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《チュートリアルクエストを受けました。
チュートリアルエリアに移動します。》
なるほど、分からん!
いや、分かってたまるか!
なにこれ?メイキングルームと同じ感じ?
何も分からないまま、目の前が白く染まる。
やっぱりメイキングルームと同じじゃねぇか!
手抜きかよ!しっかりしろよ、運営!
っと。
「どうやら着いたみたいだな。」
そこには、少し傷の付いた黒板のようなもの。
ボロボロで今にも壊れそうな教卓らしきもの。
木製でこれまた壊れそうな机と椅子。
割れたところが多々ある窓。
穴がところどころ空いた床。
………ここは、どっかの学校か?
旧校舎とかそんな感じなのか?
世界観ぶっ壊しじゃねえか!
そんなこと思っていると、扉がガラガラと音を立てて………開かなかった。
建付けでも悪いのだろうか?
ガタガタ言うだけで、全く開かないぞ?
ガタガタガタガタ!!
どうやらイラつき始めたようだ。
仕方ないな。
「手伝うとす「バーンッ!」……え?」
なんか大きな音がしたんですけど?
バーンッ!ってなんだよ!?
扉開いてる……というより壊れてる。
これじゃ開ける(物理)じゃねえか。
犯人はこいつか。
そこには、扉を蹴ったであろう人物がいた。
蹴りを入れたポーズしてるから分かりやすかったわ。
というか誰だこいつ。
背は125センチくらいか。
クリクリとした目、小さな口のついたこれまた小さな顔。
髪は少し長くツインテールに結ばれている。
そして可愛らしい花で彩られたワンピースに身を包んでいる。
髪と花は、まるで燃え盛る火のような赤色だ。
眼だけがその存在を誇張するかのようにエメラルド色に輝いている。
……幼女ですね、分かります。
〈うし!開いたな。〉
……やはり幼女がやったようだ。
そんな小さな体のどこにあんな力があるんだよ。
〈おーし、お前ら席つけー。
今から授業始めるぞー。〉
チュートリアルは授業扱いなのかよ……。
というかお前らって………。
1人しか居ないよ。
あ、幼女も居るから2人だけどな。
〈お前1人か?〉
「あ、はい。俺1人だけです。」
幼女にこの言葉使いしたくないんだけど、どう考えてもこの幼女の言動が先生なんだよな。
〈そうか、ならさっさと席につけ。〉
「あ、はい。」
言われてしまっては仕方がない。
俺は近くの席に座る。
それにしても………。
お前1人か?って言うけど、チュートリアルって1人で受けるもんだろ?
1人じゃない奴居たのか?
もう、よく分からねえからいいか。
考えるだけ無駄だ。
〈よし!それじゃあ今度こそ、授業を始めるぞ!
あたしの名前は………。あー、めんどい。
適当に考えていいぞ。〉
「じゃあ考えるのめんどくさいんで、先生でいいです。
あと、俺はサンタって言います。
よろしくお願いします、先生。」
〈ご丁寧にどうも。〉
両者共に、自己紹介が雑だが、これでいいのか?
………いいか。
俺の友だちも「考えたら負けだよ!サンタさん!」って言ってたもんな。
考えに耽ってて、トラックに轢かれたやつが言ったとなると説得力がある。
あの世で、安らかに眠ってくれ……。
先生の容姿の描写を追加しました。
身長しか分かってないからね。
これからも出るだろう、幼女。
わかんないけど。