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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

抱かれたいNo. 1のイケメン女子に、告白されて困ってます!

作者: 沖田 楽十

 ………えっ? 俺、もしかしてモテ期突入!?


 すれちがう度に、女子が俺をジッと見てっていく。それが何度があり、昨日までなかった現象に、これは女子からの告白イベントがあるのでは!? と期待に胸をふくらませていると、また此方こちらをジッと見ながら近付いてくる女子に、このコ可愛いなぁ…告白するならサッサとして欲しいなぁ…と思っていると、すれ違い様、「殺す」と小声が耳に入り、えっ? と振り返るも、そのコは此方を振り向く事もなく去っていった。


 ………えーっと……間違まちがいだよな…?



高杉たかすぎくんっ! 」


「! っ……西園寺さいおんじさん…」



 校内で年に一度、【抱かれたい男ランキング! 】という、教員にバレたら速攻で中止になるアンケートがあるのだが、男子をいて今年で3年連続No. 1なのが、今目の前にいる西園寺ヒカルである。

 俺は、影でオタクだと馬鹿にされ、女子からは全く相手にされず、少年漫画で、モテない男がある日突然可愛い女子からモテる世界というものに憧れていたが、三年間それは一切ない現実にちひしがれていた。

 それとこれとも言うのも、校内の女子達の熱い視線をうばう、西園寺ヒカル……お前のせいに違いない!



「あのっ…、ちょっとイイかな? 」



 そう言う西園寺の顔はちょっと赤い。なんだ? 熱でもあるのか?



「私ね…そのっ……高杉くん、って…彼女いる? 」


「……………」



 ………えっ…宣戦布告? 喧嘩売ってんの? コイツ。



「……いっ…いないけど…」


「っっ…よっ…、良かったぁ…」



 ホッと息を吐く西園寺に、俺は殴りたい衝動にられるも、グッとこらえる。そんな事すれば、下手したら退学させられるからだ。



「……なに? 用ってそれだけ? なら、もう行ってイイ?? 」


「私……高杉くんの彼女になりたいんだけど…イイ、かなぁ? 」


「……………は? 」



 えーっと……彼女? 高杉くんって、俺で…。彼女…? 西園寺が? 校内の、男子を差し置いて、3年間抱かれたいNo. 1の西園寺が、俺の彼女??

 ………いやいや。ない。ない、ない。ありない。



「………なにかの罰ゲームでも、しているんでしょうか? 」


「! っっ……話し掛けるの、初めてに近いから、そう思っちゃうよね? でも違う。私、高杉くんが好きなんだ」



 イケメンオーラ全開でそうげる西園寺に、俺は、何故この女が女子達からモテるのかを理解した。

 告白してきても、俺に考えさせる余裕をあたえ、でも答えるまでは逃がさない、と真っ直ぐに俺を見つめる熱い視線。

 不覚ふかくにも、心臓が跳ねる。



「ッッ………俺…こーゆうの初めてで、どう答えたらイイか分からないから……えーっと…」


「一週間」


「……へっ? 」


「一週間あったら、答えが出せるよね? 」


「えっ? みじか--ちょっ!? 」



 此方に背を向け、颯爽さっそうと歩いていく西園寺に声を掛けるも、彼女がまってかえる事は無かった。



「まじかよ……ってか、一週間、短過ぎるだろ…」



 無理だ…。答えなんか、出せるわけがない。ってか、なんで告白されてる側なのに、此方が期限きげんもうけられているのだろうか? 普通、逆じゃね?



「そうだよ! 告白されてるのは俺の方なんだから、優位の立場な筈だ! 俺は冷静に、西園寺をじっくりと吟味ぎんみした上で、付き合うかどうかを判断すればイイ! 」



 ハッハッハッ! と高笑いして、気付けば、約束の一週間の日になっていた。

 西園寺が、なんで期限付きで告白してきたのか理解する。



「期限を付けられた事で、一週間…西園寺の事で頭がいっぱいだった…」



 忌々(いまいま)しい…。それが、お前のやり方か!? 西園寺!

