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ヒトガタ機械  作者:
42/74

5-11

 狭い廊下を大急ぎで駆け抜け、二人は真っ白な廊下に出た。

「おい」

正志が走ろうとする志織の腕を掴んで引き戻す。

「走ったら他の人たちに気づかれるかもしれない。普段通りに」

冷静な表情をしている正志を見て、志織の心も次第に落ち着いてきた。焦ってもいいことは起きない。志織は深呼吸すると、ゆっくりと一歩を踏み出した。

二人はできるだけ普通に見えるよう、普段通りの歩調で廊下を進んだ。

「出口はどこ?」

「こっち、もう少しで非常口」

真っ白な壁の途中にトイレの入り口があるのだが、男女のトイレの仕切り部分がちょうどドア一つ分の大きさである。そこは普段なら何もない壁に見えるのだが、非常事態には外につながる通路が表れる。そして、そこは、今日の点検で解放されているはずなのだ。

 角を曲がると、そこには数人の研究員たちがいた。ドキリと心臓が跳ね上がる。彼らはちらりとこちらを見たが、特に気にした様子もなく向こうへ歩いていった。

「……気付かれなかったね」

「ああ、すごいな」

正志は自分が着ている白衣の裾を引っ張った。

 非常口はすぐに見つかった。普段はどこにあるのか非常に分かりづらいのだが、今日だけは点検のため、薄暗い通路がぽっかりと口を開けている。志織はためらいなくそこに体を滑り込ませた。

「狭いし暗いな」

「非常口だから仕方ないよ」

足早に先を急いでいくと、向こう側に人影を見つけた。

「誰だ?」

聞き覚えのある声に体が強張る。最悪だ……。

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