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中二病は病気じゃない

「まったく面倒なものだな」


『この世には二種類の人間がいる。中二病と、そうではない者。

 俺は世間的に見れば前者に当たる。

 中二病とは思春期に見られる症状で、別に精神病や本当の病とは違う。故に治療の必要もなく自由に過ごすことができる。だがどうだろう。実際家族には白い目で見られ、妹はもはや他人を装うようになっている。

 だが俺は気にしていない。誰に何を言われようと、世間からどんな扱いを受けようと、人間には自由が約束されている。自由は何よりも大切にしなければならない権利だ。

 俺はあの天翔ける鷹のように自由に生きていく。これは願いではなく宣誓だということを忘れないでほしい。薙宮友なぎみやとも


「友!」


 最後の一文を書き上げたところでペンを置く。声をかけてきた人物に目を向けると、そこにいたのは同じクラスの女子、黒田里美くろださとみだった。

 中学の制服をしっかりと身につけスカートの丈は膝よりも下。靴下は白色で、靴には学年カラーの緑が入っている。一見、真面目な里美は屈託のない笑顔を浮かべている。


「なんだ?」

「今日提出の宿題何書いた?」

「何って、自分の主義主張を書きなさいってお題は皆同じだろ。それともお前は昨日の晩御飯のことでも書いたのか?」

「すご!? なんで分かったの!?」


 里美は驚いた表情でそう言ってくる。

 驚きたいのはむしろこっちの方だ。適当に言ったことが当たったのもそうだが、お題を完全に無視しているこいつにもだ。

 真面目な見た目に相反する性格……いや。こいつの場合は真面目にやってこれなのだ。真面目に授業を受け、真面目に可笑しなミスをする。単なるアホだ。


「適当に言っただけだ」

「エスパーの才能あるよ!」

「そんなものはない。少なくとも俺にはな。検証済みだ」


 そう。検証済みなのだ。この世に存在している超能力や魔法、科学では説明できない謎の力。その存在の否定はできない。だが自分の中にそれがないかの証明はできる。やらない人間の方が多いようだが、俺はやった。

 その知識が漫画からだろうとテレビからだろうと、可能性がゼロではないのなら俺は諦めない。全て試した。

 変な模様の果実を食べてみたり、水晶に手を当ててみたり。滝に打たれてみたり、森の息吹を感じたり。

 とにかくありとあらゆる方法を検証した。その結果俺には特殊な力はないことが証明された。


「友は相変わらずだねー。飽きないの?」

「お前は飯を食べるのを飽きたことはあるか?」

「ない」

「それと同じだ」

「一緒じゃない!」


 里美は俺の発言を大声で否定して笑った。下品な笑い方はいつも通りで何一つ変わらない。


「休憩終わるぞ。席につけ」

「おう!」


 パシッと敬礼をした里美は、真面目に自分の席につき、次の授業の教科書を取り出し満足げに息を吐く。机の上にはノートと教科書が広げられいつでも授業が始められる。始業前にここまで準備を済ませているのはこいつくらいだが、里美が開いているのは数学の教科書だ。


「里美、次は英語だ」

「あれ、そうだっけ?」

「黒板をちゃんと見ろ」

「本当だ!?」


 里美は慌てて机の上を切り替える。そうしている間に教師が入ってきて授業始まりの挨拶をする。やはり里美は真面目に授業を受けていた。

 このクラスで俺に親しくしようとする奇特な人間は三人いる。一人は里美だ。もう一人はクラスのひょうきん者斎藤和希さいとうかずき。そして美形小柄小学生の峯山雫みねやましずく。和希と雫は男だ。他の人間は俺から距離を取って接してくる。それが普通の反応なのだが、この三人はどこかネジが外れている。


 和希はクラスの中でも人気が高い。男女両方からの信頼も厚く、俺のようなはぐれ者とつるむメリットはない。

 雫は身長が142センチとかなりの小柄で童顔。女の子の格好でもさせれば間違われるだろう。本人はかなり気にしているため身長についてはあまり触れない方がいい。同じ小学校からの付き合いで俺とはよく話す。


 俺のクラス内での立ち位置は日陰者だ。だがいじめられいるわけではない。頭がおかしいやつ程度の認識で避けられているだけだ。

 なぜこんなことを急に話し始めたのかと言うと、これから俺の身に起こることが世間一般の常識からは考えられないような出来事だからだ。


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