表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強(弱)無双の魔法使いは無敵少女と旅をする。  作者: たけまこと
ドワッフ族の迷宮
56/211

ゴウコン祭りで潰しました

「それじゃおやすみなさい、エマさん。」

「オラたつ明日にはジョライ・ドームに帰りますだ。」

 サツキ達二人はすごく幸せそうに寄り添っていた。

 

「2人でもっともっと旅館を盛り立てて行きます。」

「エマさんもお元気で、いい旅が続きますよう祈っておりますだ。」

「ありがとう、お2人ともお幸せにね。」

 

 なんか二人の周りの空間からハートマークが噴き出してる。うらやましいな~っ。

 二人と別れるとエマはゴウコン会場に向かった。

 

 これから起きる惨劇に、この時エマは思い至ることは無かった。

 

………………

 

「それではゴウコン祭りをこれから始めたいと思います。」

 宿の女将のピクシーが音頭を取る。

 

 20畳程の広間に男が8名、女6名が向かい合って座る。

 その間にはテーブルがありご馳走とお酒がおかれている。

 ご馳走は宿代に含まれるが、酒は男持ちというルールでお酒は飲み放題との事である。

 男はドワーフ族が8人、女はエマとベルラ姉妹、ピクシー族の女性1名に残りがドワーフ族の女性であった。

 

 その中で一人だけピクシーの女性は大人の中に子供が紛れ込んだような状態に見える。

 幸い宿の女将はピクシー族なので場違いな感じは免れている。

 

「今日は皆さまお集まりいただきありがとう御座います。わが宿におきましては月に一度のゴウコン祭りを開いておりまして毎回多数の参加をいただいております。」

 ドワッフの男達はひげを生やしているものが多い。そのおかげで年齢は判りづらい感じである。

 ドワッフ族の女達はベルラ姉妹程ではないが皆大柄で大きな胸をした筋肉質の体をしている。

 

不埒物ふらちものが現れましたがしっかりと取り押さえ宿の前に逆さ吊りにしております。うちの宿はそのような不埒物に関しては一切の容赦を致しませんのでご安心ください。」

 

 その中に一人がシドラなんだよな、あいつ今頃宿の前で逆さ吊りか。あたしゃ見に行きたくないけどね。

 

「それではお手元のカップを取って乾杯と行きましょう。ゴウコン祭りに乾杯!」

「乾杯!!」

 全員がグラスをもって乾杯する。

 エマもお酒を飲んでみるがそれほど強い酒ではないようである。

 ドワッフ族は女も男も豪快に酒を飲み干す。ピクシー族の娘だけは少し口をつけてグラスを置く。

 

「それではお料理をいただきながら自己紹介を致したいと思いますが、最初は男性のほうからお名前とお仕事とお年をお願いいたします。」

「あ、わしはこの町で鍛冶屋をやっとりますジンザと言いますだ。年は19ですだ。子供はまだいねえですが3人位は面倒を見たいと思っとりますだ。」

 

 19か、どう見ても30過ぎのおっさんにしか見えないが、ドワッフ族は毛が濃くて髭を伸ばしているのが多いからすごく年寄りに見える。

 それにしてもジョライ・ドームではピクシーの中にドワッフが混じってる感じだったがこの村ではドワッフの中にピクシーが混ざってる感じだ。

 

 ウィデルガ・ドームではドワッフ、ピクシー、人族がまじり会ってた。思った以上に各ドームの人の交流は盛んなんだ。

 エマのフェブリナ・ドームでは殆どが人族しかいなかったのでこの様に異種族が混ざっている事が珍しいと思っていたのだが、フェブリナ・ドームのような状態のほうが珍しい事だったのだと思わされた。

 

「それでは女性の方々に自己紹介をお願いいたします。」

「おう、あたしはベルラ、年は19歳子供がこの奥のゼクトル村に1人いる。これから子供の顔を見に帰るところだ。」

 ん?もしかしてこのゴウコン祭りって彼氏探しのイベントなのかな?

 

 事ここに至ってようやくゴウコン祭りの意味を理解したエマであった。


 エマのドームではこのような習慣も祭りも無かった。

 ただ村祭や結婚式などは格好の相手探しの場所でみんな20前には相手を見つけているのが普通であった。

 エマとしては酒につられてこんな場所に来たことに多少の気恥ずかしさを禁じえなかった。

 

「私の名はエマ人族の15歳、今は旅の途中で~す。」と自己紹介。

 しかし男共の目はベルラ姉妹の胸にくぎ付けである。

 

 え~え~、私のはあんなに大きくありませんよ。これでも村では巨乳で通っていたんだぞ。

 

 でも、そうなるとピクシーの娘なんかまったく相手にされなくなっちゃうだろう。

 あれ?宿屋の女将がすすっとピクシーの娘の横に移動してきてきて彼女をサポートしている。

 やっぱりピクシー族は小さいし目立たないからな~。

 

「あの……マツコ…です。ピクシー族の19歳…です。」

 なんか19歳とも思えないほどの初々しさ。男たちの視線が一斉にサツキに向かう

 え?男たちの目がハート形に変わった?何なのよこいつら、巨乳マニアじゃなかったの?

