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自称・美少女のこの頃。

三年生に進級し、紬もともに

高校生活を送ることになった柴乃。


そんな中、蛍雪では名物でもあった

「美男美女コンテスト」の撤廃の

お知らせが貼られ・・・?


ざわざわと、噂を始める声ばかりが聞こえる。

最悪と口々に言う女子、なぜだと嘆く男子の声がどこに行っても聞こえる。

あちこちにある掲示板に堂々と張られた紙には、「美男美女コンテスト撤廃のお知らせ」とだけあり……


「こんなの……認められないんですけど……」


その紙をにらみつけるように、私は本音をつぶやいた。

始業式からまだ三日しかたっていないというのに、これが夢じゃないとばかりにそのイベントの名前は学校行事の欄からもきれいに消え去っていた。


美男美女コンテスト、うちの高校の新学期恒例のかわったイベント。

生徒会が学校を盛り上げるためにという名のもとに、昔から続いていたものだ。

年に一回行われるそれは、男女ともに学年性別問わず「かわいい」「かっこいい」と思う人に投票する形になる。

全校生徒、というわけにはいかず自分に自信がある人、またはクラスなどの推薦で決まった人がそこにエントリーされる。

私が彼―馨君を知ることになった、きっかけ。


去年と一昨年では、姫野の姑息な手段のせいで二位に終わってしまった私。

今年こそは絶対に一位を取るって! そう思ってたのに!


「なんなのよ! 一体全体! 誰の差し金よ!?」


「し、柴乃少しは落ち着いて……」


「落ち着くわけないでしょ! せっかく私が一位を取る予定だったのに!!」


「あくまでも予定なんだね……」


「その美男美女コンテスト? ってすごい変わったイベントだよね。それ聞いて入った子達も、いるだろうに」


あんちゃんとむぎちゃんが私をなだめるように、慰めてくれる。

クラスが離れたとはいえ、昼食時間はこうして三人一緒に食べている。

私の意気込みを知っていたあんちゃんとは対照に、そのイベント自体を知らなかったむぎちゃんはさぞ不思議そうにつぶやいた。


「このイベントって、一位になったら何かもらえるの?」


「毎年違うみたい、なんだけど。去年はパンフレットの表紙になってたよね、姫野ちゃん」


「へぇ、姫ちゃんが一位だったんだ? なんとなくわかる気がする」


「ちょっと二人とも! 私を無視して話を進めないでよ!!」


私がそう言っても、ごめんごめんと軽く流されてしまう。

二人は興味ないかもしれないけど、私にとっては大迷惑!

せっかく姫野をぎゃふんって言わせるチャンスだったのよ!? 今年こそ一位とって、お姉ちゃんってすごいってとこを見せたかったのに!


「でも今年から急に、ってのはあんまりだよね。結構人気、あったのに」


「でしょ! でしょ!?」


「やめるなら理由がほしいよね……生徒の意見を聞かないで決めちゃうなんて、生徒会長としてもどうかと思うし……」


そうそう、まさにそのとおりよ!

この美男美女コンテストは他校でも有名になるほどだし、うちの在校生にとっては一大イベントと言っても過言じゃない。

みんなそれだけ楽しんでるし、選ばれた方は自分への自信にもつながると思う。

それなのに……それなのに……


「せっかく! 私と馨君の美男美女一位カップルになるはずだったのに!」


「その根拠ない自信は、毎度どこから来てるんだ? 二年連続二位の渕脇柴乃さん」


と、声が聞こえて「ぎゃっ」と悲鳴をあげる。

いつから聞いていたのか、後ろには馨君がいた。

横には邪魔してごめんなさいと、頭を下げている寺濱君もいる。


「なによ馨君! いちいち二位って言わないでくれる!?」


「いいじゃん。事実なんだし」


「なんですって!?」


「か、馨その辺にしておきなよ~でも僕も残念です……コンテストで一位に輝いてほしかったのに……」


「寺濱君も!? やっぱり一位は私に決まって……」


「蛍雪高校の天使、渕脇姫野さん……三年連続首位にするのが、僕達しもべのつとめだったのになあ」


こういうことを素で言えるものだから、寺濱君の目は本当におかしいと思う。

やはり彼の頭の中は、姫野しかいないようだ。

それがなんだか癪に障るっていうか……あんなののどこがいいのかしら……


「姫野ちゃんもそうだけど、浅沼君も三年連続……だよね? あんまり興味ないの?」


「別に。好きで一位取ってねぇし」


「あ、あんたねぇその言い方は他の男子に失礼でしょ」


「でも今年あったら、結構接戦になるんじゃないかな? 馨はそうだけど、同じ学年だったら隼人君も結構人気だし」


言われてみれば、彼もそれなりに女子にモテていたことを思い出す。

彼は馨君とはタイプ違うし、こういうイベントすきそうに見えたけど。

まあむぎちゃんがいるし、あまり目立つようなことはしなさそうだな~……


「ああ、もう! 誰か何とかしなさいよ! このふざけた決まり! これを決めた会長頭おかしいんじゃないの!?」


「悪かったなあ、頭おかしくて」


怒気が含まれたその言葉に、ん? と我に返る。

こんな言葉、あんちゃんやむぎちゃんは使わない。

それにあまり聞き覚えがないような……


「仲睦まじくあたしの悪口とは、どうなるか分かってて言ってるんだよなあ? 三年一組、渕脇柴乃さん?」


長いポニーテールに、きっちりと着こなされた制服。

腕の腕章には会長と書かれており……


「せ、生徒会長!?」


そこにいたのは誰であろうものすごく顔をこわばらせた、生徒会長その人だった。

ものすごく鋭い目つきで、私をにらんでいる。

あまりの驚きで戸惑ってた私だけど、すぐに立ち直り彼女に詰め寄った。


「何よ! 本当のことを言っただけじゃない! 私だけじゃなく、ここの生徒全員そう思ってるわ!」


「あんたみたいなうぬぼれ野郎はいいだろうよ? だがなあ、それでかわいくもない自分がエントリーすらするのは気が引けると身を引いてきた女子が、何人いると思ってる!」


「なっ、誰がうぬぼれ野郎よ!?」


「生徒全員が、そのコンテストを楽しみにしていると思うな! 高校の偏差値は下がるわ、それをネタにいじめてくる上位者はいるわで、余計な事しかないじゃないか!!!」


彼女の勢いに、思わず返す言葉が出なくなる。

それでも生徒会長は、なおも叫んだ。


「この高校はおかしい! 誰がイケメンでかわいいかなんて、そんなのはどうだっていい! 学生の本文は勉強だ! こんなことにうつつを抜かしては腐抜けてしまう! あたしは何を言われようと、このコンテストを再開させるわけにはいかない!」


そういうと会長は、すたすたと行ってしまう。

あえて大声で言っていたのは、みんなにも聞こえるようにってことなのだろうか。

うやむやな気持ちが渦巻く中、私達にはどうすることもできなかったー


(つづく!!)

さて、始まったばかりなのに

怒ってばかりの主人公ではありますが…


コロコロ表情が変わる紫乃って、

見てて飽きませんよね。

結構好きな主人公だったりします。

私は何を言っているのやら…笑


次回、柴乃、爆走!


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