表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アラサーのオレは別世界線に逆行再生したらしい  作者: 翠川稜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/94

◆31 夏休みのお昼は、ぶっかけサラダそうめん。

 




 学校での夏期講習で夏休みの宿題を順調に済ませて帰宅した。

 逆再生前の夏休みって、何してたんだっけ?

 普通に漫画とアニメとゲームだけだった気がする。長い休みに入って学校行かないってだけで緊張感なくなってだらだら過ごして、気が付いたら夏休み終わりで宿題やってない状態にもんどりうって唸ってた。うん。そんな感じだ。

 でも、やり直しの現在はいろいろ違う。

 もしかして人生で初めて夏休み序盤に宿題終わるパターンになるかもしれない。

 中身アラサーのオレがもう一度学校行くってだけで新鮮で、優哉や水島さんの協力もあってテストも順調だったし……。

 なんて思いながら玄関のドアを開けて、リビングのドアを開ける。うお~今年も暑いからエアコンが効いてると涼しい……。


「で、当日どっち着せようか~?」

 リビングでオカンと莉奈ちゃんがラグの上になんか広げてる。

 何をしてんだ?

「莉奈はね、コーセーお兄ちゃんは、じんべえさんの方がにあうと思うの! それでね、ゆかたはね、優哉お兄ちゃんの方が、にあうと思う!」

 莉奈ちゃんはオカンの隣に座ってオカンに力説している。

「莉奈ちゃん~! やっぱり莉奈ちゃんもそう思う?」

「うん!」

「ちなみにね、こっち莉奈ちゃんにね、職場の人のおさがりでなんなんだけど、一回しか着なかったらしいのよ~」

 オカンが紙袋をガサガサして小さい子用の浴衣を取り出す。

「わあ~金魚さん~。きれい~かわいい~」

「ちょっと着てみようか~」

「わーい」

「何してんの……キミ達……」


 うきうきしながら金魚のプリント柄の子供用の浴衣にそでを通している莉奈ちゃんとオカンに尋ねてみた。


「おかえりー、コーセーお兄ちゃん!」

「あら、お帰り、早いわね」


 そら早いよ、ノンストップ集中で昼飯なし、午前中3時間半の夏期講習だぜ?


「お友達と食べてくるかと思ったのに~」

「いいよ、適当に作るから」


 オレがそういうと玄関の扉が開く音がした。

 優哉も今帰宅か。

 優哉こそ友達と食べてくると思ったんだけどな。

 オレと違って社交的だから……。

 優哉もリビングにいるオカンと莉奈ちゃんを見て何してんだという表情になる。


「おかえり優哉、昼飯食ってないだろ? オレも食ってない。いまから作るけど、ぶっかけそうめんでいい? 薬味ときゅうりだけだけど」

「全然OK」

「ちと着替えてくる~」

「って、咲子さんに莉奈……何してんの?」


 オレは部屋に戻って、ラフな格好に着替えて、そうそうに優哉とオレの分の昼飯を作りにかかる。

 そうめんを茹でてる間に、冷蔵庫の野菜室から、キュウリを取り出す。あ、レタスちょっぴり残ってる。これ使っちゃえ。小葱、すでにカットされててタッパーに入ってるからこれは最後ね。

 キュウリを千切り、レタスをちぎって、お弁当用プチトマトが残ってるからこれ四等分にカット。ハムあった~これも千切り。みょうががない……みょうがつけたかったな。あ、カイワレ大根がある。これ使おうこれも最後に小葱と一緒に散らす。

 ゆであがって笊にそうめん入れて水で冷たくしめる。

 皿にそうめんを入れて、レタスキュウリ、ハムとプチトマト、小葱とカイワレも散らして、めんつゆぶっかけ~。


「優哉~できたぞ~皿持ってて~」

「おーサラダそうめん! 幸星、これマヨ、上にかけていい?」


 優哉も着替えてキッチンにやってくる。

 さっぱりだけど、味にパンチは出ますかな? やってみっか。

 冷蔵庫からマヨを取り出して細い格子型に線を描く。

 優哉はグラスを二つ取り出して麦茶を用意してくれた。


「じゃ、いただきまーす」


 うん、ボリュームもあっていける。


「そうめんの上にサラダとか、お前、よくこんなのぱぱっと作るな~」


 もぐもぐしながら優哉が褒めてくれる。

 だって優哉、その体型にあわず、よく食うし、そうめんと薬味だけじゃ、全然物足りないだろ。


「お兄ちゃん! 美味しそうなの食べてる!」


 莉奈ちゃんがひょこっとやってくる。

 あ、きちんと浴衣着せてもらったのね。ピンクの絞りの帯をちゃんと巻いて可愛いな~。


「莉奈は咲子さんとごはんしただろ」


 優哉はそういうけど、人が食べてると美味しそうに見えるよね。

 オレは立ち上がって、小さいお皿と莉奈ちゃんのお箸をとってまだ口にしてない部分をちょっとだけとりわけて、莉奈ちゃんの前に渡す。


「コーセーお兄ちゃん……」

「食べられるかわからないから、ちょっとね」

「わーい」

「せっかく咲子さんに着せてもらった浴衣、汚すなよ」

「汚さないもん。コーセーお兄ちゃん、おねーちゃんと花火大会いくなら、ゆかたとじんべえさんどっちがいい?」

「……」


 どっちもヤダ。

 だってめっちゃラッシュですよ? 会場。

 動きやすさ一択でしょ。

 オレが渋い顔をしていると莉奈ちゃんはぷうっと頬を膨らます。


「でーとなら、おしゃれしなきゃダメなの!」

「甚平でいいだろ、ポケットついてるし」


 優哉が答える。


「莉奈もそう思ってたの! だって、幸星お兄ちゃんかっこいいけど、かわいいから! じんべいさんが似合うの!」


 莉奈ちゃんは元気よく答えて、ちょっぴりよそったぶっかけそうめんを完食した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