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アラサーのオレは別世界線に逆行再生したらしい  作者: 翠川稜


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25/94

◆24 今の流行に乗っちゃったよ。

 









 別に莉奈ちゃんがテレビっ子ってわけじゃないとは思う。

 夕方のニュースだか週末の情報番組で見た影響だったのだろう。

 ていうか最近のトレンドとかってこんな小さな小学生でも気になるものなのね。特に女子はね。


「コーセーお兄ちゃん、タピオカミルクティってどーゆーの? つぶつぶ美味しいの?」


 飲んだことねーよ。

 ていうかタピオカって、あれなんで出来てんの? 売ってるタピオカとミルクティあわせりゃいいの? スーパーで売ってるの? オレのよく行くスーパーには取り扱いないよ? メーカーさんが卸してるタピオカミルクティの棚は常に空っぽ状態なんだよね。

 試しに買ってみようかと思ったんだけどさ。

 改めて思い出すと、そんなに人気かよ。オレ、テレビあんま見ないけど、は~流行なのね~。

 莉奈ちゃんが飲みたいなら手に入れるけど? 気になってスマホを取り出してグーグル先生に頼ってみた。

 え……タピオカて澱粉なの? ちょっと澱粉って片栗粉だろ? あれが成分なの?

 片栗粉で作れるならわざわざ買わなくても家で作れちゃったりする?

 オレはタピオカレシピとか作り方で検索していく……。

 うむむむ。安いし作れそうだが、コレ時間かかりそうだな……。手間ヒマかかりそう。

 いやでも流行りでしょ? ていうか気になってきたよ? 流行りもの作れちゃうかも?

 今のオレなら作れそう?


「コーセーお兄ちゃん……?」

「どうしたー? 幸星―」


 優哉と莉奈ちゃんに挟まれた状態でリビングのソファでオレはスマホをスワイプする。

 優哉はのぞき込んだスマホを見て呟く。

「幸星……お前……まさか……」

「優哉、お前、タピオカミルクティ飲んだことある?」

「あるけど?」

「えー! 優哉お兄ちゃんいーなー! 莉奈も飲みたーい!」


 よし、作ろうか。人手が欲しい。タピオカをちぎって捏ねて丸める人手がな。莉奈ちゃんだけじゃない。優哉お前もちぎって捏ねる丸めるぐらいならできるだろ。

 そして流行最先端にアンテナ張ってるJKにも試飲してもらいたい。

 オレはラ〇ンを開いて唯一気兼ねなくお誘いできるJKに声をかけた。


 ――水島さん、今時間ある? タピオカミルクティ自作するんだけど。


 日曜日の昼下がり、JKは忙しいかと思いきやすぐに返信がきた。

 両手を組んだキラキラのムー〇・ジェームズのスタンプが送られてきた。




 スーパーで水島さんと待ち合わせしてタピオカの材料を購入。莉奈ちゃんも一緒です。

「真崎君、すごいです! タピオカ自作するなんてその発想!」

「莉奈ちゃんがタピオカミルクティ飲みたい言うので」

 オレが莉奈ちゃんを見ると、お休みの日に家族以外の人と会うのが嬉しいのか莉奈ちゃんもご機嫌です。

「おねーちゃんはタピオカミルクティのんだことある?」

「ありますよ」

 ですよねー。

「いーなー! 優哉お兄ちゃんも飲んだことあるんだって! 莉奈はないの、コーセーお兄ちゃんもないの、そしたらコーセーお兄ちゃん作ってみようっていってくれたの! タピオカ、美味しいの?」

「もちもちしてます」

「もちもち……楽しみ~」

 澱粉を固めるともちもちだもんね。

「でもタピオカ粉売ってないですけど……」

「タピオカ粉ってあるの!? とりあえず片栗粉でいけるってネットで調べたんだけど」

「澱粉ですもんね」

「そうそう」

 オレが片栗粉と黒蜜をカゴに収めて紅茶の茶葉コーナーによると、水島さんが言う。

「わたしも用意してきました。ミルクティに合う紅茶茶葉あるので、あと両親が送ってよこしたフルーツフレーバーの紅茶も。それより真崎君、通常のストローだとタピオカ吸い上げられませんよ?」

「マジか!」

 何件かはしごしてタピオカミルクティー用のストローをゲットした。

 流行りだから売ってるもんだな~。

 とにかく材料を購入し、自宅に戻る。

 優哉がリビングで待ってた。

 ちなみにオカンと隆哉さんは二人でおでかけしたそうです。まあね、オカンの職業柄、日曜休みとかって月二回あればいいほうだからね、たまには二人でラブラブデートしてきなさい。

