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ヒトガタ機械  作者:
12/74

2-1

 志織と正志の動揺が担当研究員たちの想像以上だったらしく、その日はそれ以降二人が会うことはなかった。翌日から志織が補助研究員となり、作業を覚え、引き継ぎが可能になり次第、志織に正志の管理担当を引き継ぐことになった。

今の正志の管理担当研究員は松田響子という女性だった。以前担当していたプロジェクトでミスを犯し、左遷されたらしい。そのプロジェクトはかなり大きなもので、志織も松田の名前を知っていた。

「よろしくお願いします」

志織に向かって一礼した松田を見て、志織は驚いた。あのプロジェクトを任されたのだから中年研究員だとばかり思っていたのだが、志織と大して年齢が変わらないようだった。

「こちらこそ」

志織も一礼すると、松田は自嘲気味に苦笑した。

「若いって思ったでしょう?」

志織が何も言えないでいると、高村は数枚の紙を閉じた書類を差し出した。

「高村さんの一歳年上です。年齢が近いので、気軽に何でも聞いてください。これは正志の管理に関する書類です。以前も受け取ったと思いますが、その補足です」

今日において、紙媒体でデータを残すことなどほとんどない。正志に関しての情報を完全に消すためだろう。回線を利用したデータは外部に絶対に漏れることがないよう厳重に管理されているが、万一漏れてしまったら一大事だし、NELにはデータが残ってしまう。紙ならば細断してしまえば何も残らない。あの日貰った書類も、この書類も、手書きであった。今日ほとんど見なくなった手書きの文字は、見慣れたデジタルの明朝体よりも堅苦しく、重いものに見えた。

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