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ヒトガタ機械  作者:
30/74

4-7

 彼は一旦言葉を切ると、じっと志織を見下ろした。

「……何ですか?」

「ここからが本題だ。何故、千堂くんが、君を殺そうとしたのか。解析の結果分かった、正志の情報のせいだ」

 雪本はゆっくりと、意地の悪い笑みを浮かべた。

「正志の停止方法だよ」

「停止方法……」

血の気が引いていくのが自分でも分かった。つまりそれは、正志を殺す方法を見つけ出したということだ。正志がいなくなってしまう……いや、もしかしたら。

「今日は、いつですか?」

「君が殺されかけてから三日だ」

目覚めるまであまりにも長すぎる。三日もあれば、もう停止されているかもしれない。目の前が暗くなりかけるが、何とか意識を保って聞いた。

「正志は、正志はまだ……」

「まだ停止されていない」

その言葉に安堵のため息を吐いた。もう手遅れかと思ったのだ。

「正志の停止条件だが」

雪本は、志織の反応を気にせず続けた。

「高村くんが素晴らしい研究者なのは知っていたが、まさかあれほどの技術をもっているとは思っていなかったよ。君のお父さんは、間違いなく天才だ」

「……何が、言いたいんです?」

回りくどい言い方に、志織は眉をひそめた。雪本は、真顔になって志織を見つめた。

「正志の停止条件は、君だ」

「私、ですか……?」

意味が分からず首をかしげる。雪本はため息をついてから言い直した。

「つまり、君が正志を必要とする限り、正志は停止しない。言い換えれば、君が正志を必要としなくなれば、彼は停止する。例えば、君が死んだときだ」

言われたことの意味が分からず、志織は絶句した。何を言われたかは分かったのだが、内容を理解できない。理解することを、脳が拒んでいるかのように、言葉の意味が入ってこない。

「君が死ねば、正志が停止する。そうすれば、正志の管理から解放される。千堂くんはそう思ったようだ」

雪本の言葉は、理解もされずに通り抜けて行った。

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