 さて、みんな手を洗って、タピオカづくりスタンバイ。

 黒蜜と水をまず一つの小鍋でゆでる。

 ちなみにたくさん作ってみようと思って、ネットレシピより二倍の分量でやってます。だってほら、うちには優哉がいるからね。

 ほんとこいつ良く食うのに太らないんだよなー羨ましいぜ、オレの場合は例のクソ親父のせいで、オカンが仕事の時飯を抜かされてたこともあって、

 あんまり入らないってのがあるんだけどさ。

 けど美味しいものをちょっとずつ頂けると思ってるからもういいんだけどね。

 それはさておき、沸騰してきたら火を止めてもらって水島さんに片栗粉投入してもらう。そしてオレがひたすら撹拌!ダマにならないようにね!

「こうしてみるとあれスイーツ作るのって結構力いるんだな、幸星」

 優哉がひたすら撹拌するオレに話しかける。

「そう結構力いるぞ、撹拌作業。お前は生クリームだろうがなんだろうがそれを

 ペロリですけどね」

「味わってるから! 味わってますから!」

 よっし、かたまったぞ。繊細な作業をしてもらうか、ここで、この場にいるみなさんにね。

「なるべく小さい丸にしてくれ~一応ストロー太めの買ったんだけど、中でつまったらヤダろ?」

「ヤダな」

「やだ」

 捏ねた片栗粉を4人でちまちまとちぎって捏ねる。

 これなら優哉も出来るようだ。

 ていうかお前やっぱ出来るんじゃん、もしかして料理も出来るんじゃね?

 やらないだけでさ。

「水島さん、これさ~上手く出来たら文英祭に提案してみようかと思うんだけど……」

「いいじゃないですか! 流行りだし、女子受けしますよ!」

 黙々と丸める作業してた水島さんがテンション高めに答えてくれた。

「ぶんえーさいってなあに?」

 莉奈ちゃんもあきることなく丸めながら質問してくる。

 この子ほんと我慢強いというか集中力あるというか。この単純作業をあきもせずに続けてくれる。小学一年生なのに、すごいよね?

「文化祭だよ」

「文化祭?」

「うーん……学校でお祭りするんだ」

「お祭り! 莉奈もいきたい!」

 まあなんだ、年ごろの男子だったら、親や家族に来るなとか言いそうだけど、オレは中身アラサーだし、クラスの発表より部活とか模擬店系の助っ人に駆り出されるだろうから、抵抗なく「おいでー」なんて気軽に答える。

「優哉の文化祭の方も行きたい」

「えー」

「模擬店の味を確かめたい」

「いいけど、タピオカミルクティ、俺の学校でも提案してみてもいい?」

「誰かが言い出すんじゃね? 流行りだし、材料費もそんなかかんないしさー」

「そうかあ? でも、こういう流行りものスイーツってあんま定着しねえよな?」

「それな」

 定番で残ってるスイーツだとティラミスとかは定番になったよな。あれも流行った時は爆発的に騒がれたけど、落ち着いて、今はケーキの定番だし。

 ふむ、結構な量をちぎって捏ねて丸めました。

 これを茹でます。

 くっつかないようにくるくるしながらね。

 沸騰してこのタピオカちゃんが浮いてきたら、また鍋を弱火にして20分コトコト煮込む。

 どうかもちもちになりますよーにっ!

 時間を見ながら弾力を確認して、よしっと思ったら笊にあげて冷水でしめる。

 莉奈ちゃん待っててね~。

 水島さんがアイスミルクティを入れてくれてる。

 ティーポットは我が家になくて、さっき100円ショップで買ってみた。

「真崎君もお兄さんも甘いの大丈夫ですよね?」

「大丈夫」

「莉奈ちゃんがいるから甘めにお砂糖いれておきますね」

 莉奈ちゃんがわくわくした目でポットにお茶を入れて蒸らしている様子を見ている。

 小皿にタピオカを持って水島さんに試食してもらう。

「どう?」

「もちもちです!」

 莉奈ちゃんと優哉にも一粒ずつ試食してもらう。

「あま~い! もちもちしてる~」

「莉奈、これをコップの底に敷き詰めて上にアイスミルクティをそそげば、タピオカミルクティになるんだぞ、ていうか、俺的には市販のより、こっちのタピオカの弾力が好き」

 皆で作ると旨いんだよ、優哉君。

 ていうかそういうの、逆再生してから、オレも気が付いたことだけどな。

 水島さんが美味しく淹れてくれたアイスミルクティの底に、皆で作ったタピオカ。

 流行りものに乗ってみたのって、オレ、逆再生してから初めてなんじゃないかなと思ったりした。







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