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最強(弱)無双の魔法使いは無敵少女と旅をする。  作者: たけまこと
ドワッフ族の迷宮
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ぶるまー男の逆襲

 エマ達は扉をくぐって次の部屋に入った。

 

 さすがに今度は本物のぶるまー男が大きなソファーにふんぞり返ってこちらを見ている。

 その隣には脚付きのベッドが有りそこにカルラが眠ってた。

 

「よく来たな小娘」

「何よぶるまー男そんなにあたしをが欲しかったの?」

「心配するな、お前のような小便臭い娘は好みじゃない。」

「それじゃアタシのように熟れた女が好みなのかい?」

 

 ザルエガさんが髪をかき上げてしなをつけて見せる。

 

「小娘よりはマシだな。胸の小さな奴は好みじゃないからな。」

 

「離せシドラこいつぶっ殺してやる。」

 目じりを釣り上げて暴れるエマをシドラが後ろから抱える。

 

「それより孫を返してもらえるかい?それともあんたをぶっ殺さなけりゃ返さないとか言うのかい?」

「いや、お前たちがここまで来た以上もうこのチビには用は無い、勝手に持って帰るがよい。もっともワシを倒さねば後ろのドアは開かんがな。」

 

 扇子がベッドごと赤ん坊を連れてくる。

 

「カルラ!」

 お母さんはカルラを抱きしめる。

「じゃあ、お返ししましたわよ。それからここでは戦いが始まるから安全な所で孫を守っていなさい。」

「あんたの目的は何なの?ウィザーなら子供を危険にさらせないはずなのにね。」

「私もウィザーですからね。子供の安全は絶対に確保しておきたいんですけどね、オーッホホホ。」

 

「各々がた後ろに下がってくだされ。ここは私が相手をいたします。」ゲンナイが前に出る。

 

「私も戦うよ。娘を傷付けられたうえ孫を拐かされて黙って引き下がってはドワッフ族のなおれだからね。」

 ザルエガは赤ん坊をベルトラに預けると前に出る。

「いけません!あなたとベルトラさんはお孫さんを守っていて下さい。」

 ゲンナイが前から二人に下がるように手を振る。

 ゲンナイを見ていたザルディは不敵な笑いを浮かべる。

 

「先程から貴様を見ていたが、貴様ガモウの者か?」

「ガモウ?知らん名だな。何者だそいつは?ワシは只の食い詰めた傭兵崩れだが。」

「ふむ、只の傭兵崩れごときがそれ程の技量を持っている筈もないだろう。」

「だいぶ買いかぶっておるようだが、ワシは一宿一飯の義理を果たしに来ただけだ。」

 ザルディはその言葉を聞いて嬉しそうな笑いを浮かべる。

 

「まあいい。貴様のような手練と戦えるのは行幸、せいぜい楽しませてもらうさ。」

「待ちなさいよ、戦うのはゲンナイさんだけじゃないのよ。」

 

 エマがズイっと前に出る。

 

「小娘やめておけ貴様の手に負える相手では無いぞ。」

 ザルディがニヒルに笑って見せる。

「なーにカッコつけちゃってんのよ。今朝は散々落されたくせに。」

「や、やかましい。今朝はちょっと調子悪かっただけだ。」

 

 むふふふ……やっぱり気にしているんだ。

 

「しかしここではそうはいかんぞ。ワシの縄張りの中だからな。」

「こっちにだってウィザーがいるんだからね。ホレッ。」

 エマはシドラを摘み上げてザルディの前に持ってくる。

 

「はい~っ、エマさん。私はあちらの扇子さんを相手にさせて頂きます。」

「なによ、逃げる気?」

「私の代わりにリザードンを用意いたしましたから?、きっと大丈夫でしょ~?。」

「ほう、竜人の使い魔を乗取りおったか。やはりお前は危険人物のようだな。」

 ザルディがエマを見て嬉しそうな顔をする。

 

 何が嬉しいんだ?何がーっ。

 

「ホーっホッホッホッ、このまま国に帰ればみんな此処から出してあげるわよ。」

 扇子がけたたましく笑う。

 

「わかった。じゃ帰る!」

 

「なに?」

「はい?」

 

