プロローグ
日本国埼玉県越谷市
そこには2匹のドラゴンがいた
フィリピンと日本のハーフ、荒井龍星
中国と韓国と北朝鮮の朝鮮大陸人、天竜浩
これは2匹のドラゴンの生き様を描いた物語である
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サイド・天竜浩
「・・・さい!・・しなさい!鉛筆を持ちなさい!」
母はそう言うと手に持っていたハンガーで少年の指を叩いた
「痛いっ!もう無理だよ!出来ないよ…」
少年は指を擦りながら泣き出す
「ママの言うことが聞けないの!?アキの為に言っているのよ!どうしてわからないの!」
母はそう言うと少年の肩を掴む
「立派な大人になるの!私みたいになってほしくないの!」
俺の母は苛烈は人だった
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母は中国の田舎の農家に産まれ、恵まれた才能と不屈の精神と弛まぬ努力ができる人だった
母は学生時代を文武両道に費やし、貧しい家から出るはずのない学費を推薦で獲得し数学とバレーボールの特待生として高校を卒業する
しかし、大学への進学を望んだ母だったが家族が許さなかった
貧しかった家族は弟の為に母を働かせる決断をした
「春花、わかってちょうだい。貴方は十分に学んだわ、次は弟の為に頑張りましょう」
母は納得がいかなかった、いく訳がなかった。
自分はこんな農家を継ぎたくない、もっと広い世界を知ってもっと沢山の事がしたい。
しかし同時に弟も心配であった、母の弟はとても優しい心を持っていたのだが子供の無邪気とは怖いもので弟のクラスメイト達は平然といじめに近しい事をしていた。
それを弟は許していたのだ。
母が小学生中学生の頃、弟を虐めていたクラスメイト達を見つけては殴り合いの喧嘩をしていた。
先生や両親、近所の人に止められては「二度とあたしの弟に手を出すなバーカ!」と罵っていたそう
そんな弟は頭があまり良くなく推薦や国立の高校への入学は絶望的だった
「お姉ちゃん、僕の為に自分の事を諦めないで!僕が家業を継ぐから!」
弟は母が進路に悩み苦しむ間ずっと母に同じこ事を言い続けた
母は悩みに悩み、決断した。今後自分の人生を大きく変えるであろう選択を。
そして母は進学を諦め家業を継ぎ、3年後弟に家業を託して中国の都会に出稼ぎに出た
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「勉強が出来ないならご飯は食べさせないわ、家の中でも寝かせない」
そう言って母は勉強の出来が悪いとご飯を抜き、ベランダの外に放り出した
「アキがいけないの、勉強が出来ないから。私が子供の頃は寝ずに鼻血を出しながらよく勉強したわ、アキには必死が足りないの」
そう言ってベランダの鍵を閉めた
季節は冬の1月
時間は夜中の2時だった
「ぐずっ…ぐずっ…もう嫌だぁ…誰かぁ…助けてよ…神様…」
当時小学二年生の男の子にはあまりに厳しい世界だった
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ピピピピピピピピピピッガコンッ
目覚ましを乱暴に叩く
「くぁっ…はぁ…くそっ、最悪の目覚めだ」
俺は伊藤炳泰
今日は中学の入学式だ
「よいしょっと」
ベッドから降りると昨日取りに行ったばかりの公立栄進中学校の制服に腕を通す
そのまま歯を磨き顔を洗い鏡を見る、前、横、後ろと一通り見て顔を叩いた
「よしっ、行くかっ!」
この日2匹のドラゴンの運命が交わる
この作品は割合は言えませんがフィクションとノーフィクションが合体しております