしても予想外の言葉に、この場が静まり返る。しかし、シーグルさんだけは落ち着きを取り戻し、人形の様に問答を繰り返す。


「転移した者は必ず国王様と謁見するきまりであるので……」


「では、キュリオと共に――」


「タツキ!」


 もう、もう優しくしなくていい。耐え切れなくなった僕は、勇気を振り絞って声を出した。


「タツキ、僕はもう、いいから……」


「なんでキュリオが断る? これは、俺がキュリオと一緒にいたいからしてることだ。あと、俺のいた世界のことを全然話せてないからな」


 そうか、タツキは変わろうとしているんだ。なら、それに応えてやろうじゃないか。


「こほん、とにかく勇者候補であるあなた様には国王様に……」


「タツキ、僕も行くよ」


 言葉を放ったと同時に決意が固まった。気づけば取り押さえていた召喚士仲間を振り払って二人の下へ足を運んでいた。


 気づけばシーグルさんの姿も見えないし、と思ったらタツキの目の前で小さくなっていた。声を発する間もなく尻餅をついていたようだ。


 さて、今度は僕の番だ。


「申し訳ありません、シーグルさん。僕は、タツキと一緒に国王様の下へ謁見に行きたいです」


「な……」


 シーグルさんは腰を抜かしたまま黙り込んでしまった。職場へ来て一年余り、最初で最後の抵抗だと思いたい。


 でも、今はこうしたいのだ。知りたい気持ちを抑えてまで過ごしたくない。きっと、僕も変わりたかったのだと思う。その後押しをしてくれた人のためにも、このチャンスは逃さない。


「……わかった」


「で、でも、シーグルさん。やつらは信用できません」


「わしがよいと言っているだろう!」


 隣にいた兵士がわなわなと肩を震わせている。というか、もしかしてシーグルさん、結構な権力の持ち主なのか?


 そう思わせる口ぶりに興味が湧いてきてしまったが、なんとか抑え込む。あとでこっそり聞いておこう、うん。


 とはいえ、ここはお礼を言わないと。


「シーグルさん、ありがとうございます」


 僕は深々とお辞儀をし、シーグルさんの返事を待つことなく召喚台から降りた。


「では、国王様の下へお連れ致します」


 兵士に促されがままに足を前に運んでいく。周囲からは驚きの声が絶えない。しかし、僕はそんなことを気にしないくらい、心がスッキリしていた。


 だって、やっと正直なれたんだ。


 でも、一つだけ気になることがある。


「ねえ、タツキ」


「ん」


「もうあっちの世界に帰れないけど、いいの?」


 タツキは最初から未練がなかったように思う。すんなりとさっきの状況と勇者候補のことを受け入れたし。それでも、やはり気になってしまう。両親やお爺さんの下から離れてしまうのだから。


「確かに、両親とじいちゃんを拝めなくなるのは悲しい。でも、ここで過ごせば変われる気がするんだ。現実を受け入れられなくて逃げてきた自分を受け入れる気がする」


 しばらく考える素振りをしていたタツキだったが、暗い顔をしなかった。むしろ、初めて会った時より生き生きしている。


「ま、キュリオもいるしな。絶対こっちの方が楽しいに決まってる」


「そっか。僕もタツキと一緒なら飽きないよ」


「へへ。あ、そうだ。俺がいた世界の話の続きでもするか。まずは――」


 タツキと一緒なら一生楽しく過ごせる気がする。何をやっても成し遂げられるような気がする。


 これからは勇者の右腕として、魔法のさらなる高みを目指そう。


 そして、いつか、キミの住んでいた世界へ行けるように――。

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