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彼氏が彼女を家に呼ぶ、お約束のあれ的な展開

すっかり忘れてしまった馨の誕生日を

祝いたいという柴乃。

そんな柴乃に馨は、まさかの自宅に招待し・・・?


「「浅沼君に家に誘われた?」」


二人の重なる声に、私はうんとうなずく。

今日何回目かわからないため息をつきながら、重い体を持ち上げた。

時間というものは、あっという間にすぎていく。

こんなに放課後が来てほしくないと思ったのはおそらく、初めてじゃないかしら。

いつものように途中まで一緒に帰ろうと声をかけてきたあんちゃんとむぎちゃんに事情を説明すると、二人は……


「す、すごいね柴乃。もうそこまでいっちゃってるなんて……」


「御幣のある言い方しないでよ、あんちゃん!」


「柴乃、気を付けてね。私達まだ高校生だし、ばれたら大変そう」


「むぎちゃんは何の話!?」


二人もきっと、私と同じ思考がわいたのだろう。

私だって考えてしまう。

彼氏が彼女を家に呼ぶ……なんてめったにしないことだろうし。

私の家には一度、姫野の騒動の時に来たことがあるとはいえ彼の家には初めてだ。

一人暮らしだって言ってた分、余計に怖いというか……


「待たせたな、柴乃。行くぞ」


いつから、そこにいたのだろう。

気が付くと後ろには馨君が、立っていた。

後ろには何か不安そうな顔をする寺濱君と、にやにや笑っている隼人君まで見守っている。

さっさと先を急ごうとする彼の背中に、私は慌ててついていく。

みんなの視線が無駄に突き刺さっているような気がして、しょうがなかったけど。


彼の家は、電車でおよそ十分にあるところだった。

町の中心部分でもある駅の近くにある、一つのマンションの一室。

401と書かれた部屋の鍵を開けながら、どうぞとだけ声をかけられる。

ここが、馨君の住む部屋。生活している空間。

物は極力少なくて、きれいに片付いている。

テレビには普段もしているのかゲーム機などのコンセントがつながっていて、他にも携帯型ゲーム機などが無差別に置かれていた。


「あんたって……やれればゲームなら何でもいいのね……」


「まあ、好きなのはゲーセンにあるようなやつだがな。家にこもりっきりだと体に悪いって、どこかのバカがうるさいんだ」


彼の言い分からして、寺濱君にでも言われたのだろう。

私もインドアだし、姫野が外に出ているのに家に一人でいるとすごく言われるし。

友達の家なら、何度も行ったことがある。

それでも落ち着かないのは、彼だからなのだろうか。

やっぱりあんなこと、言わなきゃよかった……


「なあ柴乃。お前、誕生日いつ?」


注がれたお茶を机に置きながら、唐突に言う。

馨君は自分用にコーヒーを作りつつ、私に目を合わせた。


「え、えっと十一月三十日だけど……」


「なんだ、すっげー先なんだな」


「それより、どういうつもりなの? 私をわざわざ家に呼ぶなんて。他にもあったでしょ。なんかこう、色々」


「別に。考えてみたら、誘ったことなかったなあと」


コーヒーに入れたミルクを混ぜ、それを口に運ぶ。

しばらくすると彼は、


「さて、と……柴乃、そろそろいいか?」


と口にして見せた。

ってちょっと待って。いいかって、何が? 

すると彼は何を思ったのか、どんどん私に近づいてきて……


「ま、まって! 私達、まだ高校生よ!!? するにはちょっと早すぎるというかなんというか! 

とにかく今は落ち着いて考え直すべきじゃないかしら!?」


「……何言ってんだ、お前」


「私には心の準備が必要なのぉぉぉぉぉぉ!」


「よくわからないが、準備なら終わってるぞ。さっき立ち上げたし」


え、たちあげ……はい?

すると彼は私の腕の近くにあったリモコンを取り、ピッと電源をつける。

テレビに映されたのは、STARTと書かれた画面で……


「よし、やるぞ柴乃」


「ちょっと待ちなさい! やるってまさか、ゲームのことだったの!?」


「他に何があるんだよ」


「じゃあ、私を家に呼んだのも!? ゲームがしたかっただけ!?」


「お前、してほしいことに付き合うって言っただろ? だから今言う。俺のゲームに、付き合え」


私は、何を期待してしまったのだろう。

忘れてた。こいつは、そういうやつだったって。

それなのに私は、一人舞い上がって……


「も~~~~! それならいつものゲーセンにしなさいよ! 家に呼ぶから、無駄に緊張したじゃない!」


「別に緊張する要素なんて特に……お前、さてはやらしいこと考えてたな?」


「そ、そんなことないでしょ!? バカバカバカ!」


「はいはい、わかったって。じゃあ俺とのゲームで一度くらい勝てたら、キスでも何でもしてやるよ。わがままなお嬢様」


意地悪そうに微笑んだ彼は、ばーかと小さく口にする。

悔しくて、恥ずかしくて、どうしようもない思いでいっぱいになる。

結局私はその対決に勝つことはなく、終始彼のゲームに付き合わされる結果となったー


(つづく!)

前回の投稿から更新日時を変えたはいいものの、

はたして一週間をどこからカウントしていいものか

少し疑問に思っている作者です。


前回の話的にそっち系か!? 

と思った方もいるでしょうが

まあ人生、そんなうまくいくわけないってことで笑


次回、満を持してあれが開催!

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