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正志がどれほどの目にあったのか知りたい反面、優しかった正志があれほどになってしまうような「解体方法」を知るのが怖かったが、志織は聞いた。
「どのような方法で……解体を?」
「高村は、徹底的に正志を人間に近づけようとしていた。だから、人間が死ぬような行為で正志を壊すことができるらしい。頭部を殴る、首を絞めるなど。その他にも、体の部位の切断、高所から突き落とす、思い鉄版で潰す……思いつく限りのことをしようとしたが、正志があまりに暴れるため、どれも実行すらできなかった。充電を阻止しようとしたが、あれは一日に六時間の充電を、自動的に行ってしまう。体内に発電機が内蔵されていた。やろうと思えば二十四時間稼働可能なロボットにできたのだろうが、人間に近づけるために睡眠と同じような効果を狙って充電時間を設けたのだろう。充電の時間に解体することも考えたが、気配を感じると充電をやめて稼働してしまうから、それもできなかった」
「……だから、あんな状態で、拘束を?」
雪本は頷いた。
「充電時間ぎりぎりの動きが鈍い時間に、手錠と足枷をかけた。解体する気がないことが伝わっていたからか、さほど抵抗は受けなかったよ」
「いつから……」
「言っただろう? 二十五年だよ」
絶句した。二十五年もの間、手錠と足枷を嵌め、あの部屋に閉じ込めていたというのか。
「高村くん」
斎藤の手が肩に置かれ、志織は自分が震えていることに気がついた。目を閉じて深呼吸をすると、震えは何とか収まった。