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最強(弱)無双の魔法使いは無敵少女と旅をする。  作者: たけまこと
ドワッフ族の迷宮
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リンゴとメロンにサクランボ

 その頃キューちゃんを馬車置き場に置いた後、仕方なく町の中を散策して回ってきたシドラは宿屋の前に来ていた。

 

 先ほどのゴウコンの看板の近くに太い門型の柱が立っていた。

 柱と柱の間は3メートル程で横架に同じくらいの丸太が使われていた。

「はて?なんでしょうか?こんな所に首を吊るのに丁度良い柱が有りますね。」

 

 その柱の横を回り込んで行くと宿の裏庭の方に出ると勝手口が見える。

 その勝手口の横にドワッフ族の二人が宿の中を覗いているのが見えた。

「来ただか?」

「いんや、まだ入っとるのはババ様達だべ。孫の話がしとる。」

「若い娘っ子さまだ入って来ねだかな。」

「そろそろだべ。さっき受付た3人組が来る頃だべ。」

 男たちは裏木戸と思われる処から中を覗いている。

 そこは宿の中庭に当たるようで背の低い植物の間に中くらいの木が植えられていた。

 

「お、ババ様達上がって行くみたいだで。」

「おめ、3人のうちだれがええべ。」

「そら姉の方だべ、あの胸さ立派だっだべ。」

 男は手でメロンの大きさを表現してみる。

 

「人族がおったであの子はどうだべ。」

「うう~んいまいち胸がちっちゃかったでなあ。リンゴだべ。」

「んだどもピクシー族よりはあるべ。」

「馬鹿こくでねえ。ピクシーはあのちっさいとこがええんだべ。」

 

「んだなあ、あれはあれでええもんだなあ。だどもやっぱり覗くんだったら大きい方が見ごたえがあるべ。」

「んだんだ、むふふふふっ。」

「んだなあ、なんと言ってもやっぱり事前調査は欠かせないべ。」

「ふぐっぐぐっ、ぐへへへへっ。」

 

 2人は押し殺したような笑い声を上げている。髭のため顔が隠れているが眼の周りがかなりニタ付いていた。

 

「んだみんなにちゃんと報告しねえといけねえだどもな。」

「んだやっぱりリンゴよりはメロンの方がええもんな。」

「「むふふふふっ、ぐふふふふっ。」」

「あのメロンに押しつぶされる感触は絶品だでな。」

「うんうん中身がはみ出すほどに締め付ける感触が忘れられねえだ。」

 

 二人は話をしながら遠い物を見るような眼をしている。

 

「はて?果物のジュースがどうかされたのですか?」

 シドラは音もなく男たちに近づくと声をかけた。エマでさんざん練習を積んでいるのでお手の物である。

「ひえっ?」

 悲鳴を上げながらもすかさず口を押える二人は明らかに手練れの者であった。

「な、なんださっきの3人連れと一緒にいたウィザーでないか。」

「メロンとリンゴの話でしたがこのような場所で果物でも売っているのですか?」

 

 シドラの言葉に二人は顔を見合わせる。

 

「お、おめさまもリンゴよりメロンの方がいいだべか?」

「さて、好みは人それぞれでしょうが?」

 

 言ってる意味が全く理解できずに首を傾げるシドラであった。

 

「ん、ぷっ、ぷっ、ぷっ。そだな、好みは人それぞれだで。」

「んだ、小ぶりは小ぶりでそれはまた美味しいものだでな。」

「はい、そのように思いますが?お食事でも作っておられるのですか?」

 

「お、おめさまもやっぱ男だでな。」

「むーぷぷぷっ、お食事だど、お食事。」

 ドワッフ族の男は肘でシドラを突っつく。

「メロンやスイカが食いたいべ。」

「やっぱリンゴではな~っ。」

 いかにも残念そうにリンゴと言う、リンゴが嫌いなのであろうか?

