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さくら荘の珍住人  作者: 和泉あや子
第一章 挨拶まわりの壁
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第一章8 母からのメール

 深優が帰った部屋は静かだった。先ほどまでのにぎやかさが消えた空間は、花火大会が終わってしまったときに似ていた。

 話し疲れて眠くなってきたころ、ケータイから着信音が流れた。見れば母からのメールだった。


――鈴、元気にしていますか? 昨日引っ越しだったわよね。手伝えなくてごめんなさいね(涙)無事に済んだかしら。あなたのことだからもう荷物の整理とか終えているような気がするww

 父さん、母さんのことは心配しないでね。しばらく会えなくて寂しいけど、二人で元気に過ごしているから(^◇^)……二人だけってのは久ぶりで新婚気分よ♪

 一人暮らし大変かもしれないけど、鈴ならきっと大丈夫。だから、あなたらしくすごしなさいね。    母さんより

 追伸 苦手な料理も頑張って練習しているわよ。もう爆発はさせなくなったの。味付けはいつも調味料を間違えてしまうけど、お腹をこわしてはいないし、安心してね。――


 最後の二行で全然安心できないんですけど、母さん。大丈夫じゃない気しかしない。というか内容はすごくしみじみなのに、同年代かと思うような顔文字やらもろもろの軽快さが笑いを誘った。

 こちらは大丈夫だから心配しないでね、と返事を書く。隣に同い年のすごい子がいること、同じ大学だったことなどを話す。最後に、食事は外食でもいいのよ、と入れてメールを送った。

 二人とも料理苦手というか下手だからな。母さんは塩と重曹を間違えて入れちゃって、とんでもないことになったんだっけ。手際は悪くないのに調味料とか間違えていることに気づかないのが難点。それさえなければ上手くいくはずなんだけどな。その点父さんは味付けを間違えることはないのよね。そのかわりなのか不器用だから、上手くいかないことが多いし。

 むしろなんで私は普通に料理できるのかしら。


 ベッドにもぐり込むと壁ごしに隣の音が聞こえた。また彫刻をしているようでカコーン、カコーンと聞こえてきた。昨日は怖かったけれど、今夜は正体を知っているから変なものは思い浮かばなかった。なんで釘を打つ音に聞こえたんだろう、と可笑しくなる。全然違う音なのに。


 彫刻をしているらしいということは、また書けないのかな。音の具合で原稿の進み具合がわかってしまうなんて、わかりやすい。

 それにしても、深優って規則正しく九時には寝る真面目なタイプ、って感じに見えるのに夜型なのね。クリエイターって夜に創作しているらしいと、どこかで聞いたことあったが本当だったんだ。私は無理だ、もう眠気が来てるもの。毛布を体に巻き付けた。



 深い眠りに沈んでいった。


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