「家に帰るから此処の扉を開けて。」

「ま、待ておいっ…お前。」

 慌てた様子てザルディがエマを呼び止める。

「何よ!アタシはエマよ。」

 

 エマのあまりの豹変ぶりに二人して狼狽を隠せないようだ。

 

「いやな?お前は自分の過去を知りたくて止むに止まれず出てきたんじゃないのか?」

「うん、だけど子供が危険な目に合わされたのに自分の気持ちだけで勝手をする訳にはいかないでしょ。」

「おまえなあ、お前の信念てのはそんなものなのか?」

 なぜかエマを説得するような口調に変わるザルディ。

 

「そだよ。どんな信念も人の命や生活のほうが大事だもん。」

 

「………………。」

 

「おい、お前の情報間違ってないか?こんなやつが上から指名された奴なのか?」

「さ、さあ?そう言われましてもねえ。」

 どうも2人ともエマの行動は想定外だったらしい。

 

「ふむ、エマ殿が帰られると言うのであればこれ以上此処で揉めている理由も無いと言うことであるな。」

 ゲンナイものんびりした調子でボソッと言う。

「おい、貴様までそんな事を言うな。せっかくのワシの楽しみが。」

「貴公はかなりのバトルマニアらしいが世の中にはそうでない者の方が多いと言うことであろう。」

 

「それじゃ出て行くからさっさと扉を開けてくれる?」

「お、おいどうする?」

 コイツ等完全にうろたえてやがる、もうひと押しだな。

「仕方ないでしょう、本人がやる気無いんじゃ。」

 

「はーよ開けろ、はーよ開けろーっ!」

 

「絶対口からでまかせに決まっておろうが。」

「じゃいきなり襲って殺しちゃうの?ウィザー世界から追放されるわよ。」

「か、構わんぞ、ワシはウィザーじゃないからな。」

「追放されたら一人で生きて行けないでしょ。」

「人をニートみたいに言うな!」

 

「なに言ってんのよ自分ひとりじゃ全然生活力ないくせに。」

「うるさい!人間を征服してそいつらに稼がせれば良いんだ。」

「それじゃパラサイトでしょうが、ウィザーどころかまともな大人にだってなれないわよ。」

「もう十分大人になっとるわい。」

 

 あ~あ、コイツ等本物のアホだわ。

 

「どうした、ウィザーはそんなにかんたんに前言を翻すのか?」

「いいわよ出てお行きなさい。その代わりちゃんとドームに帰るのよ。」

 扇子がそう言うと入ってきた扉が開いた。

 

「それじゃお母さんとベルトラが先に行って。」

 エマはお母さんとベルトラを先に出すとエマもドアから外に出る。

 リザードンと戦った広場を通ってお母さんたちがナーガの広場に出て行くのを確認する。

 するとエマは広場の真ん中に戻って大声をだす。

 

「へーんだ誰がお前なんかの言う事を聞くもんか、騙されやがってばーか、ばーか、ばーか。」

「ほう、やっぱりそれがお前の本音か。少しは見直したぞ。」

 エマの背後から声が聞こえる。

 

「げっ、いつの間に。」

 

「お前程度に騙されるアホも少ないと思うが……隣の非部屋にいるのはワシの幻だ。」

「いつの間に入れ替わったのであるか?」

 ゲンナイがスチャッと曲刀を抜いて構える。

「ま、別にいいけどお母さん達逃がしちゃったし。」

「元々あんな奴ら相手にはしておらん。どちらにしてもお前たちは逃さんぞ。」

 ザルディはゆっくりとエマの方に向かって歩き始める。

 

「エマ殿下がられよ。」

 ゲンナイがエマの前に立ちふさがる。

 

「落ちろ!」エマが叫ぶ。


 いきなりザルディの頭の上に金ダライが落ちてくる。

 カコーンと音がして金ダライがザルディの頭に当たる。

「な?なんだ?」

「やっぱり金ダライは一個だけじゃなかったみたいね。」

 

 あっエマさんの眼がキラキラしています。

 

「き、貴様どうして?」

「全部落ちろ!」

 十個程の金ダライがザルディの頭上に降り注ぐ。

「あだだだだ。」

 

