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アラサーのオレは別世界線に逆行再生したらしい  作者: 翠川稜


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◆73 莉奈のお誕生日会にきてください!(莉奈視点)






 莉奈のおたんじょうびが近いの! コーセーお兄ちゃん達がケーキを作ってくれて、ハロウィン・パーティーの時みたいにおともだちをよんで、おうちで遊ぶ『おたんじょうび会』をするって言ってくれた。

 おたんじょうび会の日は莉奈の本当のたんじょうびじゃないけれど、おともだちを呼ぶなら、みんながお休みの日にごしょうたいしたほうがいいねっていうことで、日曜日のお昼におたんじょうび会をしましょうっていうことになったの。

 日曜日はパパもママもお休みだけど、おともだちが緊張しちゃうかもしれないから、お家にいるのはお兄ちゃん達で、パパとママはお外にデートの予定をいれてくれた。

 お兄ちゃん達はハロウィンの時も、みんなと遊んでくれたから、みんなも大丈夫だよねってことになったみたい。


「莉奈ちゃん、招待状できたのね」


 遥香お姉ちゃんが莉奈のしょうたいじょうをみてくれた。

 字を間違っても、こうだよって直してくれて、シールも一緒に可愛いの選んでくれたの。


「かわいいかな? みんなきてくれるかな?」

「うん。大丈夫だよ」

「なんかこういうの楽しい~」

「よかったね、莉奈ちゃん。優しいお兄ちゃん達がいて、羨ましいな」

「莉奈には優しいお姉ちゃんもいるの~。あとね、ないしょにしてね。コーセーお兄ちゃんは、遥香お姉ちゃんの誕生日プレゼントのこと、ずーっと、ずーっと前から考えてるよ」


「そ、そうなの!?」


 莉奈は指を口に当ててしーってしてみる。

 コーセーお兄ちゃんの秘密を遥香お姉ちゃんに教えちゃったから、聞こえちゃったら、たいへん。

「そうなの」  

 ここは莉奈のお部屋だから、そんなには聞こえないとは思うけど、小さい声で莉奈は答えた。

「たのしみふえたでしょ、遥香お姉ちゃん」

「うん、ありがと。莉奈ちゃん」

「ほしいモノがあったら、なんとなーく伝えると、お兄ちゃんがプレゼントで用意してくれるかもだよ、遥香お姉ちゃんほしいものある?」

「うーん……あんまり、ないなあ……」

「そうなの?」

「うん、莉奈ちゃんは欲しいものある?」

「うーん……うーん……でもなー」

「なあに?」

「たくさんありすぎるの~」


 莉奈がそう言うと、遥香お姉ちゃんは笑顔を見せてくれた。

 じつは、莉奈、お姉ちゃんが欲しかったの。お兄ちゃんたちも優しくてダイスキだけど、一緒にお洋服えらんだり、かわいい髪型とかおしえてもらったり、そういうのしたかったからお願いは叶っちゃったんだ。

 どうしようかなー。

 妹とか弟とかも欲しいけどな~咲子ママはお仕事してるから無理かも……。

 咲子ママは『かんごし』さんだよって言ったら、みほちゃんもかすみちゃんも「すごーい! でも、おしごとしてると、おうちにいてくれないよね」とか言われちゃったんだけど……。

 たしかに咲子ママはお仕事でやきんとかもするから、おうちにいない時もあるけれど、おうちにいる時は莉奈と一緒にいてくれるもん。


「莉奈、ケーキ作るのも、お手伝していいの?」

「うん」


 莉奈ちゃんのお誕生日ケーキ、莉奈ちゃんが作るのって、おかしくないかな? って、コーセーお兄ちゃんはそう言ってたけれど、まぜまぜは莉奈の係だから。

 コーセーお兄ちゃんと遥香お姉ちゃんならまぜまぜも早くできるけれど、みんなを呼んで食べてもらうから、ケーキは莉奈も作るの。


「莉奈ちゃん、どっちのケーキがいい?」


 遥香お姉ちゃんが、ケーキの絵を描いてくれた。ピンクのクリームと、普通のスポンジのケーキと、白いクリームと、ピンクのスポンジのケーキ。


「ピンク色のケーキ!?」

「うん」

「なんでピンク色とかにできるの!?」

「そういうお菓子をつくる粉があるんだって」


 ふわあ! すごーい! もう、莉奈すごい楽しみ!

 きっとみんなも驚いてくれるよ!


