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アラサーのオレは別世界線に逆行再生したらしい  作者: 翠川稜


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◆75 お誕生日プレゼントのセレクトセンスを見習いたい。

 





 莉奈ちゃんの頑張ったピンクのクリームに、小学生女子はテンションアゲアゲだった模様。


「莉奈ちゃんのケーキ、クリームがピンク~すご~い!」

「いちごなの? でも、クリームの中にイチゴのつぶつぶがないよ!」

「白いクリームがピンクになる魔法のお粉を入れたの! コーセーお兄ちゃんが探してきてくれたの! 莉奈がクリームまぜまぜしたんだよ!」

「え~すご~い!」

「お礼にわたしたお菓子にも、魔法のお粉で作ったのがあるの。お家に帰ったら、みんなで食べてね」


 プレゼントのお返しのお礼として、いちごマフィンを作ってみました。

 ピンクのマフィンです。女子は好きだよね、きっと。

 男子も小1なら見た目より味だから。

 中に結構コンポートしたイチゴがごろっと入ってるから食べ応えあるし、満足してくれるはずなんだが。


「わー莉奈ちゃんちのお菓子、お姉ちゃん好きなんだよー」

「ほんと?」

「うちもママが感動してる~」


 莉奈ちゃん嬉しそうだ。


「あ、遥香お姉ちゃん、お願いがあるの!」

「なあに?」

「ケーキ食べ終わったら、莉奈のリボン、ゆはらくんとみなせくんがくれたプレゼントのリボンに変えたいの、いい?」

「うん」


 その言葉に、男子二人、水瀬少年と湯原少年、嬉しそうだ。まあ、そこはわかるぞ、わかる。

 二人で同じ柄のリボンを選んできたのは、莉奈ちゃんがツインテールをしてるからだろう。

 別々のリボンにしなかったのは、この二人はそこそこ仲がいいのか? 相談しながら買いに行ったんだろうな。

 湯原……お前……成長してるんだな……。

 リボンを取り上げてイジワルしてたヤツが、莉奈ちゃんに似合う可愛いリボンをプレゼントに選ぶなんてな……。

 そんな感慨にふけっていると、遥香ちゃんが、莉奈ちゃんのリボンを取り換えてくれた。




 カラカラカラと小さなルーレットが回る音。

 何をしてるかと思うでしょうね。

 ええ、軽食タイム終了で、お遊びタイム突入なんですよ。

 TVゲームではなくボードゲームのロングセラーのあれをやってます。

 一番最初にこのボードゲームやったのは去年、再婚生活がスタートした時に、家族みんなでやったんだよね。最近はあまりやってないけど。

 最初、俺と莉奈ちゃんと優哉と隆哉さんで、某電鉄のTVゲームをやってたんだけど、TVゲームはコントローラーの数がね、MAXでも4個。

 莉奈ちゃんが「咲子ママもやるの、みんな参加できるのがいいの」と言い出したので隆哉さんが買ってきた。

 真崎家内でしばらくブームだった。

 現在は、莉奈ちゃんがお友達を連れてきて、お家で遊ぶ定番アイテムになっている。

 今思うに、これを期末の打ち上げの時に出せば、キクタンなら夢中でやって大人しかったかもしれん……。次回うちに招く時があれば、これを出してみよう。あいつ絶対ハマるだろ。

 小学生男子ズも、大人しくルーレット回してるし。

 オレですか? いま食器を片付けてますよ。


「莉奈、けっこんする!」


 湯原少年と水瀬少年と莉奈ちゃんを見る。

 あ、結婚するコマに入ったのね。びびった。


「おいわいされる。みんなから$5000もらう、だって! さ、みんな$5000下さい」


 お友達の美穂ちゃんがルーレットを回して、「わ、たからくじにあたる! だって~。銀行から$20000~」と声をあげる。


 うむ。プレイヤー景気いいね~。金持ち気分を味わえるね。近年、世知辛いというか景気良くないから、こういう遊びだけでも、好景気な気分になれちゃうのがいい。昭和の頃から根強い人気だけあるな、このボードゲーム。


「コーセーお兄ちゃんの番だよ! クルクルして!」


 はいはい。きりのいいところで片付けをいったん止めてキッチンから出ると、遥香ちゃんが代わりに片付けの続きをしようと立ちあがる。

 そんな彼女をオレはいいからいいからと、座っていた場所に戻して、その隣にちゃっかり座る。


「いきます」


 ルーレットはカラカラと回る。


「コーセーお兄ちゃんは、自動車ほけんに入るだって!」

「入りましょう。事故ったら大変です」

「優哉お兄ちゃん次ね!」

「よし」

「大食いきょうそうで優勝する、$15000もらうだって」


 なぜゲームの中で、このコマが……。

 ……オレと遥香ちゃんは顔を見合わせる。

 この兄ならリアルで優勝できそうで怖い。




 そんな感じでケーキもゲームも堪能して、莉奈ちゃんのお誕生日会は楽しく終了した。

 そう。これが第一部終了。

 第二部はオカンと隆哉さんの帰宅を知らせるラ○ンから始まりました。

 オレと遥香ちゃんが、莉奈ちゃんのお友達を送り帰して、夕飯の準備をしようとスーパーに立ち寄ったらラ○ンが始終とんできていた。


『お祝いだから、お赤飯よ! もち米とささげ! いえ、やっぱり普通の白米でいいわ! ゴハンの支度、あんたはそれでいいから、あたしが作るから! 7歳だからね!』

『メインは、肉? 魚? どっちがいいと思う?』

『莉奈ちゃん好き嫌いないからいいけど、何がいいかリクエスト聞いておいて!』


 母として譲れない。

 そんな気持ちが文面からひしひしと伝わりましたわ。

 オカン、せっかく休日の隆哉さんとデートなのに……。

 そこまで考えてはっとした。

 あ、隆哉さん多分何かを買ったんだよね? 誕生日プレゼントに。

 自分のことじゃないけれど、気になる!

