宿屋の夜にアレを見つけました。
「あんたら街にいられなくなってこんな所まで逃げてきていたのね。」
後で聞いたところによればこの3人組はスカポンタン兄弟と呼ばれ、街の半端者だったらしい。
「うるせえ別に逃げてきた訳じゃねえぞ。それよりちょうど良いあの時の礼をしてやる。」
「おや、お礼をいただけるのですか?それはどうも恐れ入ります。」
男の言葉にシドラがいそいそと前に出る。
「げっ。」
3人はシドラを見て後ずさった。
「申し訳ありませんねえそんなに気を使わせちゃって。」
嬉しそうな声で揉み手をしながら首を傾ける出るシドラ、刀に手をかける3人組。
「野郎!!」
先頭の男がいきな りシドラに斬りかかった。
「ひええ~っ、何をするんですか??」
シドラは素っ頓狂な声を上げた。
シドラに向かって振り下ろされた剣を体をそらせて逃れると剣はカウンターに当たって刃が食い込む。
「てめ~っ何しやがる!」
カウンターを傷付けられて宿の亭主が大声を上げた。
男が振り下ろしたその刀にシドラは手を置いて掴む。
「う、動かねえ。」
シドラは無造作に男の刀を掴んだ様に見えたが掴まれた刀はそのまま男が全身の力を込めてもびくともしなかった。
「母さん!」
それを見ていた宿の亭主が厨房に向かって怒鳴った。
「はいよ。あんた。」
おかみさんが台所から麺打棒を投げてよこす。
「おうさ。てめえらこんな所で刀を抜くんじゃねえ。」
麺打棒を持って親父が身構えると男たちは少し怯んだようである。
「ま、待て刀が…………。」
「やかましい。とっとと出て行け。」
親父がおもいっきり棒を振り下ろしたので男は刀を離して後ろにひっくり返る。
そのままバタバタと宿の外に逃げ出した。
「待ちやがれ、酒代置いてけ。」
しかし3人組は外につないであった馬にまたがるとそのまま逃げ去ってしまった。
「これ、どうしましょう。」
シドラがまだ掴んだままの刀を見て言った。
「丁度いい。酒代代わりのもらっておいてやらあ……と言うかずいぶん安物の刀だな。」
「今朝あの人の刀を折ってしまいましたので新しく買ったのでしょう。」
「しけた奴らだ。奴らと何か有ったのかい?」
亭主は刀を値踏みしながら聞いた。
「はい、村で私はあの男たちに襲われまして、多分荷物を狙っての事でしょうが、その時にエマさんが賊に胸を掴まれまして怒ったエマさんがあの者たちを袋叩きに…………。」
「していません!」
エマが真っ赤になって怒鳴る。
「はて?そうでしたっけ?」
シドラは首をかしげる。
「誤解を与えるようなことは言わないで下さい。」
「誤解?でしょうか?」
「ご・か・い です。」
シドラはすごい殺気を感じてそれ以上言葉を継げなかった。
「いずれにせよ奴らはもう来ないだろう。今日は家に泊まるんだろ。」
「はい、お願い致します。」
「あのエマちゃんがまあこんなに美人になっちゃって。」
おかみさんが大きくなったわが子を見るようにいう。
「エマももう15歳ですからね、もう大人ですよ。」
「ほほう15歳になったのか。それじゃあレディとして扱わなくちゃいけないな。」
「とりあえず腹が減ったろう飯でも食いながら村の話でもしておくれ。」
「私もご一緒して宜しいでしょうか?」
「あんたウィザーだろう?一緒に食事をしたいのかね?」
「いいえ、戒律が有りますから。しかし人が食事をするのを見ているのは良いものですから。」
「はっはっはっ、まあいいあんたも同席すればいいさ。あんたは今夜は泊まるのかね?」
「いいえ私も食事をして荷物を取って来なくてはなりませんので夜は失礼します。明日の朝までには戻って参るつもりです。」
「それじゃエマさんとはお父さんの話でもして盛り上がろうかい。」
テーブルに着くとおかみさんが食事を持ってきてくれた。
「お腹が空いたろう。ゆっくりお食べなさい。」
エマは湯気の上がるシチューを食べる。
「おいしい!このお肉は何のお肉なんですか?」
「ああ、うさぎだよ。このへんの畑の作物を狙って結構罠にかかるんでね。」