 以前聞いた話ではドワーフの女性は胸の大きいのが美人と言ってなかった?

 

「それではみなさんこの後は自由にご歓談ください。」

 女将がそう宣言すると各自が思い思いの場所で話を始める。

 一番人気はやはりベルラ、この中で一番胸が大きいから当たり前か、男が何人もベルラの周りに取付いている。

 2番人気がなんとマツコ、男たちは此処で足を止める。

 

 そして私のところへは?と言うと……寄り付いて来ない。

 

 もしかしておっきいのとちっちゃいのに人気が集まって真ん中は無視されるの?

 そりゃあこういった場だからあまりボッチを作っちゃまずいから順番に話をしには来るわよ。

 だけど話が盛り上がる前にさっさと別の女の処に行っちゃうのよね。

 

 いったい何なのよドワッフ族の趣味は!

 

 そりゃあ旅の途中で彼氏作るわけにもいかないけど、そうあからさまに無視する事ないじゃない。

 酒につられた私も悪いんだけど。

 エマの胸の中に沸々と怒りの炎が吹きあがってきた。

 

 よっしゃ。潰したる! 

 

 心の中でエマはそう誓った。

 男がエマ処に来る度にエマはなるべく強そうな酒を選んで男のグラスに酒を注ぐ。

 ドワッフ族は酒が好きらしく結構一気に飲んでしまう、それがこの連中の流儀らしい。

 エマも飲むが弱い酒を選んで半分以上残す。

 

「あ、あのすみません私飲めないので……。」

 マツコさんは飲めないらしく男たちの酒の猛攻に閉口していた。

 

 だからあたしが割って入って男たちのグラスに酒を注いでまとめて一気をやらせてやった。

 

「すいませんボクは飲めないので。」

 先ほどジンザとか名乗っていた男が酒を飲まない、ものすごいゴツイ体をしながら下戸かよ。

 

「何を言ってるの男でしょう。」

 構わずグラスに酒を注ぐ。

 この男一気に飲むふりをして…コイツ飲んでない。本当に酒を飲まないのかな?

 

 仕方ないほかの奴を潰そう。

 

 というわけで祭りは本来の目的を失い完全な酒宴へと変化し大いにに盛り上がった。

 したたか酔っぱらった奴がマツコさんにチョッカイを出そうとしたがジンザに阻まれている。

 

 あたしが後ろから踵落としを食らわせるとおとなしくなった。

 

 もっともドワッフの女性は男よりはるかに酒が強いらしくしばらくすると男共は大半がつぶれてしまった。

 死屍累々の中で女達だは大いに盛り上がったままである。

 とはいえ男潰しを主導したエマもそれなりのダメージを受け結構酔っぱらってしまった。

 

 会がお開きになると女たちはまた風呂に入ると言う。

 エマは結構酔っぱらっていたのでさっさと寝ることにした。

 

………………

 

「ほれおめえら会は終わったようだから降ろしてやる。」

 呼び込みの男がやってきて足の縄を鎌で断ち切る。

 

 3人とも頭から地面に落ちるが一向に気にしないのは落す方も落とされた方もも同じだ。

「少しは頭に血が回って物が考えられるようになっただか?」

「いやはああ~っ、ええもん拝まされただから血の巡りは良くなっただよ。」

 簀巻きからごそごそと這い出してきた男はなんの痒も感じていないように答える。

 

 ま、ドワッフ族だからね。

 

 しかしシドラだけはうずくまってひどく落ち込んでいた。

「私のせいじゃないのに……。私をいつも笑いものにして……。」

 一人でブツブツ呟いている。

 

「ほれ、なに一人で落ち込んでるだ?まだ宴は残っているだに。」

「これ以上何をするつもりですか?」

 ドワッフ族の二人は落ち込んでいるシドラを引きずって行く。

 

「決まってるべ、夜這いだ夜這い。」

「いやいやいや、また逆さ吊りにされますよ。」

「いんや、気を付けないと半殺しにされるで、気合い入れて行くべ。」

 

 いったい何なんだろう?この飽くなき執念は。

 

 宿屋に行くと若い衆が梯子の周りに集まっていた。

「首尾は?」

「巻き毛の姉妹はまだ風呂に入ったままだ。ほかの娘達の所に行った者は叩き出されてこの調子だべ。」

 

 顔を腫れ上がらせた若者達が頷く。

 

「ピクシー族の娘は?」

「ジンザが上がって行ったがそのまま降りてこねえ。」

「そりゃ上首尾だな。」

 

「人族の娘は?」

「誰も選ばなかっただ。」

「……あの貧乳じゃな。」

「……んだな。」

 重苦しい雰囲気がその周りに有った。

 

 絶対にエマさんの前でその言葉を言わないように!

