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自殺保安官  作者: とっとら
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第二話~過去~

「俺、本当はこんな仕事する気はなかった、でもある出来事があったから俺はここにいる

人が変わるなんて簡単だとあの時初めて思ったよ」

3年前…

俺は中3だった、友人関係で過度なストレスを抱えてた。そして、体を壊して入院してた、その時に出会った人がいたんだ。

その人は、よくネットで活動してる「寺野ここみ」

そう言った瞬間夏南が反応した。

「えっ!あのここみ!?

出した楽曲が月のオリコンにも入ってた」

夏南が驚き悠樹の顔をまじまじと見る。

「まぁ、落ち着け今は悠樹の話を聞くときだろ」

話を遮った夏南を将弥が落ち着かせ話を戻してくれた。

登録者は23万人をこえていて言わば人気配信者の部類に入るであろう人だった。彼女は、ファンにも恵まれてそこら辺の配信者よりも稼いでいたと思う。でも俺らは、彼女の本音を知らない、知れない、だから不安不満を解決出来るような力がない。そのことが裏目に出たような気がした。

ある日、寺野ここみは理由が分からないまま死んだ。

生放送だった…コメントにも「死なないで!」「諦めるな!」なんてコメントで溢れていた、だけどここみは、「ありがとう」「ありがとう」と繰り返すだけで引こうとはしなかった。

吊るされた縄にぶら下がった体が30分間続いた…突然の事態に視聴者は、減るどころか増えていた。

その、配信を僕は観ていた。目の前で自分が好きで尊いと思っていた人の死が公開処刑のように晒されていた。その配信が消えると僕は生きる希望を失くし絶望し植物状態のように放心が三日三晩続いた。そんな状態が続くと医者もますます心配して俺にカウンセラーまでつけた。

心配させ過ぎたと思って空元気を続けた。

「これが僕が変わったと言った出来事だ…」

自分の一番辛い過去を告白して平常心でいられる訳もなく…

泣き出してしまった悠樹。

「俺達を信用してそんな辛い過去を話してくれたのか…」

「そんな過去があれば死の辛さは人一倍分かっているはず…」

「そんなことより話してくれてありがとう」

その言葉は日頃の将弥とはうってかわって心からの言葉だった。

そんな深刻そうな顔をして放たれた言葉は傷ついた心に深く刺さった。

悠樹の中にさらに込み上げてくるものがあった。

「僕からもありがとう」

「心が軽くなった気がするよ」

涙がこぼれそうにならながらも笑顔を作り感謝した。

「ありがとう…か…」

「これを容疑者(自殺志願者)に言って貰えるようになりたいな!」

この経験は糧になると確信した将弥だった。

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