 

「はて?リンゴの好き嫌いに性別は関係ないと思うますが?ちなみに私は男ではなくウィザーですが。」

「このっ、このっ、まあウィザーだからってとぼけなくてもいいべ。」

「やっぱ好きなんだべ、メロンは。」

 

 いやいや、何の事だかよく話が見えないんですけど。」

 

「いいべいいべ、黙ってついてくるだよ。」

 男は周囲を見渡すと扉を開けて素早く入る。

「ああっ、突っ立ったままではだめだで、ほらしゃがんでしゃがんで。」

「こうですか?」

 

 シドラは言われるまま膝を付いた。

 

「あんた背が高いでそんな恰好じゃ全然だめだで。もっと低ぐ低ぐ。」

「こうですか?」

 四つん這いになって肘を地面に付ける。

「いかんいかん。そんただケツば持ち上げたら。」

「もっと低くですか?」

「そんだ、そんだ。」

 シドラがお尻を下げると四つん這いではなく完全に腹這いになる。

 

 なんかゴキブリになった気分ですね。

 

「このまま移動するだで、音ば立てるでねえだぞ。」

「はい。」

「そのままいくだぞ。」

 ドワッフ族の男たちは四つん這いで全身を始める。仕方なくシドラはほふく前進を始める。

 

「ほれそこのついたてを迂回するだ、ゆらさんように気を付けるだ。」

「はいはい。」

「ケツをあげるなっちゅーに。」

「すいません。」

 

 何枚かのついたてが有り、外からは庭の中が見えないようになっているらしい。

 それを揺らさないように気を付けながら男たちは前進して着く

「ほれ石があるから踏まづくでねえど。」

「お、だれか入ってきただ、女の声だべ。」

「あの声はエマさんとドワッフ族の姉妹の物ですね。」

 

「おお、さすがにウィザーは耳がええだな。」

「出歯亀するにはかかせねえ能力だっぺ。」

「おやもう一人来られましたね、あの声はサツキさんの声ですね。」

 

 はて?初めて聞く言葉ですね出歯亀とは何でしょうか?

 

「おんや3人でねくて4人だかや。」

「おめ様の知っとるお人だかや?」

「いえ、以前の知り合いですがこちらに来られていたとは知りませんでした。」

「おめ様も隅に置けねえだな。」

 男は四つん這いのままシドラを肘で突っつく。

 

「ああ~っ確かにもう一人いるだな。」

「うんうん、いたいた、ピクシー族のちっこいのが。」

 二人は少しだけ頭を上げて中を覗く。

「もしかしてここに隠れて女性を脅かすつもりですか?」

「ばかこくでねえ。女驚かしてどうすんだ。」

「命が惜しかったらぜってえ見つかったらあかんど。」

 何やら物騒は話を二人はしている。

 

「は、はあ…………?????」

「静かにひそやかに女たちをめでるだ。」

「それが出歯亀の作法だで。」

 

 

 

「おお、久しぶりの露天風呂だな。」

 ベルラが風呂に入った第一声で有る。

「なに?この風呂屋外にあるの?」

「エマは露天風呂に入ったことはないのか?」

 

「な、ないわよ。私のドームじゃお湯につかること自体がひと月に一回くらいだったんだから。」

「へえ~っそれじゃ風呂なんかめったに入らないんだ。」

「お湯で体を拭くのが多かったわ。ジョライ・ドームにはあんな大きな風呂が有ったので驚いたのよ。」

 

「ジョライ・ドームとこのゲオラ・ドームは温泉が湧くからな。」

「どうして地下からお湯が出てくるのかしら。」

「おれもしらね。」

「あ、サツキさんが来たわ。」

 少し遅れてサツキが入って来た、どう見ても10歳位の女の子に見える。

 

「皆さん初めまして。サツキ・キャルと申します。」

 優雅に頭を下げる。さすが未来の女将である。

「ああ、初めまして。俺はベルラ・ヨセミナだ。」」

「ジョライ・ドームの温泉宿で怪我の治療をしていた時にお世話になったのよ。」

「私はベルトラ・ヨセミナ、エマさんとはウィデルガ・ドームの製材所で一緒に働いていたんだ。」

 

「お世話になったのは私の方です。危なく人さらいにさらわれる所をエマさんに助けてもらったんです。」

「な、なんだいエマにはそんな武勇伝が有ったのかよ。」

「ないない、ただその場に居合わせて後を追っていたら誰かが族を倒してくれただけよ。」

 

「それにしても後を追っかけるだけでも大した度胸だぜ。」

「ううん、ドワッフ族の男たちも一緒だったし。」

「ドワッフ族の男?全然役に立たなかっただろう。」

「ううん、すごく勇敢で族の二人をフルボッコにしたんだから。」

「ほおお~っ、そりゃすげえ、あの軟弱な男達とは思えない武勇伝じゃないか。」

 

 まあ、だいぶケツをひっぱたいたんだけどね。

 

