どう足掻いてもバッドエンド※
♠…婚約者視点
◆…悪役令嬢視点
残酷な表現が出てきます。
♠♠♠♠
自分の意思と関係無く動く身体に、心は粉々になっていく。
君を愛したいのに、他に行ってしまう。
君以外いらないのに。
それでも君が他の男のものになるのが耐えられず、永遠の檻に閉じ込めた。
幸せにしたいのに。
泣かせたいわけではないのに。
ああ、どうしてこうなった?
もう、いっその事誰か─────して………───
◆◆◆◆
1回目。
私は婚約破棄を言い渡され娼館に売られた。
それなのに、私を買ったのは元婚約者だった。
毎日毎日私を抱いて殺した。
2回目。
私は婚約破棄の前に逃げ出した。
それなのに、婚約者に捕まって不慮の事故で死んでしまった。
3回目。
私は婚約をしなかった。
それなのに、婚約者だった男は私を見つけ出し愛妾として囲った。
けれども閨を訪れる事は無く、私は衰弱して死んだ。
4回目。
私はあの人を殺そうとした。
それなのに、返り討ちにあって殺された。
何度繰り返しても幸せな結末は訪れない。
足掻いても、足掻かなくてもあの人に関わり非業の死を遂げる。
会いたくない。
会いたくない。
出会わなければ悲しい想いをせずに済むのに。
5回目を前に、私はループを拒んだ。
『バグですかねぇ』
『困ったなぁ。バドエン4回クリアしたら進めなくなるとか致命的だよなぁ』
『何が原因ですかねぇ』
『ちょっと悪役令嬢消してみようかな』
♠♠♠♠
辺りが暗闇に包まれた。
俺はなぜか喪失感でいっぱいになった。
確かにそこにあったのに。
あったはずのものは最初から無くて。
でもそれが当たり前なのに狂いそうだった。
がむしゃらに走って無いモノを探した。
記憶も曖昧になってくる。
やがて────
俺という人物は、全て書き換えられた。
ある少女を見た瞬間、かちりとピースがはまった音がした。
まるでプログラムされたように少女に恋をし、愛を乞う。
それを俯瞰して見る自分がいる。
何か大切なものを忘れているような。
そんな気がするが思い出せない。
意図的に消されたような、何とも言えない感覚だけが残っていた。
それは何度も何度も繰り返される。
本当は違うと誰かが叫んでも、俺は少女に恋をする。
少女が他の男と結ばれ、俺は独りになっても少女から離れられない。
その呪縛から逃れたかった。
その少女じゃない、別の誰かを求めていた。
けれども誰かは分からないし、そもそも存在しない。
次第に俺は狂っていった。
『ありゃー、こっちもバグかなー。パッとしない奴だし、コイツも消すかなー』
『うわー勿体無くないですか?声優さんも決まってるんでしょ』
『悪役令嬢とその婚約者消して別のキャラ建てよう』
『なんでですかねぇ。離れたくなかったのかな』
♠◆
真っ暗闇の中で光を見つけた。
それは求めていた光。
ああ、やっと見つけた。
ここにいたんだね────。




