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アラサーのオレは別世界線に逆行再生したらしい  作者: 翠川稜


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35/94

◆34 謎の調味料を買ってみた。




バイト先にある気になる調味料……、これは某社が取り扱っている商品らしいのだが、なんだか店長がそれを仕入れてみたらしい。

輸入食料品雑貨店だから、いろいろお茶とかも気になるんだけど……この調味料はとても気になるのだった。


「お、真崎弟、何を眉間に皺寄せてんだ?」


西園寺君がオレの手にあるその瓶をのぞき込む。


「……また変わったものを……」


その商品は「贅沢な卵かけトリュフしょうゆ」なるものだった。

卵かけご飯を一気に高級料理に押し上げるようなこのネーミング。とても気になる。

店長も西園寺君の後ろからオレの手元をのぞき込む。


「え? 真崎君買っちゃう? これ買っちゃう?」


いやー卵かけご飯……日曜の朝にやっちゃう時あるんだよね~。

日曜日は隆哉さんが「咲子さんも幸星君も、ゆっくりでいいからね」というお達しがあったのでオレもゆっくりというか手抜きをさせてもらってるんだけどさ、これはその手抜きに一発逆転をかましてくれそうな商品じゃありませんか?

あるだけで高級感とか……。

とりあえず棚に戻すけど、帰り際、やっぱりそれが気になって買っちゃいました。


今日は土曜日、バイトはない……。

そして学校も昨日まで、あとはボランティア課題と選択した美術の課題が残ってますが、もう、それだけ!

補講を真面目に出てたから、各教科から配布されたプリントは終了なのですよ!

ビバ! 本格的夏休み!

みんなゆっくりかと思いきや、やっぱ優哉も莉奈ちゃんもきちんと起きて「あさごはん~」を催促されてしまった。


「今日は手抜きをしたいのですが」


オレは二人に言うと、ふたりは頷く。


「手抜きあさごはんなあに?」

「た、卵かけごはんで……」

「うお! めっちゃ手抜きキタ! いいけど、別に」


優哉も莉奈ちゃんもお茶碗の準備とかし始める。

オレはおもむろに調味料の棚から昨日購入した例のブツ「贅沢な卵かけトリュフしょうゆ」を取り出した。

それを醤油の横に置くと、優哉はその瓶を手にする。


「これ、バイト先で買ったの?」

「そう……気になったんだよ」

「幸星、こういうの結構好きだよな」

「?」

「調味料とかお茶とか、結構こだわるだろーもうぴったりのバイト先なんじゃね? 紹介した俺がいうのもなんだけど」

「うん、オレもヤバイと思ってる。まだバイト代出てないけど買っちまったよ」

「まあ、それは夕飯食材財布から代金もらっとけ」

「そーする」


莉奈ちゃんはぴょんぴょんと飛び跳ねて優哉の持ってる瓶を見ようとしている。


「莉奈にも、莉奈にもみせて~」


優哉が莉奈ちゃんに瓶を渡すと、莉奈ちゃんは小首をかしげる。


「かんじ……むずかしいの……『なんとか、な、なんとか、かけ、トリュフしょうゆ』?」


うん、莉奈ちゃんには漢字部分はまだ読めないよね。


「たまごにかけるの?」

「うん、トリュフってお高いキノコのことだよ」

「お高いキノコ……王様キノコ?」


ま、まあ、間違っていない。

小鉢に卵をわってそれぞれの前に置く。お味噌汁は一応、お揚げと豆苗で。

醤油のかわりっていうか、醤油? なのか……とりあえず卵に入った小鉢に垂らそうと瓶を開けるとぶわああっとトリュフの香りがすごい。


「幸星これすげえなトリュフの香りってこうなの?」

「うん」

「なんかふしぎなにおい……」


三人はそれぞれ卵の入った小鉢にそれを垂らしかき混ぜ、ほかほかごはんに投入!

そのごはんを口に運ぶ。


「……」

「……」

「え~なんかふしぎな味がする~でも、莉奈これすき~」


オレと優哉は顔を見合わせて莉奈ちゃんに視線を移した。

莉奈ちゃんはもぐもぐと食べている。

いや……うん……食べられるし……悪くはない……悪くはないんだが……。

オレはそっと優哉に普通の醤油を渡す。

優哉はおもむろに醤油を小鉢に投入。そしてスクランブル。

オレも醤油を入れて同じようにかき回す。


「まあなんだ……俺的にはやはり卵かけご飯には醤油が至高」


食べ終わった優哉がそう呟く。

異議なし。

卵かけご飯には醤油だな。

商品の味自体は悪くないんだが……このトリュフ感は別の料理の方が活きるのではないだろうか?


「え~面白い味だったよお」


莉奈ちゃんはそう言ってくれるけど、卵かけご飯には多分もう使わない。

コイツはドレッシングやパスタのソース、アヒージョなどなど、めっちゃ洋風の料理の隠し味にちょうどいい……。

この後おきてきた隆哉さんの朝食は普通にトーストと目玉焼き、そしてレタスとトマトときゅうりのサラダを出したのでドレッシング代わりにかけてみた。


「えー、幸星君、何これーなんかすごく香り高いドレッシングだねーおいしいー」


隆哉さんの発言に優哉はオレを見る。


「かけたのか……」

「ドレッシング代わりに使ってみた」

「親父、それドレッシングじゃなくて醤油らしいぞ」

「え? ドレッシングじゃないの?」

「幸星がバイト先で買ってきた。ちなみにそれは卵かけご飯用の醤油らしい」

「えー……卵かけご飯用の醤油……出汁醤油みたいなの? でもうーん和食にはあんまり合わないんじゃないの?」


うん。合いませんでした。ごめんなさい好奇心に勝てなかったオレが悪いんです!

これは……別の料理に使う。

そして、好奇心に勝てないからって買っちゃダメ絶対。

今回のコレは別の用途でなんとかなるレベルだけど、なんともならないものだってある。


そして卵かけご飯には醤油……。


オレ……基本食材とか、コスパで選んじゃうけど、醤油は……きちんとした醤油はもしかして旨いのだろうか。

なんかコレを試した後だけに、好奇心がうずく。

好奇心に勝てないから買っちゃダメと思ってるのに、正統派ならいいだろうどんなもんだと思うオレはダメダメだな!





 


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