「莉奈、ピンクのクリームがいいっ!」

「わかった。幸星君にそう伝えるね」

「うん!」




 翌日、みほちゃんとかすみちゃんに「しょうたいじょう」を渡した。

 二人は「わぁ」って言って喜んでくれた。

 誘ってもらえなかった子がしょげちゃうだろって、優哉お兄ちゃんが言ってたから、優哉お兄ちゃんに教えてもらったように、こっそり渡して、クラスのみんなが気が付かないようにした。

 クラスのみんなを誘えないから、ないしょだよって二人に言うと、二人は頷いた。


「あと、誰が来るの?」

「ハロウィン・パーティーにきてくれた子に渡すことにしたんだ」

「え~男子もくるんだ~。あたし、ぜったい男子はさそわないって思った~」

 みほちゃんが言う。

「だ、だめかな……」


 莉奈はなんていうか去年、へんなおじさんに声を掛けられた時に、守ってくれたみなせくんとゆはらくんには、お礼の気持ちもあるんだけどな。

 あの事件以来、ゆはらくんは、莉奈をイジワルしなくなったし、それどころか、なんか、いろいろかばってくれるというか、下校時に、ちょっと距離をおいて帰ってくれるんだよね。

 その話をお兄ちゃん達にすると、「ゆはらは、莉奈のボディーガードになってくれてるんだよ」と言っていた。

 下校の時、後ろからついてくるから、いつまたイジワルされるのかって最初はビクビクしてたけど、みなせくんも一緒だし、心配してたイジワルはなくて、交差点で別れる時、ちょっと振り向いたら「気を付けて帰れよ!」って声かけしてくれたんだよ。

 新学期になっても続いてるんだ。

 だからお礼でもあるの。コーセーお兄ちゃんのケーキ、絶対美味しいから。


「ハロウィン・パーティーのメンバーならいいんじゃないかな?」


 かすみちゃんがそう言ってくれた。


「ハロウィン・パーティー楽しかったし」

「うーん、そう言われれば楽しかった。そっか、男子でもみなせくんがいれば、ゆはらもおとなしいでしょ」

「ゆはらくんとみなせくん、最近仲いいよね、仲直りしたのかな」

 かすみちゃんの言葉に、みほちゃんは答える。

「わかんないけどー、男子ってそういうところあるよね」

 その口調は、きっとみほちゃんのお姉ちゃんの真似なのかもと莉奈は思った。


 下校時間。

「みなせくん、ゆはらくん、待って」

 莉奈が声をかけると、二人は待ってくれた。

 二人はたくさん男子のおともだちもいるから、その子たちも一緒になってあつまってくる。

 えー、どうしよう、そんないっぱい男の子がいたら、わたせないよ。

 莉奈がもじもじしてると、みなせくんは周りの男子に「先に行ってて~すぐ行くからー」と声をかける。ゆはらくんは言葉にしないけれど、後押しするみたいに無言で周りの子に「先に行けよ」と目で言ってるみたいだ。

 あと、多分、莉奈のうしろでみほちゃんが、ゆはらくんと同じように男子たちを見ていたのも効果があったのかも。

 よかった。

 『ラブレターだー』とか誤解されて、大騒ぎになるのヤダだったから。


「これなの」


 莉奈が二人に「しょうたいじょう」を渡す。


「「しょうたいじょう……?」」


 ゆはらくんとみなせくんは莉奈の渡したふうとうを見て、声をそろえて言った。


「そうなの。つぎのつぎの日曜日に、莉奈のおたんじょうび会をするの」


「莉奈ちゃん、日曜日がお誕生日なの?」


 みなせくんの質問に、莉奈は答えた。


「ううん、ちがうけど。おたんじょうびに近い日で、みんながあつまれそうな日曜日に、おたんじょうび会しようって、お兄ちゃん達が言ったの。ハロウィン・パーティーの時の子達なら、莉奈のおうちも知ってるし、おたんじょうび会にきてくれるかなって、だからしょうたいじょうなの」


「そうなんだ! おめでとう莉奈ちゃん!」

「きてくれるかな?」

「行くよ! な? ゆはら!」


「みなせが行くなら、行くよ」

 

 ゆはらくんは、みなせくんの言葉にぼそっとそう答えた。


「ほんと? 莉奈、ケーキ作るの、まぜまぜする係で、コーセーお兄ちゃんと遥香おねえちゃんがほとんど作るんだけど、莉奈もお手伝いするんだ。おいしくなるはずだから、きてね!」


 よし、しょうたいじょうを渡せたよ。


「じゃあねーまたあしたねー。みほちゃん、かすみちゃん、帰ろう?」

「うん」

「帰ろう」


 ゆはらくんとみなせくんは、先に行った男子たちを追いかけるように、走り出して、みなせくんは「またねー」って声をかけてくれたけれど、ゆはらくんは振り向き、莉奈たちに手をふるだけだった。


「莉奈ちゃん、おたんじょうびの主役なのに、ケーキつくるの?」


 みほちゃんが莉奈にそう聞いてきた。

 おかしいかな? みんなが莉奈のおたんじょうび会にきてくれるの、すごく嬉しいから、ケーキを作って、みんなで食べたいんだ。


「莉奈におめでとうって言ってくれる子をごしょうたいするので、お礼の気持ちで作るから、おかしくないよって、コーセーお兄ちゃんが言ってたの! だから、莉奈のおたんじょうび会にきてね!」






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