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森に入ってから、体感で30分くらい経った。
俺は忍者のように、枝から枝へと跳んで移動している。
なんでかって?
そっちの方が、敵とバッタリ遭遇しないように警戒しながら移動するより楽だからだ。
ステータス様様だな。
いや、それだけじゃない。
ステータスと【アクロバット】の両方があって、初めてできる所業だな。
《【アクロバット】のスキルレベルが上がりました》
イベントでレベルアップってするんだな。
ちなみに定期的にプレゼント箱を投下している。
下に敵がいてもいなくても、関係ないからな。
敵がいなければ、あとで敵が近づいたときに発動するだけだろ。
ホント、罠としても便利なプレゼント箱だな。
できるだけ周りに被害が出る魔法の入ったやつを選んで投下しているが、円型『サンダーハンド』はそろそろ品切れになりそうだ。
まあ、戻ってくるのが分かってるからこれだけ大盤振る舞いができるんだけどな。
ちょっと顔がニヤケてしまう。
大量消費をしたときの、この解放感?みたいな感覚がたまらん。
そうやって少し気が抜けていたのかもしれない。
いつの間にか、俺の肩から矢が生えていた。
って、は!?
「ッ!?」
くっ!やられた!
しかもHPが徐々に減っているのを見ると、毒矢か!?
めんどくさすぎる!
矢の角度は……目測で右上45゜。
詠唱を始めておく。
次の矢が射られたが、それは辛うじて避けることができた。
角度は、また目測だが右下60゜か。
とりあえず枝から枝へと跳び回ることで狙われづらくしていると、魔法の詠唱が完了した。
「『フィジカルエンチャント・ライト』!」
そして次の魔法を詠唱し始める。
そこで第三射がきた。
角度は、これまた目測で左55゜か。
射撃ポイントを変えてるってことは、普段から人を狩り慣れてるな、こいつ。
モンスター相手なら一射ごとにポイントを変える必要はない。
数回に一度で十分事足りるんだが…。
何度もしてるってことは、それだけ知識と経験があるからだろう。
何にしろ、厄介なことに変わりはない。
おっと、詠唱が終わったか。
「『サンダーハンド』!」
右手を凪ぎ払うようにして、『サンダーハンド』を動かす。
広い範囲を攻撃したが、まだ敵の影は見えない。
とりあえず次の魔法を詠唱しておこう。
すると次の矢が飛んできた。
右上か、なら次は多分…。
詠唱が終わる。
「『サンダーハンド』!」
先程と同じように動かして攻撃し、それと同時に気づかれないようプレゼント箱をある方向に投げる。
【雷魔法】は派手だからか、気づかれないようにするのは楽だった。
「うわぁ!?なんでバレてッ!?」
「いや、癖か知らないけど射撃ポイント変えるならもっと変則的に変えなきゃでしょ。」
「ハッ!?」
「せっかく変えても、パターンが割れたら意味ないだろうに……。」
まあ、もしかして?って感じでほぼ賭けだったんだけど。やっぱり次は右下だったか。
とりあえず、弓を持った狩人風の服装をした男を『白竜刀』による一撃で仕留める。
反撃されても面倒だし、隙を見せる方が悪い。
『ファイアヒール』を使って回復して、移動を再開した。
というより、さっきの戦闘で目立ってる可能性があるから早くここから離れたい、というのが本音だ。
毒?自然治癒に任せる。
俺は辺りを警戒しながら、木々を跳んで移動した。
ちなみに敵の服装が出てきたが、これからもこいつが出るかは不明です。
多分…出るんじゃない?
そこら辺は未来の俺に任せた!
見切り発車の弊害かな?うん、弊害だな!




