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4.初めての動悸

だんだんと姿を隠していく街並み

それに逆らうように賑わっていく人並み

目的の場所に近づくにつれ人が多くなっていく

当たり前だ…例えいつもは夜になるにつれ少なくなっていく人並みも

今日はきっとお祭り以上に大騒ぎだろう


電車は今、私を降ろし発車していった

深く溜息を吸って一気に吐いた

酷くむせ返ってる

電車が巻き起こしていった風にも心なしか熱気が混じってる気がする

まだ甘い今の時間似つかわしくない人混みはまだまだ勢力を増していく様子

 「……。」

当たり前か…コンサートなんだから

見渡せば見たくなくても露店ばかり

同じ格好をしてる人もいっぱい

と思うと一人目立った異色を着込んでる人もいる

そのなか私は場違いなのか通常通りの服装をしていた

本当は来るつもりはなかった

マコがあんな真剣に言ったからなのだろうか

何故か気付けば電車に乗ってたという感じ

会場に入ると来たことない私でも分かるすごい活気

思わずもう始まっているのかと思った

する事がなく私はまっすぐ座席へと向かう

マコがいないから話し相手もいない

というか、一方的にマコがしゃべるだけだけど

幾度と思うマコはこんな私といて楽しいのかと…

何の反応も示せない私と一緒にいて

どうして友達でいてくれるんだろう

不思議に思わずにいられない 

思いにふけってると思いもよらない奴が近寄ってきた

 「な、なんであんたがこんな所いるのよ!!」

いきなりけたたましい声が目の前でこだます

声のする方へと頭を向けると奈津実がいた

私の反応と違い奈津実はずいぶんと驚いた顔をしている

まぁ、なんというか派手な衣装が表情に拍車をかけて

驚いてる顔がこっちからしてみたら恐ろしい顔に見える

 「あんたなんで私の彼方君コンサートにいんの!!まさかまた奈津実ちゃんの想い人を取ろうとしてるの!?」

恒例の勝手なことを言い出す

 「それは残念ね…。こればっかりは同情するわ!あの艶やかな髪も、潤んだ瞳も…引き締まった身体も全て、す・べ・て!!私のもの…何より!!この坂下奈津実18歳全身全霊をかけて私自身貴方のもの!!!!」

決まったと言わんばかりのポーズをする

本人は気付いてないだろう

今、この場で何人ものファンを敵にしたかということを

奈津実の嫌われる要因である

 「ライブ始まる…」

当然のことながら無視

その後見向きもしないでいたらいつの間にか何処かへいってしまっていた

私に知ったことではないけど…

辺りを見回すと客席が満席に近いくらい埋まっていた

時刻を見ると5時55分

会場の温度が上昇する

ライブ開始はそろそろのようだ






ビクッ!!さすがの私でも身体が脈を打った

突然の爆発音で客席をヒートアップへと持ち込む

まだ主役が現れてないのにこの歓声

一人が叫ぶとそれはみんなに伝染する

このドーム満杯なのに心は一つになっている

こんなことがあり得るのか

私の頭は真っ白もなっていた

何がこんな熱気を生み出しているのだろう

彼方と言うミュージシャンだというなら

たった一人の人間のためにここまで一喜一憂する姿

『彼方』そんなミュージシャンをこんなにもたくさんの人を呼んでる

いったいどんな人なんだろうか

 「……ッ!!!!?」

爆発音の後暗闇を貫いていた会場のステージがライトアップされる

一瞬にして目がくらんだ

ただ聞こえるのはますます盛り上がるファンの歓声だけ

夢の中に入るときはこんな感じなんだろうか

自分から白い空間へと足を踏みいれるという感覚

結して悪くない気がした

時間が経つにつれ目が慣れてきてる

うっすらと見えはじめるステージ

私のいる席は前から3列目

ここからが一番見れるんだとマコが教えてくれた

慣れない私にとっては眩しいだけ

はっきりと見れるまで時間がかかった

始まって5分、ステージから影が見えた

 「!!!? 」

私の瞳に鮮明に映し出された瞬間

ドクンッッ!!?

壊れるほどの動機を覚えた

し…心臓がはちきれそう!!?バクバク口から出てきそう

何、一体…何が起きたっていうの!!

痛みに耐えきれずしゃがみ込んだ

あ、頭が痛い…ギシギシ軋むっ!!割れ…

そのまま倒れ込み気を失ってしまった


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