19話 双子との決着-1
1人は右足でのブロック、もう1人は左足でのブロックにより広い範囲に壁が形成される。
ダブルブロックはかなりの連携が必要となる。連携なしで飛べば互いにぶつかり合って大怪我につながる可能性もある。
特殊なのはダブルブロックだけではなかった。
それまでは弟の実がアタックをして、兄の真がトスを上げていたが今ではその役割が逆になっていた。
しかしアタックの種類は違う、実はシザース、真はローリング。
さらに混乱することが起きる。2人のポジションが入れ替わった。
外から見るとまるで変わってないように見える。
実がトスを上げると真は身軽に飛びローリングを回る。
だが、これだけでは終わらなかった、1人がレシーブをすると真と実がアタックの構えを取る。
トスを上げるのは空だった。
2人が構えている位置はコートの端から端で、どちらにトスが上がるかも分からない。トスを見てからブロックするのは物理的に不可能だった。
ブロックなしでのアタックはさぞ気持ちよく打てるだろう。
自分でも経験がある。一方的に殴っているようなものだ。
§
「どうする、あんなのブロックできない」
「あれだけ好き放題に叩かれたらアタレシもできないぞ、くそっ、サーブでもう少し崩せたらいいんだが……」
互いに1セットずつ取り合ってイーブンではあるが、あっちはこちらの攻撃に対応しているのに、こちらはまだなんの対策もない。
追い詰められていて、ベンチの空気は重かった。
重たい空気の中、銀が口を開いた。
「僕がブロックに入るよ」
飛鳥も俺も驚きを隠せなかった。
「できるのか?」
足でのブロックはできないけど、背中でなら形くらいにはなるよ。それにどうせレシーブできないんだし、ダメでも同じでしょ」
どうせ今の現状ではダメなんだしやってみるしかないと、腹をくくる。
3セット目が始まる。このセットを取ったチームの勝利となる。
2セット目と同じように空がトスを上げ2人はアタックに構える。
作戦通りに俺と銀はブロックの構えをし、アタックを警戒する。
少しは効果があったと言えるだろう、俺のほうは1人に絞った分、シザースの実を好き放題には打たせていない。
とはいえ真の方は銀のブロックがあるとはいえ、慣れないブロックで形も崩れたブロックでは止めることはできなかった。
ちょっとはマシになったがそれでも厳しく、こちらがジリジリと押されていく感覚に3人の表情は次第に暗くなっていく。
それでも続けていると、その結果は徐々に変化していった。というよりも続ける以外の手立てがなかったのが本音だがそんなことは今はいいだろう。
変わったのは真のアタックの成功率が落ちてきたということだ、銀のブロックが下手とはいってもなんの考えもなしに打ったのでは引っかかってしまう。
ブロックを意識しだした事が要因でアタックが乱れてきている。
よく考えると、真はそもそもアタッカーではない。今までは当然のようにアタックを決めていたから気づかなかったが、ブロックを避ける練習をしていないと分かる。
しかも、この試合は3試合目の3セット目、慣れないアタックを何本も打って体力的にも厳しいのだろう。
試合が進んでいく度にアタックの成功率は下がっていき、とうとうダブルアタックの形をとることもしなくなり、真はトスに戻り実がアタックを打つ、はじめの形に戻っていた。
この状態ならこちらが有利なのは相手も知っているだろう。




