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 ファンタジー世界で役立つかも知れない武具考察、今回は「(シールド)」です。

 盾という漢字は「楯」もありますが、好みで使って良いでしょう。


 人類が武器(棍棒)を持ち、それを防ぐ為に板状の何かを持ったのは自然の流れでした。

 我が国の剣聖・塚原卜伝が食事中に襲撃されて、咄嗟に鍋蓋で刀を受け止めたとされる作り話が信じられるほどに、人類が盾を持つのは自然と言えます。

 西洋では「円盾(ラウンドシールド)」、「凧盾(カイトシールド)」などを手に白兵戦を行いました。

 構造は木製で、周囲に補強用の金属を用いたものや、盾全体に薄い鋼板を貼り付けたもの、「ホプロン」のように全金属製のものと、様々です。

 韋を用いた盾もありました。

 盾の内側には持ち手があり、それを握るだけの型や、腕通しを併用する型などがあります。

 「ホプロン」は古代ギリシアの盾で、横一列に並んだ兵士たちは右隣の兵士と自らの盾で防御効果がありますが、右端の兵士はその恩恵がないので最も勇敢な兵士と目され、これが後世「俺の右に出る奴はいないぜ」という慣用句となります。

 古代ローマでは大型の長方形の盾を並べて密集陣形を組み、亀甲隊形という完全防御で敵陣へ近づいて投げ槍で攻撃するという戦法がありました。現代の機動隊もジュラルミン製の大盾を並べて漸進する様子が浅間山荘や安保闘争などで見られました。

 カイトシールドは騎馬武者が使う盾で、馬上で無防備になりやすい足元まで覆う大型の盾です。この盾は表面に個人を識別する紋様が描かれ、騎士の象徴ともなっていきます。

 大型の盾は、負傷者搬送用の担架としても使われました。

 世界各国で盾は様々に進化して、大いに使用されているのですが、我が国では平安時代を境に使用頻度が下がります。これは武士が弓矢を主要武器としたことから個人的な装備としては廃れ、代わりに大鎧の袖や栴檀の板、鳩尾の板などに盾の機能を持たせる発想に繋がっております。

 我が国では合戦用具としての盾使用は残り、飛来する矢弾を防いだり、盾を敷いて臨時の座席にしたり、繋げて渡河の小舟代わりにしたり、死傷者を運ぶ担架にしたりと、便利な道具でした。


 変わった盾としては西洋で開発された中央部に小さな穴のある盾で、これは盾で防御しながら銃を使う「ガンシールド」と呼ばれる代物ですが、実用はされなかったようです。

 また北アフリカの西海岸で生まれた「アダーガ」は槍に盾が付属したような形状をして、攻防一体の使用が可能でした。


 さて、こうした盾の機能を、どう作品に活かすかは自由です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] 日本から広まったと聞いております盾は警察の機動隊が使用する盾でしょうか。以前はジュラルミン製でしたが現在はポリカーボネイト製だと聞いています。 数十年前の日本…
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