「この辺には狼もいないからね。うさぎが増えて困っているんだ。まあ、罠を仕掛けて駆除するしか無いのだが、それでも彼らのお陰で肉にありつける。」
「牧畜はしないんですか?」
「牛や馬も飼ってはいるが全部労働用だよ。通路内では作物の栽培の方が向いているからね。」
「じゃ、お肉は?」
「ドームの中から買ってくる。」
「ただウサギはオオカミや狐がいないから黙っているといくらでも増えるからね。」
「狼?エンルーダの村の周囲には少しいるようですけど。」
「人の近くには住まないものさ。通路にはまったくいない。まあドームの幅が200メルカしか無いから隠れる所もあまり無いからねえ。」
「オオカミもたまに橋を渡って来るが、すぐにいなくなるようだな。」
「橋を渡る?狼がですか?」
「ああ、年に何回か北風の強い日には渡れるらしい。」
「北風?」
「なぜか山おろしの北風の吹く日はドームの外に出てもあまり苦しくないんだ。動物にはそれがわかるらしいね。」
「そうでもなければドームに人が住んでいる筈がないじゃないか。」
「橋を渡れるんでしょうか?」
エマにとっては初めて聞くことばかりであった。
エマにとってドームはそれが有るのが当たり前であり、ドームの外でどのような嵐が吹き荒ぼうともドームの中は安全な場所であった。それはドーム通路でも同じであり、橋だけがドームを隔てる大きな障害となっていたのだ。
エマは父のようなごく一部のものだけがドームを行き来しているのかと思っていたが、意外とドーム間の交易は頻繁なようであり、動物たちの往来も有るということを初めて知った。
「あなた知っていた?」
「はい、その辺はアンチョコに書いてありましたから。」
こいつは……。
◆
その夜エマは初めての旅の疲れもあり宿のベッドでぐっすり眠っていた。
いきなり何かが体だの上に乗りかかる衝撃に目を覚ました。
声をあげようとするが何者かに口を塞がれる。目を開けると窓から差し込む月明かりに昼間の男の顔が目の前に見えた。
「へへへ~っ昼間は世話になったな?お礼をさせてもらいに来たぜ。」
男はエマの体の上に馬乗りになっておりその後ろに二人のシルエットが見えた。
「むぐううう~~っ。」
エマは力いっぱい体を動かそうと思ったが3人の男に手足を抑えられ動くことができない。
「声を出されちゃ面倒だからな。」そう言ってエマの口に汚い布を押し込む。
「うぐぐぐっ。」
「これで誰に助けを呼べないだろうたっぷりと楽しませてやるぜ。」
男は両手を使ってエマの寝間着を引き裂くとエマの胸がむき出しになる。
「へっへっへっ、いい乳してやがる。どうでえ俺の女にならねえか?いい思いさせてやるぜ。」
「むぐううう~っ」
憤怒の表情でエマが暴れると左手が動いたので男の顔を力いっぱいひっかく。
「いてててっ、なんて凶暴な女だ、おいっ、誰かこの手を押さえてろ。」
エマの左にいた男が手を抑える。
「むひいいい~~~~っっ!」
手足を押さえられ今度こそ身動きできなくなったエマの寝間着の裾を男が持ち上げるとエマの下半身が露わになる。
エマの体の上に馬乗りになっている男はズボンを下ろしてみせた。
「どうでい穣ちゃん俺様のアレで天国に送ってやるぜ。」
「アニキの次は俺が逝かせてやるよ。」右側の男がヨダレを垂らしながらエマを見てる。
「ひいいいっ?」
「さあ、凶悪なイチモツを食らわしてやる。」
男の誇らしげな顔が月明かりにうっすらと浮かぶ。
「なるほど、もしかしてコレが男の人のアレの事ですか?」
エマの左の方で間延びした声が聞こえる。
「ポンビニオ何を馬鹿な事を言ってるんだ?」
「スカールアニキ、俺はこっちだ。」
「右側から男の声がする。」
「タンザリー、お前か?」
「俺は足を押さえているぜ。」
「それじゃそこにいるのはいったい……。」
「しかしこれでエマさんの言っていたアレが何であるのかわかりました。」
左にいたのは昼間会ったウィザーであった。
アクセスいただいてありがとうございます。
スイマセン、今回は下ネタです。
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