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ヒトガタ機械  作者:
8/74

1-8

 志織は、雪本をまっすぐ見つめて尋ねた。

「何故、正志を二十五年もの間、監禁していたんですか?」

「君が言った通りだ。あれを安全に壊すことができなかった」

雪本が正志を「あれ」と呼んだことに、志織は少なからずショックを受けた。しかし雪本はそんな志織を気にせず、話を続ける。

「高村は死ぬ前に、正志の設計図を完全に廃棄してしまっていた。通常なら、意図せぬ暴走をした時のため、どこかに緊急停止ボタンがあるはずだ。しかし、正志本人に何度も聞き取りをしたが、緊急停止ボタンはどこにもなかった。高村のことだ、そのボタンを最初からつけていなかったのだろう。それならばと我々は正志を解体しようとしたが、自分に暴力を振るわれると分かると、彼は暴れて周囲の人間に危害を加えた」

「そんなはずっ……」

思わず雪本の話を遮った。志織の記憶の中にある正志は、優しかった。虫も殺せないというわけではなかったが、他人に危害を加えるような人間ではなかった。……そもそも人間ではないのだが。

「あの暴れ方を見ただろう? あれを生身の人間が受けてみろ、死んだ者こそいなかったが、多数の研究者が骨折などの重傷を負った。とうとう頭を強く打ち昏睡状態になるものが現れ、正志を壊すことは諦めた」

「その研究者は、どうなったんですか?」

尋ねる声がかすれた。

「一週間後に意識を取り戻した。幸い後遺症などはなかった。だが、あのまま解体作業を続けていたら、死者が出ていたかもしれないな」

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