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コバルト色の物語  作者: CHoNi
1/1

~入学〜

手探りでの更新をしていきます。

#雨の入学式


3月、まだ寒さが残る学校。卒業式を終えた中学校の制服を着て、智樹はある掲示板の前に立っていた。

男女が代わる代わる掲示板で自分の数字を探しているようだ。

自分の数字を見つけては一喜一憂している。人生初のふるいかけられている人もいるようだ。悲しみで泣いている者もいる。友達同士できているのだろうか、微妙な空気になっている。横で、自分の数字があったのだろう。はしゃいでいる者がいる。この青年も自分の数字を探し、数字の羅列を目で追っている。

「えっと、俺の数字は235……」

231、232、233、234……

「あった! これで高校生になれる」

少し感情の乏しいが嬉しさを表現する。

そう今日は高校入試の結果発表の日なのだ。

智樹は小学校・中学校と義務教育は公立に通っていた為、

受験というイベントは初めてだ。

掲示板近くの高校の先生らしき人が案内をしている。

「合格された方は、この案内書をもらって帰ってください。本日、お昼より合格者説明会を行います。

そのまま、制服の採寸を行いますので中学校の制服で来てください」

言われた通り、案内書をもらいに行こうとして思い出した。

「正樹のやつ、どこ行った?」

独り言が多いのも、智樹の特徴だ。正樹という少年を探すと智樹だが、掲示板近くにはいないようだ。仕方なく、電話をかけることにした。

「正樹、今どこいるの? 俺もお前も受かってたよ。早く帰ろうぜ」

「受かってた! よかったー。今、学校の下の駐輪場にいるだよ。結果発表が怖すぎて、見に行けなかったけど、受かってたなら行くわ。待ってて!」

本来なら友達の合格発表を先に言ってしまうのはマナー違反な気がするが、智樹と正樹は小学校の

低学年以来の親友だ。お互いの性格は熟知している。正樹は慎重な性格な上少し臆病なのだ。

臆病もあり、自己主張の小さい奴でもあった。そんな性格なので、先に自分の結果を言われても

怒ることはない。むしろ安心して見に行けるとのことだ。

少しして正樹が姿を見せた。

「よかったー。俺、智樹と違ってギリギリだったから正直落ちたと思ってたよ」

「たしかに、俺よりは模試の成績も学校からの評価も低かったもんな」

自信のあった智樹とは反して不安が大きかった正樹から安堵声が漏れる。近くには同じ中学の友人がちらほらいるが、多くが落ちたようだ。そこまで仲が良かったわけではないので、声をかけずに入試結果発表の会場を後にした。


その日、昼から予定通り制服の採寸やら学校指定の用具など説明があり高校生になることを実感できたのであった。


ーーーーーーーーーー

時は少しすぎ、本日は入学式。

小学校からそうなのだが、智樹達の代は入学式・卒業式は雨だ。これが神様の悪戯なのか、この代の子ども達は

日頃行いが悪いのかはわからないが、大事なイベントは雨のことが多い。例によって、今日の入学式も漏れなく

雨である。

「やっぱり雨だな。初めて着る高校の制服が早速濡れてるよ」

智樹は独り言と言ったつもりだったのだが、正樹には聞こえていたようで。

「まさか、ここまで雨に恵まれているとはね。まぁ、知り合いが少ない高校生活の最初が智樹と一緒でよかったよ」

智樹と正樹は入学式の入場を待っている廊下でいつもと変わらない会話をしていた。この2人、小学校6年間のうち

なんと5年間も同じクラスなのである。そして家も近い。中学では同じ野球部に所属していた。さらに、2人ともモテない。

似た者同士ということもあり、周囲から見ても仲のいい関係なのだ。

「さて、正樹は部活何やるよ? 中学は野球だったけど、ここの高校野球部ないからどうするよ?」

「俺は空手かな。球技は無理。智樹ほどできないし」

「俺はテニス部かな。正樹も誘おうと思ったけど、すでに決めているとはな」

智樹はなんとなくだが、毛ほどだが少し不安を覚えていた。小学校からずっと一緒だった友達と高校に入って

初めて少し違う道を歩むのだ。同じ高校、同じクラスなのだが部活が違う。世間でみれば普通かもしれない。

出自が同じ人間なんてかなり少ないだろう。でも、智樹は違った。不安で押しつぶされそうとうかそういう意味ではない。

今までの関係が変わるのではないかという不安だ。智樹は性格上、周囲からはストレス耐性があると思われている。

当の本人もストレスには強いと認識している。しかし、ストレスに強いというのはストレスを感じないというわけではない。

人間はこういった小さなストレスに意外と弱い。特に今回のような理不尽ではないストレスというは、気づきにくい。

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