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まだ一週間経ってないのに50話越えてんのか……。
進み遅ッ!?
ギルドから東に伸びる大通り。
そこから『カジンの鍛冶屋』に繋がっている小道へ行くことができる。
『カジンの鍛冶屋』の経営者のカジンは、プレイヤー経営のお店でベータテストでは一流の鍛冶師として名を馳せていた……らしい。
そんな『カジンの鍛冶屋』を利用するためには、ひとつ条件がある。
それは『カジン』または『カジンに信用され、許可を得た者』に、『カジンの鍛冶屋』を紹介されること。
これがないと、店を利用できない。
というかこれがないと、ドアに触れただけでも痛みが走るらしい。
どんな痛みかって?
冬によく起こる静電気による痛みが一番近いんじゃないか?
静電気の詳しい仕組みとかは知らないけど、イオンがうんたらかんたらみたいな感じだったはずだ、うん。
まあ、そんな感じで普通の人じゃ利用できない店ってわけだよ。
俺は鈴木に紹介されたし、問題は無いはず……。
鈴木……お前カジンさんにちゃんと許可もらったよな……?
もし、もらってなかったらあいつの露店まで殴り込みに行ってやろう。
そう考えている間に、『カジンの鍛冶屋』に着いた。
見た目は洋風の家っぽく、剣と鎚?もしくはハンマー?みたいなものを交差させた看板がある。
しかもその下にはご丁寧に『カジンの鍛冶屋』と書かれていた。
よし、入るか。
「失礼しまーす。」
一応挨拶をしてから入ったのだが、誰も居ないのか返事がない。
「あのー?カジンさんって居ますかー?」
少し声を大きくして言ってみた。
すると返事が帰ってきた………後ろから。
「今帰ってきたから、居るぞい?」
「ッ!?」
後ろから突然声を掛けられたものだから、ビックリして卵を落としかけた。
危ねぇ、落としたらどうなるか分かんないからな。
後ろを振り向くと、じじいが居た。
身長は120センチくらいで、ボサボサながらも短めの白髪、更にその体躯からは考えられないほどに発達した腕の筋肉。
このゲーム、ASWって種族は人間しか選べない……はずだよな?
目の前に居るこのじじい、どう見ても偏見が詰まったドワーフにしか見えないんだが?
「ん?お主の持っておるそれは?」
「え?クエストの報酬のモンスターの卵ですが?」
俺が頭上に「?」を浮かべても、なにも言わずにモンスターの卵に興味を示した。
……とりあえず容姿とかを気にするのやめるか…。
「………なんでテイマーが金属武器なんぞを……。」
「いや、テイマーモドキだからね?」
というかなぜにテイマーが金属武器を持つことを否定するし。
聞いてみるとどうやらテイマーだけでなく、魔法を使う職業は金属武器と相性が良くないそうだ。
魔力効率がどうたらこうたら言っているが、全く意味が分からない。
『初心者の短刀』は金属武器だが、魔法の威力は『初心者のロッド』を持っている時とあまり変わらなかった。
それを言ってみると心底驚かれた。
……なぜだ。
「それで?依頼はなんじゃ?」
「ああ、そうだった。」
すっかり忘れていた。
このまま帰るところだったわ……。
「これで短刀を一本。あとコレで通常サイズの刀を一本。予算は20000G以内でどうにか抑えて欲しい。」
そう言って巨大猪の小さな牙と、竜王の小さな爪を出す。
牙が短刀、爪は刀だ。
ドラゴンだからか小さな爪と言っても、刀サイズはあるからな。
これで短刀を作るのは、素材の大半を無駄にしてしまうからやめた。
それにどうせならサイズの違う刀で「二刀流ッ!」とかしてみたい。
「なんで、サービス開始から一週間も経たずに竜王の素材を持っとるやつが居るんじゃ……。」
「いやぁー。あはは、は……なんかすんません。」
「まあ、一応刀になら加工できるじゃろ。ただスキルレベルに難があるからの。
できるまで時間がかかる。
明日のこの時間にまた来るんじゃな。
それまでには仕上げておくとしよう。」
「おおー!あざっす!」
正直予算も低いし、受けてくれるか半々だったがよかった、よかった。
あとは街を見て回るだけか。
「……ところでお主。」
「ん?なんですか?」
「お主は誰に紹介されてここへ来た?」
ん?
鈴木のやろう、まさかメールで言ってないのか?
「えっと、露店で焼き鳥作ってた鈴木ですけど……?」
「ああ、やっぱりそうじゃったか…。」
「あの?やっぱりって?」
「あやつが紹介する顧客は総じて変なやつが多くての……。」
「遠回しに変なやつって言われた!?」
初対面でそれは酷いぞ、じじい!
「いや、サンタコスで卵持ったやつが変なやつなわけないじゃろ……。」
「そういや俺の格好変なやつだった!?」
「そういう事じゃよ……。」
「じじい、初対面でそれはないだろ!?
中身を見てくれよ、中身を!?」
「初対面でじじいとかのたまうやつの、中身なんぞ見らんでも分かるわー!」
結局変人呼ばわりされた俺は、その誤解を解くことができずに『カジンの鍛冶屋』を去ったのだった……。
別に変人じゃねーし!
覚えてろよ、あのじじい!
感想、誤字脱字報告。
よろしくお願いしやっす!
そう言えばブクマ400越えてたね!
素直に嬉しいな、おい!
これからもよろしく!