 一週間という“期間限定”で俺の答えを見つけろに、その時は3年間屈辱的だった西園寺に対し、ようやくコイツの優位に立てる立場になるかもしれんと喜んでいたが、時間を設定された事により、なんというか…。

 一週間、もし断ったら、折角優位に立てるかもしれない関係性になれるのに手放てばなすのも惜しいなぁ…という欲も出てきて、だが、恋人にしたら、他の女の子とはもう恋人同士になれないわけで…。



「参ったなぁ…」



 正直、西園寺を彼女として受け入れられるかというと、微妙で…。やっぱり、校内の男子人気No. 1のマドンナである、麻里亜まりあちゃんと付き合いたいという気持ちが強くて…。


 ……ってか、


「なんで俺と、恋人になりたいと思ったんだろう…? 」



 校内の女子からの絶大ぜつだいな人気を表す、抱かれたいNo. 1に3年連続だからって、西園寺のルックスは悪くないし、スタイルだって……もうぶんはない、と思う。だから、女子から熱い視線を独り占めにして嫉妬してる野郎どもは多いものの、密かに想いを寄せてる奴がいる事も知ってる。



「答えは出た? 」

「ぎゃあぁっ!?!! 」



 ビックリした。心臓が口から飛び出るかと思った。



「そんな、驚かなくても……」


「答える前に質問。なんで、俺の事が好きなわけ? 」


「………告白の返事を聞かせてくれたら、その質問に答えるよ」


「………駄目だ。じゃなきゃ、返事はしない」


「つまり……貴方は私をフった、って事でイイのかな? 」


「そうじゃない。極端きょくたんな事を言って、話をはぐらかすな。それも、告白の返事をする上では、判断材料の一つだって事だ」


「嫌だよ。もしそれを答えて、貴方に振られたら私…恥ずかしさと辛さで、記憶喪失になって、全てを忘れたい…」


「………それは…」



 俺に惚れたキッカケの事もか、と出掛かって…。そもそも、全て忘れたい、って言ってる時点で、俺が覚えてない…西園寺にとっては、俺との思い出の事も消したい記憶なのだろう。



「貴方は覚えてないけど……私達、幼稚園の時に一度だけ、関わった事があるんだよ? 」



 そう告げて、幼稚園時代に、男子から男女と揶揄からかわれ、泣きそうな西園寺を、俺は護ったらしい事を教えてくれた。


 ………全っ然、覚えてねぇ…。

 こーゆう時、覚えてたら運命の出会いだね、ってそのまま付き合う流れ、なのかもしれないのだろう、が…。



「悪りぃ…」


「っ……それは…覚えてない事? それとも……告白の返事? 」


「……………。」



 なんって返せばイイのか分からなくて、俺は西園寺と目を合わせるのが怖くて、下を向く。



「男らしくないなぁ…」



 ボソッと、なにか呟く声が聞こえ、えっ? と顔を上げた時には、いつの間に急接近していたのか、西園寺の顔が近くにあり--


「!?」


 バアァーーンンンっっ!!!!



「ハッキリ答えろっ!!! 私は、一週間も待たされたんだぞ!? 」



 気付いたら、隣の騒音がうるさくて、煩い! って意思表示の方ではなく、少女漫画などで、イケメン男子がヒロインにせまる方の壁ドン…を、されていた。

 ………えっ? 普通、逆じゃね?



「えーっと……西園寺さん? 」


「高杉くんさぁ……一週間、私の事で頭がいっぱいだったでしょ? 」


「えっ?! なんで分かったの!? エスパー!?!! 」


「心理学テクニックをもちいたからだよ。時間に縛られると、その人しか頭に残らないってやつ…じゃなくて! ……つまりさ、貴方は私に夢中なんだよね」


「いやいやっ! 心理学テクニックで俺がそーゆう状態だっていうなら、本当に俺がお前の事を好きかどうか分かんないじゃん!! お前、そんなんでイイの!? 」


「…イイんだよ、そんな細かい事」


「いやっ! 全っ然、細かくないだろっ! ってか西園寺! 顔、近過ぎない!? 」



 あと数センチで、唇と唇が触れそうなんですけど!?



「折角、貴方に選択を与えて、サッサと気持ちにりをつけようと思ってたのにさぁ…」


「……えっ? 選択? 踏ん切り? 」


「そうだよ。貴方に惚れた理由を言わずに、貴方にフってもらってたら、私……貴方の事をすっぱり諦めるつもりだったから…」


「………じゃ…じゃあ…俺、他に気になるコが--」

「もう…遅いよ」



 その声が耳に届いた直後、唇に、おのれとは別の熱が重なる。それは直ぐに離れ、


「校内で女子人気No. 1の、私のファーストキスを奪ったんだ! 責任取ってくれるよね? 高杉くん♡」


「………」



 断ったら如何どうなるかわからない恐怖と、一瞬でも触れた西園寺の唇の柔らかくて温かい感触が忘れられなくて、俺は気付けば肯定こうていうなずいていた。











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