「サツキさんはその中の一人のドワッフ族の男の人と結婚したんだよ。」

「おお、それはおめでとう。あいつらは軟弱だけど人が良くて情に厚いからな。」

「はい、今はとても幸せです。」

 サツキはにこりと笑う。

 

 うん幸せになれてよかったね。サツキさん。

 

「でも屋外でお風呂に入っているとなんか覗かれそうで怖いと思わないの?」

 エマはタオルを近くに置いて入浴していた。

「べつに?見られたって減るもんじゃなし、まあそんな出歯亀野郎見つけたらちょっとかわいがってやるけどな。」

 

 ベルラは胸の双丘をバシバシと左右からたたきつける。

 

「ちょっとベルラそんなに激しく動かさないでよしぶきが飛ぶわ。」

「す、すごいですねドワッフ族の方の胸って、そんなに動くんですか?」

「なんだサツキさんは初めてみるのかい?」

「い、いえ旅館ですからそれなりに見ますがそんなに動くのは初めて見ます。」

「ま、俺達は小さい頃からここの筋肉を鍛えているからな。」

 そういいながらベルラは胸のお○ぱいを上下に動かして見せる。

 

 やめんかい!

 

「お、そういえばベラトラ、久しぶりに飛ばしっこでもするか?」

「いいわよ。姉さんやってみる?」

「飛ばしっこ?何を飛ばすの?」

「ああ、胸を使って水を飛ばすんだ。」

 ベルラは胸を下から上に素早く動かしてお湯を跳ね飛ばす。

「な、なんですか?すっごーいっ。」

 

 サツキさん見ちゃだめだよ、女としてのアイデンティティが崩れるから。

 

「よっしゃ行くぞ!」

「おおらあ~っ。」

 二人の胸の周りのお湯が盛り上がるとばしゃ~んと言う音と共にお湯がはじけ飛ぶ。

「うっしゃあ~っあたしの方が遠いい~ぞ~っ。」

「あああ~っまたダメだったか~っ。」

「ベラトラはやり方が下手なんだよ。」

 

「判ってるわよ~っ上に向きすぎなんでしょ~っ。でも丁度いい方向に向けるのが難しいのよ。」

「そこは筋肉のコントロールの年季の差よね。」

「最初はベルラ姉さんも力任せだったくせに。」

「だから長い事母さんに勝てなかった。」

「エマもやってみる?」

 

 い、いや…さすがに…遠慮しときます。

 

 胸に詰まった筋肉でお湯を跳ね飛ばすなんて出来る訳ないだろう。

 あたしのは脂肪だぞ。

 

 

 

「よっしゃ、ついたての裏についたべ。」

「んだ、このついたてに隠れて覗くだ。」

「覗く?情報収集ですね。」

 

「小難しい言葉使うでねえ、覗きは覗きだべ。ほれこの穴から覗くだ。」

「いやいや、情報をみんなに伝えねばならねえで大事な任務だべ。」

「皆さんなんの情報を収集しておられるのですか?」

「「胸の大きさに決まっとるべ。」」

 二人して声をそろえて言った。

 

「……………………。」

 

「するとあのご婦人は情報収集対象外ですか?」

「ありゃあピクシーの娘っ子でねえか。」

「全然胸は出ていませんが。」

「いやいやいや…見ろ、ほんのりと膨らんだ有るか無いかのあの胸を。」

 

「くびれの無い腰にうっすらと脂肪の乗ったあのお尻。」

「サクランボの様なピンク色。」

「「かっわいい~っ。」」

 二人のドワーフは腰を振って喜びを表す。

 

 変態だ~っ、この二人は完全な変態だ~っ。

 

「それって犯罪じゃありませんか?」

「馬鹿こくでねえ。あれでも立派な成人女性だ。」

「んだ、ピクシーだかんな。子ども扱いしたら怒られっど」

 

「……………………。」

 

「要するになんでもいいんですね。」

「こらっそっただ事言うたら女に失礼だべ。」

「女の体は愛でてみるもんだべ。」

「んだ、んだ。」

 

 ドワッフの男は真剣な顔をして頷いた。


アクセスいただいてありがとうございます。

ドワッフ族の趣味は大きい事が良いそうですが、同時に小さいのも良いそうです。

中途半端はやはり人気が有りません。

あたしゃ人族では巨乳の範囲に入っているんだ~~!!と言うエマの叫びは空しく響きます。  以下次号


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