 

「しかしそりゃ礼儀にもとるで。誰かおらんか?」

 全員がダメージを負った体で首を振る。

 

「仕方ねえだなオラが挨拶してくるべ。」

「んだ、誰からも相手されねえと思ったら人生間違えるかもしんねだかんな。」

「んだんだ。」全員が頷く。

 

「それじゃちっと上ってくるべ。おめえらちゃんと梯子さ抑えてろ。」

「いや、あの人はやめておいたほうが良いと思いますよ。」

 

 エマさんの本質を知らない彼らの命が危ないですから。

 

「何でじゃ?」

「あの人の場合命にかかわりますから。」

「何を言っとるそんなこたあいつもの事だべ。」

 

 そうなんですか?

 

「大丈夫だ、ドワッフ族は丈夫だけが取り柄だで。」

「んだ、オス蜂は女王蜂の前では千トンの密にも心は揺るがねえだ。」

 そう言い残すとドワッフの男は梯子を上って行った。

 

 いったいなんの例えだったのでしょうか?

 

 エマの寝室の窓をそっと開けると男は部屋の中に忍び込んだ。

 中ではエマが思いっきりひどい寝相で布団の上に転がって高いびきで寝ていた。

 男は部屋に入るとエマに向かって平伏すると、その手には木札を携えて差し出す。

 

「夜這いでございます。」

 

 エマは全く気付かずに寝ている。

「あの、夜這いで……。」

 男がエマの顔のほうに近づいて行く。

 

 突然エマの肘打ちが男の顔の正面に炸裂する。

 男は打たれた鼻を抑えながらひっくり返るが必死で声を出さないように足をバタバタさせる。

 殴ったほうのエマは全く気が付く様子もなく

 

「し、失礼いたしました……。」

 

 鼻を抑えながら再び平伏した男はふらふらしながら窓のほうに這い寄る。

「あ……。」

 窓から出ようとして足を踏み外した男は梯子を転げ落ちて伸びてしまった。

 

「大丈夫ですか?」

「ああ、この位はいつものことだから気にすることはねえだ。ちょっと片づけてやれや。」

 下にいた者たちは男を引きずって行く。

 

「それじゃ次はオラがいくだ。」

 もう一人の男が梯子を上っていく。

 再びエマの前で平伏しカードを差し出すがエマは全く目覚める様子がない。

 

「あの……夜這いなんですけど……。」

 男が近づくと今度は寝たままのエマの足が男の頭を蹴り飛ばす。

 男は窓枠に頭をぶつけ上半身を窓の外に出して仰向けにぶら下がる。

 

「あ~あ、引っかかっちまった。おい、ウィザーさんあいつを引きずり降ろしてやんな。」

「わ、私がやるんですか?」

「吊るされれ友達じゃろうが。」

 

 なんだかとっても嫌な予感しかしないのですが。

 

 シドラが梯子を上って行くと男は完全に白目を向いていた。

「構わねえからそのまま下に放り投げろ。」

「完全に気絶してますが。」

「大丈夫だそのくらいじゃ死にゃあせんで。」

 

 シドラは男を窓から引きずり出すとそのまま下に放り投げる。

 

 男は梯子にぶつかりながら地面に叩きつけられる。

「本当に大丈夫なんでしょうか?」

 シドラはエマの様子を見るために部屋の中をのぞく。

 

 中ではエマがあられもない寝相で転がっていた。

 

「全く何という寝相なのですか?女性はもう少しつつましやかでなくてはいけません。」

 前閉じのガウンの為に寝乱れると全部出てしまうのである。

 

「おお、こ、これは?」

 シドラはエマの寝姿を見て体を乗り出した。

 

「なんと!ちゃんとぶるまーを履いておられますね~、よしよし。」

 シドラはガウンの乱れを治して帯を締めなおそうとした所でいきなり部屋の扉が開く。

 

「エマもう寝たのか?」

 ベルラ姉妹が入って来た瞬間、時間が凍り付いてふたりの目が大きく見開かれる。

 

「き、きさま~っ。」

 

 シドラは直ぐには状況がつかめなかったが、ベルラ姉妹の憤怒の表情を見て自らのおかれた状況にようやく気が付く。

「あ、いや、これは、その、誤解しないで…ください。」

 慌てて手をバタバタ振って状況を否定する。

 

「問答無用!」

 姉妹の蹴りが左右からシドラの顔を襲う。

 

 カポーン。

 

「ああ~れ~~~~。」

 シドラの体はクルクル回りながら窓から外に飛び出して行った。

 

「あ~あ、今夜はこれで仕舞だな。」

「んだ、片づけっぺ。」

 集まっていた男たちは梯子を片づけ始めたが木に引っかかったままのシドラはそのまま放置された。

 

「いいんですどうせ私はこんな運命ですから。」

 木の上からシドラのぼやく声が聞こえた。


アクセスいただいてありがとうございます。

現実のゴウコンにはこのような事は有りません。

絶対に、いや大体は、多分……そうでは無いかと……以下次号


感想やお便りをいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