 そのセンス、是非オレにもわけてくれ!

 オレの初カノの誕生日プレゼントの参考にするから!


 オカンは帰宅すると張り切って、なんか肉とか野菜とか綺麗にカットして綺麗に盛り付け始めてるんだよね。ふむ、お赤飯ではなく白米にチェンジするように言われたから何かと思ったが、材料を見る限り鍋なのか?

 まあオカンの感覚ではそれもごちそうなんだろうが……。


「幸星、ホットプレート用意してね!」


 もしかして焼き肉!?

 ホットプレート準備して、肉の盛りがバラの形に整えられて、サラダの他にも、サラダや副菜もまた盛り付け凝ってるよ。

 ていうか、バラの形の肉盛りは莉奈ちゃんよりもお兄ちゃんが大注目でした。

 スマホでバシバシ撮影してた。

 特にバラの形の肉盛り。

 タレも塩レモン、醤油ベースの甘口と辛口、ゴマだれも準備していて。このタレ、残ったらオレが今後の夕飯に使うことにする。漬けタレにして焼くだけでも美味いと思う。

 ホットプレートでみんなで食べるっていうのが、いいよね。


「お肉はレタスで巻いて~」

「まいて~」


 オカンの真似をしながら莉奈ちゃんはパクっ。


「おいしー咲子ママ、おいしー!」

「よかった~! 莉奈ちゃんのお誕生日だから張り切っちゃった~」

「この、ゴマだれなんか複雑いろんなの入ってるコレ好き。幸星、覚えて作って」


 優哉も食べながらそんなことを言う。

 遥香ちゃんもうんうんと頷く。


「わたしも知りたいです」

「うん、簡単なの、焼き肉のタレを使いました。あとね、すりおろしにんにくとショウガ。練りごまに、マヨをちょい足し。莉奈ちゃんにはそのままで出したけど、その他のみんなはピリ辛でもいいかなって、コチュジャンをちょい足ししたのよ」


 ベースは焼肉のタレなのか。なるほど。

 元が元だけにそれだけで味が決まるわな。

 莉奈ちゃんはゴマダレがお気に召した様子でお肉にちょんとつけて、またレタスで巻いてパクってしてる。

 大きくなあれ~。オレの娘~(妹ですけど!)




 ホットプレートやら食器やらをオレたちがかたづけている間、うちのお姫様、おなかがいっぱいになった莉奈ちゃんに、隆哉さんが紙袋を渡す。

 正真正銘のパパンからのお誕生日プレゼントの授与ですよ。


「莉奈、誕生日おめでとう」

「パパ! ありがとう!」


 隆哉さん何を買ってきた?

 紙袋から取り出され、ラッピングされた箱は結構大きいよ?

 7歳の子には、プレゼントとして物量の大きさは正義なのか?


「あけていい~?」

「うん」


 莉奈ちゃんラッピングの包装紙を一生懸命テープからはがす。

 これはあれだな、莉奈ちゃんを預かっていた隆哉さんのご両親の教育によるもの? それとも莉奈ちゃんの性格?

 逆行再生の前のオレなら破いたよ。今は莉奈ちゃんと同じように丁寧に剥がすけど。

 ワクワク感増すし。

 オレも我がことのように見守る。


「わあ~、なあにこれ、お星さま、見えるの?」


 みんなが莉奈ちゃんを取り囲んで、プレゼントの箱に注目。

 ほほう……。

 隆哉さんがプレゼントしたのは、スタープロジェクターライトだった。

 間接照明、ベッドサイドランプ、何種類かの星空とか照明の明かりが変わる音楽も再生されるというやつだ。


 お洒落だ……。

 何そのセンス!?


 7歳女児は男子よりも精神年齢高めだし、キラキラしたのは好きだし、インテリアとしても実用としても使用できる。

 莉奈ちゃんリビングのコンセントを探して、えいと差し込んでスイッチを入れる。

 優哉がリビングの明かりを消すと、室内に星空が投影されて、オルゴール音で静かに曲が流れる。

 くは~これは女子の心鷲掴みですわ。


「他にもいろいろ候補があったけれど、実用性で選んだんだよ」


 隆哉さんはそういうけれど、莉奈ちゃんだけではなく遥香ちゃんもうっとりですよ!

 ああ~何それ、何それ、経験値? 生まれ持ったセンスなの?

 オレが呆然としてると莉奈ちゃんは両手を広げて万歳のポーズ。

 そして一言。



「おほしさま。キラキラ! 遥香お姉ちゃん、莉奈たちのお部屋、キラキラになるよ!」




 


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