13話 サークル内対抗戦『2日目』-3
試合は完全に威圧された状態から始まったものの、思いの外健闘を見せていた。
それはやはり、西山以外の2人が所々でミスをしてくれることが大きく関係している。
将基達もそんなことは重々承知の上で飛鳥のサーブが西山に放たれることは一度もなかった。
銀のトスはブロックにかからないようにネットから遠めに上げられ、アタックは多少遅く山なりになってもブロックを避ける。
勝つために徹底的にレグで考えた作戦を実行するが届かない。
そもそもこの作戦には重大な穴がある。西山に比べれば見劣りする2人は3人よりも実力が上だった。
健闘はしたものの遠く及ばず負けを喫する。
しかし、負けを悔しがっている暇はなかった。続いての試合はサークルNo.1レグとだった。
§
試合はヌルッと始まり1セットが終わる。
ここまでの印象は割と普通といったところだ。多彩なバリエーションがあるとは聞いていた。
3人が3人とも器用で数多くの武器を持つと、その通りに確かにバリエーションが多いなとは思ったが二歩や西山のような圧力を感じなかった。
それでも、勝てる気などさらさら感じないほどの実力の差は分かっていた。
「アタックをどれかに張らないとブロックできなさそうだけどどうしようか?」
「とりあえずシザースが多いからシザースを張っとくのがいいと思う」
将基の質問に銀は答え、レシーブについて触れる。
「サーブレシーブも困ったね……」
この試合はサークル内対抗戦が始まってから最もサーブでやられる結果となっていた。
問題なのはそのサーブは凄くないが取れないということ。
どういうことかというと、レシーブミスするのが各々の苦手なところを責められてのミスだからだ。
今までの試合では相手サーバーに得意なコースやサーブがあって、そこをカバーするようにポジションを調整していたが今は調整すると、それによってできた穴を狙い打たれている。
将基は左胸の横を通るサーブ、飛鳥は一歩動いた左足、銀はフェイント。
フェイントは基本的に足の裏で打つサーブのことでネット際の前に落ちる。
銀は頭を使わないようにポジションを下げていることもあり、フェイントに苦労していた。
「各々で頑張るしかないだろ」
飛鳥はさらに徒労したように呟く。
「しかもサーブはどこを攻めても穴が見つからないな」
攻撃のバリエーションが多いのもあるが守備が硬い、穴という穴はなくすべてのコースに反応してくる。これはアタックレシーブも同じで少しでもアタックが緩くなるとレシーブされていた。
全てにおいて平均以上のレグ。それがAレグだ。
2セット目が相手サーブで始まる。
1本目から早速、将基の苦手なコースである左胸の横にボールが飛んでくる、体勢を低くし頭でレシーブをする。
レシーブされたボールは将基の前方へと高く上がり、ネットをギリギリ超えてしまう。
藤和金は落下点へ潜り込み小さくレシーブをした。
気づいた時には遅かった。小さくレシーブをしたと思ったら、左足を振り上げ回転を始める。右足を振り抜き右足で着地する。
トサーのツーアタックローリング。
その電光石火の早技にはブロックに行く余裕はない。いや、それ以前に何が起きたかよく分かっていなかった。
藤和金は超攻撃的トサー、隙あらば自らでアタックを打つ。
そのローリングは本職のアタッカーと比べても見劣りはしない。
その後も藤和金はその力を見せつけるようにアタックを打つ。
それはツーアタックだけではなく、玉樹がレシーブをしてトスを上げ、それを藤和金がローリングで決める。
そこだけ見ると玉樹がトサーで金がアタッカーと言われても遜色ないほどのパフォーマンス。
さらに圧巻だったのはこちらが速攻を使った時だった。この試合では初めて使った速攻は警戒されていないと感じていた。少なくとも玉樹は速攻に対して警戒の素振りは見せていなかったし、実際にトスを速攻に上げても反応をしてこなかった。
決まったと思った瞬間、右側からブロックが飛んでくる。
普通ブロックを右足でするなら、こちらから見て左側から飛んでくる。
そのブロックは右側から飛んできた。つまり、左足でのブロック。そして玉樹は左側にいてブロックに飛んでいない。
ブロックしたのは藤和金だ。利き足ではない逆足でのブロックだったが、綺麗に下へと叩きつけられる。
アタックだけではなく逆足でのブロックまでもこなせる。
藤和金の凄さにばかり目がいっていたが、2セット目に入り玉樹の攻撃もガラッと変わってより手がつけれなくなっていた。
1セット目はシザースをメインに使っていたが、今はローリングをメインに使っている。
ローリングをブロックしようとするとシザースに変更する。
そしてそのローリングはシザースに見劣りしないしないレベルだ。
まさに変幻自在の攻撃で圧倒的な実力を見せつけられた。