「な、なぜだ?貴様のような小娘が?」

「知らないわよ。この中じゃアタシも魔法が使えるみたいね。」

「貴様をこれ以上野放しには出来ないと言うことか。」

 ザルディが怒気を含んだ目つきでエマに迫って来る。

 

「はっ?」

 

 その瞬間ザルディの背後でリザードンが立ち上がり、ザルディに向かって刀を振り下ろす。

 かろうじてリザードンの刃を躱したザルディはリザードンに向かって雷を放つ。

「かわして!」

 

 リザードンは刀を前に出して雷をそらす。

「こっちも行くわよ。落ちろ!」

 雷がザルディに向かって落ちる。

 

「ぐわわわっ!こ、小娘、貴様っ!?」

 ザルディは雷を刀ではらいながら驚愕の目でエマを睨む。

 ふたたびリザードンの刀がザルディを襲う。

「ちっ、ここまで!」

「次行くわよ。全部落ちちゃえ!」

 

 ザルディめがけてたくさんの水の塊が落ちてくる。

 ザルディは刀で薙ぎ払えが幾つかが体に当たってザルディはずぶ濡れになる。

「わっ!ぷぷぷっ。こ、この小娘が!」

 水に濡れて視界を奪われた隙に、すかさずリザードンがザルディに斬りかかる。

 

「何をやっているのであるか?」

 エマは先程から手足を変なふうに動かしている。

 ゲンナイにはまるで踊ってでもいる様にも見えた。

 

「この方がリザちゃん動かしやすいのよ。」

 

 二人の前でザルディとリザードンが打ち合っているがさすがにリザードンのほうが防戦になっている。

「最後よ。全部落ちろ!」

 突如リザードンが後方へ飛ぶ。

 その瞬間幾条もの雷がザルディめがけて落ちた。

 

 かわす術もなくずぶ濡れのザルディは大量の雷撃にさらされて悲鳴を上げた。

「ぐわわわああーーーっ。」

「おおっ効いてる効いてる!」

「黒焦げになって煙を出しておる、エマ殿大した魔力であるな。」

 

「魔法じゃないわね、だってこれ全部仕掛けだもの。」

「なに?」

「ほら、天井にいくつも変な物がぶら下がっているじゃない。」

「な、成る程。し………しかし、どうやって?」

「アタシにもわかんないわよ。仕掛けに神経を集中して落ちろって唱えると落ちるのよ。」

 

「ぐ…ぐ…ぐぎぎっ。」

 

「エマ殿あやつ復活してきましたぞ。」

 動きをとめていたザルディがこちらを向く。

「貴様ーっ、このザルディ様を良くもコケにしてくれたな。」

 ザルディが怒りに燃える目をエマに向ける。


「そうかよ、ほいっ。」

 ザルディの背後からリザードンが刀で攻撃する。

「うるさい!」

 ザルディがリザードンに向かって片手をかざすとドンッ!という音がしてリザードンの上半身が吹っ飛ぶ。

 

「ギャーハッハッハッ!!この小娘がーっ!!!」

 ザルディが剣を振りかぶってエマの方に飛んできた。

「ひええええ~っ、顔がマジ怖い。」

 

 ザルディの刀がエマの胸をかすめて胸当てに当たる。しかしウィザー製の胸当てがエマを守った。

「胸が小さくて命拾いをしたな小娘、もっと大きければ真っ二つにできたのだがな。」

「やかましい乙女の胸をそう気安く触れると思うな!」

 

「わーははは、大きくなるまで生きておれるかな?」

「今でも十分おおきいわ!」

 再びザルディが刀で斬りかかって来る。

 

 ゲンナイが素早く前に出てザルディの剣を受ける。激しく刀同士がぶつかり合う。

「エマさん逃げろ!」

「逃すか!死ね!!」

 ザルディがエマに向かって手をかざす。

 

「やばいっ!」

 

 エマがそう思った刹那目の前の影が踊った。

 ドンッ!!

「ひえええええぇぇ~~っ!」

 シドラがくるくる回りながら吹っ飛ばされて行った。

 

 すまん!シドラ、君の死は無駄にはしない。

 


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